完全版【003】:変態は歓喜し、鬼畜無理ゲーは泪を溢す!(3)
文字数 15,536文字
FHSLG(ファンタジー歴史シミュレーションゲーム)【アルグリア戦記】とは、アルグリア大陸の住人に為 り、四十七の人類 国家 と数多 あるモンスターのコミュニティを、全て統一 制覇 する事を目指す一人用戦争ゲームで在 る。
勿論 、統一 制覇 を目指さずに、悠久 の刻 の流れを楽しむプレイヤーも多い。現実世界では為 し得なかった職業に付く者。其 れこそ、楽しみ方は千差万別 だ。
戦争ゲームではあるが、継承 システムに依 り理論上 アルグリア大陸が統一 制覇 されるまで、永遠 に自分好 みに遊び楽しむ事が出来る遣 り込み型のゲームだった。
特色としては、選択したキャラアバターの能力を獲得 した英雄ポイントでカスタマイズ出来る事だ。最弱 底辺 キャラアバターで成り上がりの浪漫 プレイを楽しんだり、お気に入りのキャラアバターを強化し続けて、自分好 みの最強のアバターに育成して遊ぶプレイヤーも少なくない。
要 は好 みのキャラアバターで、自分が満足いくまでアバターライフを満喫 出来るのだ。現実世界では有り得ない歴史の回帰 を楽しむ。自由度は他のゲームの追従 を許さない。但し【セーブ不能】の為、【ゲームアウト】は【ゲームオーバー】と同義 である。
一期 一会 。同じアバターでプレイしても、前回と同じ出会いが在 るとは限らない。少しの行動の擦 れが、運命 の擦 れを呼び、歴史が変わる。同じ時代でも、プレイヤーの嚔 一つで【何か】が変わる。そんな摩訶不思議 な仮想現実ゲームが、【アルグリア戦記】だった。
『・・・・・・ご利用ありがとうご座いました!又 のお越しをお待ちしております!』
プレイヤーが【ゲームアウト】で、エフェクト処理 されて分解されて消えていく。
『さて、来週から第二陣 一千万のプレイヤーさまが、新規 にアルグリア戦記に登録 をされる。バグなど無ければ良いのですが・・・・・・』
執事服に身を包んだ無表情な黒猫の男が呟 く。
彼こそが、【アルグリア戦記の総合案内人】である【ジョドー】で在 る。
現在一千万のプレイヤーの対応を一手に引き受け、更に第二陣 一千万を加えた二千万のプレイヤーの総合案内人だ。
一千万のプレイヤーに同時 接続 されながら、分身体 を遣 い全て対応する。
其 の激務 を熟 しながら本体 である執事は仮想空間 の中で、空中に映る映像を食い入るように見つめていた。
『くっくくくく!流石 は【廃神 】と呼ばれるカルマさまだ。常人の斜め上を、意図も簡単に翔 んでいく。鬼畜 無理 ゲーと呼ばれるシナリオ【創造神の試練】をクリアするとは。クリア第一号は、やはりカルマさまでしたか。流石 です』
さて、創造神カリダドの望みは叶 うのでしょうか?
画面を無表情で見つめる執事の呟きを、聞いている者は誰も居 ない。此 の仮想空間 は、ジョドーのみが存在 出来 るプライベート空間 だった。
FHSLG【アルグリア戦記】が他の仮想世界のゲームと隔絶 しているのは、クリエイターが変わった人物。否 、かなりイカれた発想 の持ち主だったからだ。
其 のクリエイターは、本気 で本物 のゲーム世界を構築する為 には、クリエイターは不要 だと言い放った。
自分自身の存在 意義 を、軽く否定 したクリエイターの提案は、前代未聞 の試 みだった。
人は本物 の神には為 れない。ならば人が世界を創造しても、其 れは偽物 でしかない。本物 の世界を構築 するには、本物 の神に創造して貰 えば良い。
其 のクリエイターは本物 の世界を創る為 に、本気 で真剣 に本物の神 を創り上げ、全ての権限 を与 え【新世界】を創造させた。
遊戯管理脳 【カリダド】が創造した世界こそが、ファンタジー歴史シミュレーションゲーム【アルグリア戦記】だった。
其 のカリダドを補助する補助管理脳 が、【アルグリア戦記の総合案内人】であるジョドーの本当の姿だった。
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「マスターお帰りなさい。どうされましたか? 顔が酷 く気持ち悪いのですが?」
うぐっ。ミリィの容赦 無 い毒舌 で精神にクリティカルヒットを喰 らった俺は再度ベッドチェアーに沈 み込んで目を瞑 った。
やったー! 【創造神の試練】をクリアしたぞ!
俺は心の中で、絶叫 し発狂 し歓喜 に身悶 えした。
「熱も無いようですし、精神 数値 にも異常 は見られないのですが。はて、マスター大丈夫ですか?」
う、うん?何 だ?
俺は額の温 かい感触 に、驚いて目を開けた。
「ぶっ! な、何 をしているんだミリィ?」
目を開けた俺の目の前には、事もあろうにミリィの顔が在 った。オートドールに額をくっ付けて検温 する機能などは存在 しない。
全て耳に掛けている【ダイブトリッパー 】で体調 管理 が可能だった。
天然 メイドのミリィには困ったものだ。其 れに良い匂 いもして、時々ドキリとする。
「マスター?」
そんな首を横にコテンとさせても、駄目だものは駄目だ。俺は震 える手で、ミリィの肩を掴 み優しく押し退 けた。
「何 かお腹が減ったな。ミリィ、何 か軽くで良いから作ってくれないか?」
「はい、マスター! 了解しました!」
溢 れんばかりの笑顔ではないが、優しい瞳 で微笑 んだミリィが調理 に向かった。
ふー、助かった。ミリィには再三 注意をしていた。余 り身体的な接触 をしないようにと。
「ミリィ、・・・・・・」
目の前で調理中 の【オートドール 】ではない、もう此処 には存在 しない幼馴染 みの名を、静かに呟 いたカルマだった。
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『遂 に【創造神の試練】をクリアしましたよ、師匠 ! 聞こえますか、師匠 ?』
俺はMMOWG(多人数参加型戦争ゲーム)【矛盾 】で師事 した師匠 で在 るプレイヤーネーム【クマメタル】に連絡を取ったが、例の如 く闘いに酔 っているのだろう。全く反応が無い。
世界を震撼 させた一千万オーバーキルのテロリスト【クマメタル】と同じ名前で、仮想現実世界に於 いてプレイをするイカれた変態。何 が如何 為 って、仮想現実世界に於 いて、其 のプレイヤーネームで登録 が許可 されたのか、首を傾 げる事しきりだ。
『カルマ、やっぱり鳥は良いな! 空を自由に翔 べる!』
イカれた変態は例の如 く、俺の話は全く聞いていなかったようだ。はぁ、トランスしている師匠 には何 を言っても届かない。自分のルールを忠実 に実行する災厄 と化 す。【殺 られたら殺 り返す】、至 ってシンプルな其 のルールに全てを懸 ける狂人 。
全てと言って良いプレイヤーから忌 み嫌 われる存在 、【凶神 】と呼ばれる禍々 しい魂 の燐光 が師匠 だった。
『師匠 、またモンスタープレイですか? 楽しんでますね【アルグリア戦記】!』
『まあな、血のエフェクト処理 以外は最高に、興奮 するぜカルマ!』
『其処 は仕様 なので仕方ないですよ。諦 めて下さい師匠 。其 れから俺やりましたよ。【創造神の試練】をクリアしました!』
『ほう、鬼畜 仕様 のマゾゲー(マゾヒズムを楽しむ変態のゲーム)シナリオをクリアするとは、お前はイカれてるよカルマ?』
否々 、アンタにだけは言われたくないよ! イカれた変態が、俺を変態性 嗜好者 のように言うのは納得がいかない! 断固反対 する!
『其 れで、鬼畜 シナリオの報酬 は何 だったんだ?』
『完全 制覇 クリアの特典は、一千億英雄ポイント券 ・身体能力値の限界突破券 ・スキル枠 撤廃券 ・ユニークスキル創造券 ・特別シナリオ【ゲーム世界へ転生】の選択券 が各一枚づつですね!』
中々、破格 な特典内容だった。能力値(筋力 ・耐久力 ・知力 ・敏捷 ・器用 ・魅力 )を英雄ポイント分で、人種種族の成長限界値の上限を設定変更が出来る。但し、スタート時の能力値は初期設定値の侭 なので、所謂 俺Tueeeは出来ない。
スキル枠 撤廃 って、無限 にスキルをセットして良いらしい。勿論 、スキルもカスタマイズ可能だ。
【アルグリア戦記】では、キャラアバターごとにスキルレベルの成長上限値が設定されている。其の成長限界値を、英雄ポイントを使用してカスタマイズする。初期設定値は変更不可な仕様 なので、最初からの俺Tueeeは勿論 出来ない。
ユニークスキル創造って、もうチートだよね?
最後の特別シナリオ【ゲーム世界に転生】の選択券 に至 っては、インダストリア社の運営チームが悪乗 りしてネーミングしたとしか思えないものだった。
『ほう、【ゲーム世界に転生】か?浪漫 じゃないか、本 当 に 転 生 し た り し て な ! はっははははは~!』
豪快 に笑う師匠 に、『ははは、・・・・・・』と苦笑 いで応答 する俺だった。
『何 にしても、楽しんで来いカルマ! 一回 切 りの人生だ、悔 いの無いようにな!』
全くその通りだ。一回コッキリの人生だ。
俺は亡くなった幼馴染 みの分も、人生を楽しむと決めていた。
『じゃあ、師匠 ! ゲ ー ム 世 界 に 転 生 し て き ま す ! また連絡しますから、楽しみにしていて下さい!』
『おう! またなカルマ!』
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俺は珍 しく戯 けた調子のカルマとの通信 を切った。そして、自分が為 した闘いの顛末 を見届ける。
地平線 一杯 に、人類 だった骸 が転がっている。
其 の惨憺 たる光景 に、感情の無い目を向ける。
生きとし生けるもの全てが炭化 していた。
其処 は灼熱地獄 の如 く、焔 の熱が充満 していた。
俺は大空を滑空 しながら、気持ち良く熱風と舞う。
凄いなカルマの奴 。誰一人としてクリアした者がいない、鬼畜 無理 ゲーシナリオをクリアするとは。恐れ入ったぜ、俺には無理だ。退屈 で死んじまう。何 が楽しくて【カルマ値(行動に因るゲーム設定上の善悪の数値)】を調整しながら遊ばなければならないんだ。
「ふん、そんなものはクソ喰 らえだ!」
俺は我道 をいく。自分のルールに則 って、【アルグリア戦記】を楽しむ。そんな大陸 統一 制覇 の為 に、楽しみを封印 してまで作業ゲー(楽しみの無い行為を繰り返すゲーム)のような事なんか出来るかってんだ!
プレイヤーネーム【クマメタル】は、そう毒突 くと真 っ赤 に燃える翼を翻 し大空を羽 ばたく。プレイアバター【ラフレシア】として、十の災厄 の一角 、【不死鳥 】として災厄 をバラ捲 く。
アルグリア大陸の生きとし生きるもの全ての頂点 で在 る十個体 の内の一体をプレイするクマメタルに取って、闘いとは殲滅 を意味する。要 するに皆殺 しが、彼の流儀 だった。
【十の災厄 】には、縄張り から外には移動不可の制限が付く。故 にアルグリア大陸の住民達は、十の災厄 の勢力圏 を侵 さない。所属国家ごと滅ぼされた数多 の教訓 が、魂 と脳髄 に【畏怖 】として刻 み込まれていたからだ。
【不死鳥ラフレシア】の縄張り は、【アゾット炎獄 】。炎が燃え盛 る地獄 のような火の監獄 。誰も訪 れない炎獄 を守護 する鳥は、焔 を絶 やす事無 く、炎獄 以外の空を翔ぶ事は叶 わなかった。
自分が燃やし尽くした灰燼 から立ち昇る命の残照 を、美味 しそうに吸い込み大空を翔 び廻 る。
アルグリア大陸の四十七国家を掌中 に納 める事を目指 さず、全ての勢力を倒す殲滅 プレイヤーである【クマメタル】にとって、【アルグリア戦記】とは現 実 の 仕 事 の息抜 きに他 ならない。
攻撃されなければ、攻撃をしないルールを持つ【クマメタル】は、俺を攻撃しろ、毒饅頭 を喰 らえと、移 動 不 可 能 な 筈 の 縄 張 り 外 で、今日も陽気 に【アルグリア大陸】を飛翔 していた。
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『ぽ~ん♪ マスター、ようこそ仮想空間へ! 本日のご用命 を、お伺 いします!』
現実と仮想現実の世界とのエントランスである【ポータルサイトの案内人】の【ナリア】が、いつもの如 く行き先を尋 ねる。
『やあ、ナリア! 【アルグリア戦記】で頼む!』
蒼 い瞳 の蒼 い毛玉 の如 き狸 が、了解 とばかりに、空中 で可愛 らしく頷 ずく。
『いってらしゃいませ、マスター!』
『ああ、行って来る!』
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『【カルマ】さま! ようこそ、【アルグリア戦記】へ! 現在、継続 プレイ中のアバターはご座 いませんが、新規 アバターでプレイを始められますか?』
純白 の空間に浮かぶ執事服に身を包んだ黒猫の姿の、【アルグリア戦記の総合案内人】である【ジョドー】が、常 に変わらない慇懃 な動作でカルマを迎えた。
『ああ、ジョドー。今回は【ゲーム世界に転生】の【カルマ】でプレイするよ!』
『なるほど! 【創造神の試練】クリア特典ですかカルマさま? ほう、特別シナリオですね、・・・・・・【ゲーム世界に転生】? なんと厨二病 溢 れるネーミングでしょう! 此 のジョドー、呆 れを通り越して笑ってしまいそうです!』
そう言いながらも、全く感情を表に出さないポーカーフェイスの執事に、カルマは内心 で苦笑 をしてゲームスタートの準備を始める。
特別シナリオ【ゲーム世界に転生】を選択券で指定し、プレイアバター【カルマ】を選択する。
あれ、封印 状態 じゃないぞ? 如何 なってるんだ?
キャラアバターのステータス情報を見ながら、カルマは訝 しむ。
スキルと能力値欄 で、ポイント固定の封印 表示 が無い!
はて、特別シナリオってイージーモードなの?
まあ、無いなら無いで問題は無い。
次に能力値を限界突破券で上限値を解除 にして、英雄ポイントで上限一杯まで限界値を上げていく。
う、うん? あれ、未々 上がり続けるぞ?
一千億英雄ポイント券を使用してポイントを獲得 してと!
おっ! 百億英雄ポイントで【∞ 】に為 ったぞ!
筋力 ・耐久力 ・知力 ・敏捷 ・器用 ・魅力 の各能力値をマックスの【∞ 】まで上げる。
状態値である生命力 ・魔力 ・精神力 ・持久力 は、育成次第で人種種族関係なく無限に成長が可能だった。
状態値まで【1】ポイント固定だったら、【創造神の試練】はクリア出来なかっただろう。
次にスキルだ。此 れは悩むな。スキル枠 撤廃券 で制限を解除 。現在所持している全てのスキルを付与するのは、容易 い。
だが、スキルは生き物なのでスキル同士で相性が悪いと、逆に力を発揮 出来 ない。
目指すは両親の早世 を阻止する。【創造神の試練】でアルグリア統一 制覇 を為 し遂 げた仲間達の無念 を全て改変 する。
其 の為 に全ての特典とポイントを使用して、プレイヤーネーム【カルマ】なら絶対にしない無双 プレイを為 ると決めていた。自重 はしない。
十二万三十四回。合計でプレイアバター【カルマ】の両親が亡くなった回数だった。両親が脳裏情報 で事切 れる度 に、胸の奥がチクリと痛んだ。自分の為 に文字通り命を投げ出した両親。
辛苦 を共にし、文字通り命を懸 けて大陸 統一 制覇 を為 し遂 げた仲間達。誰もが身体に、心に傷を負 っていた。共に戦い共に笑い共に死んだ仲間達。何万回と見た戦友 の死。無念 の想 い。全て俺が変えてやる。運命 を覆 し塗 り直 し改変 する。
カルマはそう心に決めていた。
スキルの選定 は、最終スキル構成を想定 して逆算 (目的地から逆に辿 る算段 )で作り上げていく。両親を仲間を助ける為 、カルマは未来地(最終目標)を設定し、現在地(生まれた時)から小目標を設定し、ルートを設定していく。其 れを為 すスキル構成を的確 に付与 していくのだった。
お、アイテムの持ち込みも制限がないぞ?
スゲー、流石 は特別シナリオ! やっぱり超 イージーモードだ!
常 のカルマなら喜ぶ処 か、渋 い顔に為 る状況だが、何 せ今回は万 が一 にも失敗は許されない。何故 なら特別シナリオ券は一枚しかない。失敗すれば再度【創造神の試練】をクリアしても貰 えるか不明 だった。
過去のシナリオでもシナリオマラソン(特典目当てで何回も同じシナリオをプレイする事)での特典 獲得 防止 の為 に、初回しか獲得 出来 ない限定特典も存在 したからだ。
ふ~ん、子孫 での継承 プレイは、不可 なのか?
全てのカスタマイズを終えたカルマは、ジョドーに【ゲームスタート】を申告 する。
『準備は万全 のようですね。カルマさま、・・・・・・』
執事の言葉には、憂 いがあった。顔には全く表さない感情 が、ノンプレイヤーキャラクターを装 うジョドーの心 の裡 に在 った。
『如何 したの、ジョドー? 何 か心配事でも在 るの?』
普段とは様子の違うジョドーにカルマは、小首 を傾 げる。
『いえ、全く問題はありません! 【カルマ】さま、準備が整いました!お 元 気 で !』
『行って来、えっ?(何 、お元気でって?)』
珍妙 な顔をした侭 のカルマが、エフェクト処理 され分解 されながら消えて往 った。
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「おぎゃああああああああああああああああああ~!」
「マルナよくやった! 元気な男の子だ! ・・・・・・よし! 【カルマ】と名付けよう!」
「カルマ、うっ、うう・・・・・・生まれてき、てくれて・・・・・・あり、がとう~」
お元気でって何 なんだよ? 如何 言 う意味だよ、ジョドー?
俺は普段と様子の違う執事の言葉が、妙 に心に引 っ掛 かっていた。
まあ、今更 考えても仕方ない。シナリオクリア後に聞けば済 む事だ。
特別シナリオ【ゲーム世界に転生】でも、始まりは【創造神の試練】と全く一緒 だな。
そりゃそうか、違ってたら逆に変だ。
さあ、此処 からは時間との勝負だ。呑気 に状態値を上げている訳 にはいかない。そんな緩 い時間はない。設定した小目標をクリアする為 に早速 動 き出 す。
其 の前にステータスの確認をしないと! 俺は脳裏情報 に自分のステータス情報を表示した。
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【情報表示】:▼
氏名 :【カルマ】
個体LV:【1】
備考:▼
年齢:【0歳】
種族:【森精霊人 と普精霊人 の混血 】
身分:【未設定】
職業:【未設定】
称号:【異世界転生者】▼
【異世界転生者】:転生した異界者 の称号。異世界言語 を使用可能。
【プレイヤー】▼
【プレイヤー】:ゲームプレイヤーの称号。ゲームシステムを使用可能。
才能 :【分体 分裂 ★】▼
【分体 分裂 ★】:母体 と分体 に分裂 する能力スキル。
【存在遮断 ★】▼
【存在遮断 ★】:存在 を別次元に隔離遮断 する能力スキル。
【迷宮創造 ★】▼
【迷宮創造 ★】:迷宮 を創造 する技術スキル。
【魔力無双 ☆】▼
【魔力無双 ☆】:現在の魔力値×10000倍にする能力スキル。
【状態 異常 無効 ☆】▼
【状態 異常 無効 ☆】: 諸有 状態異常を無効状態にする能力スキル。
【心眼 ☆】▼
【心眼 ☆】:鑑定眼の上位版の能力スキル。
【神童 LV1】▼
【神童 LV1】:十八歳まで獲得経験値×10倍とする能力スキル。
【浮遊 LV1】▼
【浮遊 LV1】:空中に浮く能力スキル。
【時空魔法LV1】▼
【時空魔法LV1】:時空を操 る魔法スキル。
【無属性 魔法 LV1】▼
【無属性 魔法 LV1】:無属性の魔法スキル。
【他】▽
説明:▼
【運命 と宿命 の申 し子 】
【状態表示】:▼
生命力 :【6/6】
魔力 :【80000/80000】
精神力 :【9/9】
持久力 :【3/3】
満腹度 :【11/100】
【能力表示】:▼
筋力 :【1】
耐久力 :【1】
知力 :【1】
敏捷 :【1】
器用 :【1】
魅力 :【1】
【部隊編成表示】:▼
統率力 :【未設定】
攻撃力 :【未設定】
防御力 :【未設定】
機動力 :【未設定】
持久力 :【未設定】/【未設定】
戦法力 :【未設定】/【未設定】
士気力 :【未設定】/【未設定】
詳細:▼
主将:【未設定】
副将:【未設定】
副将:【未設定】
部隊:【未設定】
戦法:【未設定】
特性:【未設定】
説明:【未設定】
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ブホッ!何 だよ、称号【異世界転生者 】って? 【ゲーム世界に転生】ってそう言う意味かよ?
俺は全てを察 した! つまり【異世界アルグリア】に転生した設定でプレイするシナリオなんだ!
ジョドーのあの様子も、あの言葉も、雰囲気 を盛り上げる設定だったんだ!
何 だよ、実は本当にゲーム世界に転生したかと焦 ったじゃないか! ジョドーに一杯 喰 わされた!
其 れで、【プレイヤー】の称号も在 るのか。
さてこうしている場合じゃない。
俺は両親の一瞬 の隙 を付いて、ユニークスキル の【分体 分裂 ★】を使用し、母体 は眠った振りをして、分体 は【時空 魔法 LV1】の【短距離転移 】で屋外に跳 んだ。
何 だかワクワクするな! 其 れじゃ、例 の処 へ参 りますか!
俺は真 っ裸 の侭 で、極寒 の吹雪の中を短距離転移 で進んでいく。
脳裏地図 と脳裏情報 から、目 的 地 への最短距離を空中に浮かび短距離転移 と併用 して進む。
時折 、個体レベルを上げるご褒美 タイムを満喫 する予定だ。
おっと、スノーラビットだ!
俺は気配を隠蔽 するスキルの最上位 であるエクストラスキル【存在遮断 ★】を使用する。此 のスキルは其処 に存在 しながらも、本当の身体は別次元 に存在 するスキルで、ファントムロード(種族)でプレイしたアバターでの完全制覇 クリア特典だった。
現在の次元 に於 いて、存 在 す る が 存 在 し な い 、姿も気配も熱も臭いも感じる事は無い。尚且 つ、通常武器ではダメージを負 わない。聖属性武器以外は物理無敵 のチートスキルだった。まあ、聖属性攻撃に激弱 なんだけどね、・・・・・・
ブォン!
空気を切り裂く透明の礫 が、スノーラビットを襲 う!
【無属性 魔法 LV1】の無属性 の魔力を、ドリルのように回転(攻撃力を上昇する)させながら、殺傷能力 を高めた礫 がスノーラビットにヒットする!
バシュッ!
透明の礫 はスノーラビットの眉間 を、寸分 違 わず打ち抜いた。
そして、真 っ赤 な華 を、真 っ白 い雪原に咲 かせたのだった。
へぇ~、綺麗 だ! ・・・・・・、じゃあないわ!!!
俺は一人 突 っ込 みと言う特殊 な高等 テクニックを、唯一人 で披露 して唖然 とした。
純白 の雪が降り積もる雪原に咲 いた一輪 の華 のように、真 っ赤 な血 が確 かに其処 には在 った。
普段はエフェクト処理 され、溢 れるように粒子 が舞い散る処 だ。
マジッスか? 本当に冗談 ではなく転生したの?
俺は脳裏情報 から、運営への【GMコール】をする為 にコールボタンを押そうとしたが、・・・・・・ボタンが無い?
マジッスか? いやいや、インダストリアのクリエイターはイカれているからな、此 れは何 かのドッキリ?
演出 の一環 とも言えるか、・・・・・・言えるか!!!
俺は一人 突 っ込 みと言う特殊 な高等 テクニックを、唯一人 で再度 披露 して疲労感 に襲 われた。
現実世界と仮想現実世界での唯一 の違いは、血 のエフェクト処理 だった。
プレイヤーの精神を護 る為 のシステム。其 のシステムを切るのは、【仮想現実世界の原則 】に大きく違反 する。
其 れで精神に異常 を起こしたら、賠償額 も天文学的 な数字が提示 されるだろう。
ふむ、他プレイヤーとの通信 システムのボタンは在 るが、灰色表示で何 かロックが掛かっているようだ。
其 れに、緊急時 の【ゲームアウト】ボタンも無い、・・・・・・よ?
やっちまったな! ジョドー!! やっちまったな!!!
俺は【ゲームスタート】する時の、【アルグリア戦記の総合案内人】であるジョドーの言葉を思い出していた。
『いえ、全く問題はありません! 【カルマ】さま、準備が整いました!お 元 気 で !』
全く問題在 り捲 りじゃないか、ジョドー?
聞いてないよ~、ジョドー?此処 は本当に異世界なのか?
ドッキリイベントじゃないのか?
異世界なら、俺がお亡くなりになったら【ゲームオーバー】為 らぬ、【ライフオーバー 】に為 っちゃうの?
俺、如何 為 っちゃうの?
ゲーム世界に転生って、何 じゃ! そりゃあああああ~!!!
「おぎゃああああああああああ~! (ゲーム世界に転生って、何 じゃ! そりゃあああああ~!)」
暖かい暖炉 の炎に照 らされながら、母体 のカルマも泣き叫ぶ。
「よ~し、よしよし~お腹空いたの~? 泣かないで~」
ウグウグっ! ・・・・・・母ちゃん、・・・・・・母乳が美味すぎる・・・・・・、ゲポっ!
マルナにあやされ授乳 されるカルマは、至福 に包まれた。
「あぅあぅあぅあああ!!!(テメエ、知ってやがったな! ジョドー!!)」
極寒 の雪化粧 の中、空中に浮かぶも う 一 人 の カ ル マ が真 っ裸 で叫ぶ!
其 の視線 の先には、真 っ赤 な血 の飛沫 が華 のように咲 いていた。
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【アルグリア戦記】には、セーブ機能 は存在しない。全て最初からのスタートと為 る。現 実 の 世 界 で、セーブなどは出来る筈 もない。此処 は【アルグリア世界】、もう一つの現実の世界。現実の一秒が、三千百十万四千秒に相当 する仮想の現実世界。現実の一時間が、百二十九万六千日(三千五百五十年と二百五十日)に相当 する【悠久 の歴史 を刻 む世界 】。
果 たして、【アルグリア世界】は、仮想の現実世界なのだろうか? 其 れとも、実はもう一つの現実世界【異世界 】なのだろうか? 其 の答えは【プレイヤー】だけが知っている。
To be continued ! ・・・・・・
戦争ゲームではあるが、
特色としては、選択したキャラアバターの能力を
『・・・・・・ご利用ありがとうご座いました!
プレイヤーが【ゲームアウト】で、エフェクト
『さて、来週から
執事服に身を包んだ無表情な黒猫の男が
彼こそが、【アルグリア戦記の総合案内人】である【ジョドー】で
現在一千万のプレイヤーの対応を一手に引き受け、更に
一千万のプレイヤーに
『くっくくくく!
さて、創造神カリダドの望みは
画面を無表情で見つめる執事の呟きを、聞いている者は誰も
FHSLG【アルグリア戦記】が他の仮想世界のゲームと
自分自身の
人は
ーーーーーーーーーー
「マスターお帰りなさい。どうされましたか? 顔が
うぐっ。ミリィの
やったー! 【創造神の試練】をクリアしたぞ!
俺は心の中で、
「熱も無いようですし、
う、うん?
俺は額の
「ぶっ! な、
目を開けた俺の目の前には、事もあろうにミリィの顔が
全て耳に掛けている【
「マスター?」
そんな首を横にコテンとさせても、駄目だものは駄目だ。俺は
「
「はい、マスター! 了解しました!」
ふー、助かった。ミリィには
「ミリィ、・・・・・・」
目の前で
----------
『
俺はMMOWG(多人数参加型戦争ゲーム)【
世界を
『カルマ、やっぱり鳥は良いな! 空を自由に
イカれた変態は例の
全てと言って良いプレイヤーから
『
『まあな、血のエフェクト
『
『ほう、
『
『
中々、
スキル
【アルグリア戦記】では、キャラアバターごとにスキルレベルの成長上限値が設定されている。其の成長限界値を、英雄ポイントを使用してカスタマイズする。初期設定値は変更不可な
ユニークスキル創造って、もうチートだよね?
最後の特別シナリオ【ゲーム世界に転生】の
『ほう、【ゲーム世界に転生】か?
『
全くその通りだ。一回コッキリの人生だ。
俺は亡くなった
『じゃあ、
『おう! またなカルマ!』
----------
俺は
生きとし生けるもの全てが
俺は大空を
凄いなカルマの
「ふん、そんなものはクソ
俺は
プレイヤーネーム【クマメタル】は、そう
アルグリア大陸の生きとし生きるもの全ての
【
【不死鳥ラフレシア】の
自分が燃やし尽くした
アルグリア大陸の四十七国家を
攻撃されなければ、攻撃をしないルールを持つ【クマメタル】は、俺を攻撃しろ、
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『ぽ~ん♪ マスター、ようこそ仮想空間へ! 本日のご
現実と仮想現実の世界とのエントランスである【ポータルサイトの案内人】の【ナリア】が、いつもの
『やあ、ナリア! 【アルグリア戦記】で頼む!』
『いってらしゃいませ、マスター!』
『ああ、行って来る!』
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『【カルマ】さま! ようこそ、【アルグリア戦記】へ! 現在、
『ああ、ジョドー。今回は【ゲーム世界に転生】の【カルマ】でプレイするよ!』
『なるほど! 【創造神の試練】クリア特典ですかカルマさま? ほう、特別シナリオですね、・・・・・・【ゲーム世界に転生】? なんと
そう言いながらも、全く感情を表に出さないポーカーフェイスの執事に、カルマは
特別シナリオ【ゲーム世界に転生】を選択券で指定し、プレイアバター【カルマ】を選択する。
あれ、
キャラアバターのステータス情報を見ながら、カルマは
スキルと
はて、特別シナリオってイージーモードなの?
まあ、無いなら無いで問題は無い。
次に能力値を限界突破券で上限値を
う、うん? あれ、
一千億英雄ポイント券を使用してポイントを
おっ! 百億英雄ポイントで【
状態値である
状態値まで【1】ポイント固定だったら、【創造神の試練】はクリア出来なかっただろう。
次にスキルだ。
だが、スキルは生き物なのでスキル同士で相性が悪いと、逆に力を
目指すは両親の
十二万三十四回。合計でプレイアバター【カルマ】の両親が亡くなった回数だった。両親が
カルマはそう心に決めていた。
スキルの
お、アイテムの持ち込みも制限がないぞ?
スゲー、
過去のシナリオでもシナリオマラソン(特典目当てで何回も同じシナリオをプレイする事)での
ふ~ん、
全てのカスタマイズを終えたカルマは、ジョドーに【ゲームスタート】を
『準備は
執事の言葉には、
『
普段とは様子の違うジョドーにカルマは、
『いえ、全く問題はありません! 【カルマ】さま、準備が整いました!
『行って来、えっ?(
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「おぎゃああああああああああああああああああ~!」
「マルナよくやった! 元気な男の子だ! ・・・・・・よし! 【カルマ】と名付けよう!」
「カルマ、うっ、うう・・・・・・生まれてき、てくれて・・・・・・あり、がとう~」
お元気でって
俺は普段と様子の違う執事の言葉が、
まあ、
特別シナリオ【ゲーム世界に転生】でも、始まりは【創造神の試練】と全く
そりゃそうか、違ってたら逆に変だ。
さあ、
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【情報表示】:▼
個体LV:【1】
備考:▼
年齢:【0歳】
種族:【
身分:【未設定】
職業:【未設定】
称号:【異世界転生者】▼
【異世界転生者】:転生した
【プレイヤー】▼
【プレイヤー】:ゲームプレイヤーの称号。ゲームシステムを使用可能。
【
【
【
【
【
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【
【
【
【
【
【
【
【
【
【時空魔法LV1】▼
【時空魔法LV1】:時空を
【
【
【他】▽
説明:▼
【
【状態表示】:▼
【能力表示】:▼
【部隊編成表示】:▼
詳細:▼
主将:【未設定】
副将:【未設定】
副将:【未設定】
部隊:【未設定】
戦法:【未設定】
特性:【未設定】
説明:【未設定】
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ブホッ!
俺は全てを
ジョドーのあの様子も、あの言葉も、
さてこうしている場合じゃない。
俺は両親の
俺は
おっと、スノーラビットだ!
俺は気配を
現在の
ブォン!
空気を切り裂く透明の
【
バシュッ!
透明の
そして、
へぇ~、
俺は
普段はエフェクト
マジッスか? 本当に
俺は
マジッスか? いやいや、インダストリアのクリエイターはイカれているからな、
俺は
現実世界と仮想現実世界での
プレイヤーの精神を
ふむ、他プレイヤーとの
やっちまったな! ジョドー!! やっちまったな!!!
俺は【ゲームスタート】する時の、【アルグリア戦記の総合案内人】であるジョドーの言葉を思い出していた。
『いえ、全く問題はありません! 【カルマ】さま、準備が整いました!
全く問題
聞いてないよ~、ジョドー?
ドッキリイベントじゃないのか?
異世界なら、俺がお亡くなりになったら【ゲームオーバー】
俺、
ゲーム世界に転生って、
「おぎゃああああああああああ~! (ゲーム世界に転生って、
暖かい
「よ~し、よしよし~お腹空いたの~? 泣かないで~」
ウグウグっ! ・・・・・・母ちゃん、・・・・・・母乳が美味すぎる・・・・・・、ゲポっ!
マルナにあやされ
「あぅあぅあぅあああ!!!(テメエ、知ってやがったな! ジョドー!!)」
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【アルグリア戦記】には、セーブ