014.ゲーム脳の変態は、氷の女皇帝に溺愛される!

文字数 4,235文字

なっ、(なん)だ! (なん)なんだ、一体(いったい)



十の災厄(アンタッチャブル)】の一角(いっかく)である【氷狼(ヒョウロウ)エンプレス】は唖然(あぜん)として(かた)まった(まま)だった。



(なん)じゃ、・・・・・・()の赤ん坊は!?



禁忌(きんき)の【ハルベルト山脈】の(あるじ)は、空中を短距離転移(ショートワープ)しながら、自分の()()()()だけを見つめながら、(おそ)れもなく進んで来る、()(ぱだか)の赤ちゃんに呆然(ぼうぜん)としてしまい()(すべ)が無かった。




「あぅあぅあぅあぁぁ~♪(()()()・・・・・・いただきます~♪)」



そして、(おもむろ)に自分の乳房(ちぶさ)に吸い付いた赤ちゃんに対して、【氷狼(ヒョウロウ)】エンプレスは()れるが(まま)だった。



何故(なぜ)なら、十の災厄(アンタッチャブル)である彼女に対して、此処(ここ)まで無防備に接して来た存在(そんざい)は今まで()なかった事と、()極寒(ごくかん)の地を人の身で、()してや生後(せいご)()もないであろう赤ちゃんが、()(ぱだか)短距離転移(ショートワープ)しながら近付き、一心不乱(いっしんふらん)に自分の乳房(ちぶさ)に吸い付く姿に不覚(ふかく)にも完全に思考停止(しこうていし)して()たからだった。



か・・・・・・か・・・・・・可愛(かわい)い!



()れが、【氷狼(ヒョウロウ)】エンプレスの母性(ぼせい)目覚(めざ)めた瞬間(しゅんかん)だった! ・・・・・・()瞬間(しゅんかん)から、無我夢中(むがむちゅう)に赤ちゃんは母乳(ぼにゅう)を飲み始めた!







<<ずきゅ~ん♪ ・・・・・・固有(ユニーク)個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への好感度が一定の(あたい)に達しました!>>



<<個体名【カルマ】が称号【氷狼(ヒョウロウ)加護(カゴ)】を獲得しました!>>



従来(じゅうらい)、【創造神の試練】時の【氷狼(ヒョウロウ)】エンプレスとカルマの邂逅(かいこう)は、一つの奇跡(きせき)だった。

極寒(ごくかん)の中、(ほう)り出されて死の時間制限(じかんせいげん)制約(せいやく)()せられ、徐々(じょじょ)に減っていく生命力(HP)と寒さで(かじか)んで思うように動かない身体で、匍匐前進(はいはい)しながら【氷狼(ヒョウロウ)】エンプレスに辿(たど)り着いた時には、カルマの生命力(HP)は残り(わず)かだった。

カルマは【氷狼(ヒョウロウ)】エンプレスに辿(たど)り着き、母乳(ぼにゅう)を飲む事によって称号【氷狼(ヒョウロウ)加護(カゴ)】を獲得して、(なん)とか生き延びたのだった。



廃人(クラーク)の中の廃人(クラーク)、【廃神(オーバーアウト)】と呼ばれるカルマの体感レベルは、勿論(もちろん)最大値で設定しているので、現実の世界()()敏感(ピーキー)な体感(触覚・痛覚等)が()る。
 
他の仮想現実ゲームでも常に、体感レベルと痛覚レベル機能の設定調節(ゲームごとに体感と痛覚との詳細なゲーム設定が各々違う)は最大値設定にして、格闘(ファイト)系、射撃(シューティング)系、隠密(アサシン)系、恋愛(ラブファイト)系などのゲームの最精鋭(トップランカー)達と日々(しの)ぎを(けず)って()たカルマのPS(プレイヤースキル)は、現実で実現可能なレベルまで技術として昇華(しょうか)して()た。

()れが、【廃神(オーバーアウト)】と呼ばれる所以(ゆえん)の一つでも()った。
 


しかし、単純に体感レベルを上げればゲームが上手になる訳では無い。

研ぎ澄まされる感覚を使い(こな)し、痛みと()の恐怖に打ち勝って技術に昇華(しょうか)してこそ上達していくのだった。



(ただ)し、体感レベルを最大値に近付けると言う事は、現実世界で実際に痛みを伴う行為(こうい)同義(どうぎ)以上に近付けると言う事(小さい痛みが体感レベルの上昇値により、数倍の激痛として感じる事)を()ず理解しなければならない。



体感レベルの設定値の制作運営会社の推奨は三十パーセント(現実世界の体感と同等設定は五十パーセント)で、それ以上の設定にするには、ゲーム規約にある体感レベルによる()()()()()()()()()()などはプレイヤーの自己責任で、制作運営会社は一切の責任を負わない(むね)に了解のサインをした廃人(クラーク)だけが挑める変態達(ヤバい奴ら)狂宴(カーニバル)なのだ。



極寒(ごくかん)の寒さで身体が(かじか)み、思う様に動かない生後半年(せいごはんとし)ほどの赤ちゃんが、最適解(さいてきかい)を導き出す(ため)凍死(とうし)三百十八回と爆散死(ばくさんし)百五十八回を繰り返し試行して、【鬼畜(きちく)儀式(ぎしき)】を体感レベル最大値設定で、嬉々(きき)として(くぐ)り抜けた。

ゲームに人生の全てを捧げたゲーム(のう)変態(へんたい)が、【廃神(オーバーアウト)】と呼ばれるカルマの(しん)姿(すがた)だった。



ウグウグっ! ・・・・・・()()()! 母乳(ぼにゅう)美味(うま)()ぎる・・・・・・ゲポっ!





FHSLG【アルグリア戦記】に()いて、最高難易度のシナリオ【創造神の試練】が鬼畜無理(きちくむり)ゲー(超難易度過ぎて攻略が不可能、無理でしょうって言うゲーム)と言われるのは、単純にクリアしたプレイヤーが誰一人として()なかったからで()る。

【創造神の試練】を攻略するには、あらゆる全てのものを活用しなければならない。



()の一つが、【称号の効果】である。

【アルグリア戦記】には、キャラアバターが元々(もともと)所持(しょじ)してる称号と、行動によって獲得出来る称号が()る。行動の結果で、所持(しょじ)称号(しょうごう)上位(じょうい)称号(しょうごう)に書き()えられ進化する場合も()る。

カルマが最初に獲得した称号【氷狼(ヒョウロウ)加護(カゴ)】の効果は、寒冷耐性(かんれいたいせい)()()()()への威圧(いあつ)魅了(みりょう)だった。
 


お腹一杯に()りスヤスヤと眠る赤ちゃんを、白い巨狼が自分の尻尾で(いと)おしく包んで()る。

巨狼は何故(なぜ)()普精霊人(ヒューマン)(見た目が)の赤ちゃんは自分に対して、こんなにも無防備で()られるのか自問自答(じもんじとう)する。

そして、自分への絶対的な信頼と一途(いちず)愛情(あいじょう)を感じ、理由を考える事を放棄(ほうき)したのだった。
 
十の災厄(アンタッチャブル)一角(いっかく)、【氷狼(ヒョウロウ)】エンプレスは運命(シナリオ)設定(システム)上、【()れない孤高(ここう)(おおかみ)】だった。



狼は()れる習性(しゅうせい)()り、()れが本能(ほんのう)でも()った。

()れを()る意味、強引に螺子(ねじ)曲げた設定(システム)との不条理(ふじょうり)が、【不具合(バグ)】を生んだのかもしれない。



赤ちゃんの寝顔を見ていると、()存在(そんざい)を守りたい無償(むしょう)欲求(よっきゅう)が高まっていく。
 


()の熱い眼差(まなざ)しを感じた赤ちゃんが目を(さま)し、自分を見つめる巨狼にくしゃっと笑いかけた。



<<ずきゅ~ん♪ 固有(ユニーク)個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への【好感度】が上限に達しました!>>

<< 固有(ユニーク)個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への【好感度】が【愛情度】に書き替えられました!>>

<<固有(ユニーク)個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への【愛情度】が上限に達しました!>>

<<固有(ユニーク)個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への【愛情度】が上限に達しました!>>

<<固有(ユニーク)個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への【愛情度】が上限に達しました!>>

<<固有(ユニーク)個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への【愛情度】が上限に達しました!>>

<<固有(ユニーク)個体名【エンプレス】の個体名【カルマ】への【愛情度】が限界突破(げんかいとっぱ)しました!>>

<<個体名【カルマ】の称号【氷狼(ヒョウロウ)加護(カゴ)】が【氷狼(ヒョウロウ)寵愛(チョウアイ)】に書き替えられました!>>

<<個体名【カルマ】の称号【氷狼(ヒョウロウ)寵愛(チョウアイ)】が【氷狼(ヒョウロウ)愛息(アイソク)】に書き替えられました!』



「あぅ!?(えっ、マジ!?)」



極寒(ごくかん)の洞窟の中、巨狼の尻尾で(くる)まれながらカルマが()(ぱだか)(つぶや)く! 

()視線(しせん)の先には、慈愛(じあい)眼差(まなざ)しで見つめる(あお)(ひとみ)()()()()の母親が微笑(ほほえ)んで()た。







To be(続きは) continued(また次回で)! ・・・・・・
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