０１２．ゲーム脳の変態は、一人突っ込みで滑（すべ）り捲（まく）る！

「おぎゃああああああああああああああああああ～！」



「マルナよくやった！　元気な男の子だ！　・・・・・・よし！　【カルマ】と名付けよう！」



「カルマ、うっ、うう・・・・・・生まれてき、てくれて・・・・・・あり、がとう～」



お元気でって何(なん)なんだよ？　如何(どう)言(い)う意味だよ、ジョドー？



俺は普段と様子の違う執事の言葉が、妙(みょう)に心に引(ひ)っ掛(か)かっていた。



まあ、今更(いまさら)考えても仕方ない。シナリオクリア後に聞けば済(す)む事だ。



特別シナリオ【ゲーム世界に転生】でも、始まりは【創造神の試練】と全く一緒(いっしょ)だな。



そりゃそうか、違ってたら逆に変だ。
　


さあ、此処(ここ)からは時間との勝負だ。呑気(のんき)に状態値を上げている訳(わけ)にはいかない。そんな緩(ゆる)い時間はない。設定した小目標をクリアする為(ため)に早速(さっそく)動(うご)き出(だ)す。
　


其(そ)の前にステータスの確認をしないと！　俺は脳裏情報(マインドインフォメーション)に自分のステータス情報を表示した。



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【情報表示】：▼

氏名(NAME)：【カルマ】

個体LV：【１】

備考：▼

年齢：【０歳】

種族：【森精霊人(エルフ)と普精霊人(ヒューマン)の混血(クオーター)】

身分：【未設定】

職業：【未設定】

称号：【異世界転生者】▼

　　　【異世界転生者】：転生した異界者(いかいしゃ)の称号。異世界言語(いせかいげんご)を使用可能。

　　　【プレイヤー】▼

　　　【プレイヤー】：ゲームプレイヤーの称号。ゲームシステムを使用可能。


才能(スキル)：【分体(ぶんたい)分裂(ぶんれつ)★】▼

　　　【分体(ぶんたい)分裂(ぶんれつ)★】：母体(ぼたい)と分体(ぶんたい)に分裂(ぶんれつ)する能力スキル。

　　　【存在遮断(エクジストブロック)★】▼

　　　【存在遮断(エクジストブロック)★】：存在(そんざい)を別次元に隔離遮断(かくりしゃだん)する能力スキル。

　　　【迷宮創造(ダンジョンメーカー)★】▼

　　　【迷宮創造(ダンジョンメーカー)★】：迷宮(ダンジョン)を創造(そうぞう)する技術スキル。

　　　【魔力無双(マジックオーバー)☆】▼

　　　【魔力無双(マジックオーバー)☆】：現在の魔力値×１００００倍にする能力スキル。

　　　【状態(じょうたい)異常(いじょう)無効(むこう)☆】▼

　　　【状態(じょうたい)異常(いじょう)無効(むこう)☆】： 諸有(あらゆる)状態異常を無効状態にする能力スキル。

　　　 【心眼(しんがん)☆】▼

　　　【心眼(しんがん)☆】：鑑定眼の上位版の能力スキル。

　　　【神童(しんどう)LV１】▼

　　　【神童(しんどう)LV１】：十八歳まで獲得経験値×１０倍とする能力スキル。

　　　【浮遊(ふゆう)LV１】▼

　　　【浮遊(ふゆう)LV１】：空中に浮く能力スキル。

　　　【時空魔法LV１】▼

　　　【時空魔法LV１】：時空を操(あやつ)る魔法スキル。

　　　【無属性(むぞくせい)魔法(まほう)LV１】▼

　　　【無属性(むぞくせい)魔法(まほう)LV１】：無属性の魔法スキル。

　　　【他】▽

説明：▼
　　　【運命(うんめい)と宿命(しゅくめい)の申(もう)し子(ご)】

【状態表示】：▼

生命力(HP)：【６/６】

魔力(MP)　：【８００００/８００００】

精神力(MSP)：【９/９】

持久力(EP)：【３/３】

満腹度(FP)：【１１/１００】

【能力表示】：▼

筋力(STR)　 ：【１】

耐久力(VIT) ：【１】

知力(INT)　 ：【１】

敏捷(AGI)　 ：【１】

器用(DEX)　 ：【１】

魅力(CHA)　 ：【１】


【部隊編成表示】：▼

統率力(LEA)：【未設定】

攻撃力(OFF)：【未設定】

防御力(DEF)：【未設定】

機動力(MOB)：【未設定】

持久力(END)：【未設定】/【未設定】

戦法力(TAC)：【未設定】/【未設定】

士気力(MOR)：【未設定】/【未設定】

詳細：▼

主将：【未設定】

副将：【未設定】

副将：【未設定】

部隊：【未設定】

戦法：【未設定】

特性：【未設定】

説明：【未設定】



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ブホッ！　何(なん)だよ、称号【異世界転生者(いせかいてんせいしゃ)】って？　【ゲーム世界に転生】ってそう言う意味かよ？



俺は全てを察(さっ)した！　つまり【異世界アルグリア】に転生した設定でプレイするシナリオなんだ！



ジョドーのあの様子も、あの言葉も、雰囲気(ふんいき)を盛り上げる設定だったんだ！



何(なん)だよ、実は本当にゲーム世界に転生したかと焦(あせ)ったじゃないか！　ジョドーに一杯(いっぱい)喰(く)わされた！　



其(そ)れで、【プレイヤー】の称号も在(あ)るのか。



さてこうしている場合じゃない。



俺は両親の一瞬(いっしゅん)の隙(すき)を付いて、ユニークスキル(固有才能)の【分体(ぶんたい)分裂(ぶんれつ)★】を使用し、母体(ぼたい)は眠った振りをして、分体(ぶんたい)は【時空(じくう)魔法(まほう)LV１】の【短距離転移(ショートワープ)】で屋外に跳(と)んだ。



何(なん)だかワクワクするな！　其(そ)れじゃ、例(れい)の処(ところ)へ参(まい)りますか！



俺は真(ま)っ裸(ぱだか)の侭(まま)で、極寒(ごくかん)の吹雪の中を短距離転移(ショートワープ)で進んでいく。



脳裏地図(マインドマップ)と脳裏情報(マインドインフォメーション)から、目(・)的(・)地(・)への最短距離を空中に浮かび短距離転移(ショートワープ)と併用(へいよう)して進む。



時折(ときおり)、個体レベルを上げるご褒美(ほうび)タイムを満喫(まんきつ)する予定だ。



おっと、スノーラビットだ！



俺は気配を隠蔽(いんぺい)するスキルの最上位(さいじょうい)であるエクストラスキル【存在遮断(エクジストブロック)★】を使用する。此(こ)のスキルは其処(そこ)に存在(そんざい)しながらも、本当の身体は別次元(べつじげん)に存在(そんざい)するスキルで、ファントムロード（種族）でプレイしたアバターでの完全制覇(かんぜんせいは)クリア特典だった。

現在の次元(じげん)に於(お)いて、存(・)在(・)す(・)る(・)が(・)存(・)在(・)し(・)な(・)い(・)、姿も気配も熱も臭いも感じる事は無い。尚且(なおか)つ、通常武器ではダメージを負(お)わない。聖属性武器以外は物理無敵(ぶつりむてき)のチートスキルだった。まあ、聖属性攻撃に激弱(げきよわ)なんだけどね、・・・・・・



ブォン！



空気を切り裂く透明の礫(つぶて)が、スノーラビットを襲(おそ)う！



【無属性(むぞくせい)魔法(まほう)LV１】の無属性(むぞくせい)の魔力を、ドリルのように回転（攻撃力を上昇する）させながら、殺傷能力(さっしょうのうりょく)を高めた礫(つぶて)がスノーラビットにヒットする！



バシュッ！



透明の礫(つぶて)はスノーラビットの眉間(みけん)を、寸分(すんぶん)違(たが)わず打ち抜いた。



そして、真(ま)っ赤(か)な華(はな)を、真(ま)っ白(しろ)い雪原に咲(さ)かせたのだった。



へぇ～、綺麗(きれい)だ！　・・・・・・、じゃあないわ！！！



俺は一人(ひとり)突(つ)っ込(こ)みと言う特殊(とくしゅ)な高等(こうとう)テクニックを、唯一人(ただひとり)で披露(ひろう)して唖然(あぜん)とした。



純白(じゅんぱく)の雪が降り積もる雪原に咲(さ)いた一輪(いちりん)の華(はな)のように、真(ま)っ赤(か)な血(ち)が確(たし)かに其処(そこ)には在(あ)った。



普段はエフェクト処理(しょり)され、溢(こぼ)れるように粒子(りゅうし)が舞い散る処(ところ)だ。



マジッスか？　本当に冗談(じゅうだん)ではなく転生したの？



俺は脳裏情報(マインドインフォメーション)から、運営への【GMコール】をする為(ため)にコールボタンを押そうとしたが、・・・・・・ボタンが無い？



マジッスか？　いやいや、インダストリアのクリエイターはイカれているからな、此(こ)れは何(なに)かのドッキリ？



演出(えんしゅつ)の一環(いっかん)とも言えるか、・・・・・・言えるか！！！



俺は一人(ひとり)突(つ)っ込(こ)みと言う特殊(とくしゅ)な高等(こうとう)テクニックを、唯一人(ただひとり)で再度(さいど)披露(ひろう)して疲労感(ひろうかん)に襲(おそ)われた。



現実世界と仮想現実世界での唯一(ゆいいつ)の違いは、血(ち)のエフェクト処理(しょり)だった。



プレイヤーの精神を護(まも)る為(ため)のシステム。其(そ)のシステムを切るのは、【仮想現実世界の原則(げんそく)】に大きく違反(いはん)する。



其(そ)れで精神に異常(いじょう)を起こしたら、賠償額(ばいしょうがく)も天文学的(てんもんがくてき)な数字が提示(ていじ)されるだろう。



ふむ、他プレイヤーとの通信(つうしん)システムのボタンは在(あ)るが、灰色表示で何(なに)かロックが掛かっているようだ。



其(そ)れに、緊急時(きんきゅうじ)の【ゲームアウト】ボタンも無い、・・・・・・よ？



やっちまったな！　ジョドー！！　やっちまったな！！！



俺は【ゲームスタート】する時の、【アルグリア戦記の総合案内人】であるジョドーの言葉を思い出していた。



『いえ、全く問題はありません！　【カルマ】さま、準備が整いました！　お(・)元(・)気(・)で(・)！』



全く問題在(あ)り捲(まく)りじゃないか、ジョドー？



聞いてないよ～、ジョドー？　此処(ここ)は本当に異世界なのか？



ドッキリイベントじゃないのか？



異世界なら、俺がお亡くなりになったら【ゲームオーバー】為(な)らぬ、【ライフオーバー(人生終了)】に為(な)っちゃうの？



俺、如何(どう)為(な)っちゃうの？



ゲーム世界に転生って、何(なん)じゃ！　そりゃあああああ～！！！







「おぎゃああああああああああ～！　(ゲーム世界に転生って、何(なん)じゃ！　そりゃあああああ～！)」



暖かい暖炉(だんろ)の炎に照(て)らされながら、母体(ぼたい)のカルマも泣き叫ぶ。



「よ～し、よしよし～お腹空いたの～？　泣かないで～」



ウグウグっ！　・・・・・・母ちゃん、・・・・・・母乳が美味すぎる・・・・・・、ゲポっ！



マルナにあやされ授乳(じゅにゅう)されるカルマは、至福(しふく)に包まれた。







「あぅあぅあぅあああ！！！（テメエ、知ってやがったな！　ジョドー！！）」



極寒(ごくかん)の雪化粧(ゆきげしょう)の中、空中に浮かぶも(・)う(・)一(・)人(・)の(・)カ(・)ル(・)マ(・)が真(ま)っ裸(ぱだか)で叫ぶ！



其(そ)の視線(しせん)の先には、真(ま)っ赤(か)な血(ち)の飛沫(しぶき)が華(はな)のように咲(さ)いていた。



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【アルグリア戦記】には、セーブ機能(きのう)は存在しない。全て最初からのスタートと為(な)る。現(・)実(・)の(・)世(・)界(・)で、セーブなどは出来る筈(はず)もない。此処(ここ)は【アルグリア世界】、もう一つの現実の世界。現実の一秒が、三千百十万四千秒に相当(そうとう)する仮想の現実世界。現実の一時間が、百二十九万六千日（三千五百五十年と二百五十日）に相当(そうとう)する【悠久(ゆうきゅう)の歴史(れきし)を刻(きざ)む世界(せかい)】。



果(は)たして、【アルグリア世界】は、仮想の現実世界なのだろうか？　其(そ)れとも、実はもう一つの現実世界【異世界(いせかい)】なのだろうか？　其(そ)の答えは【プレイヤー】だけが知っている。







To be(続きは) continued(また次回で)！　・・・・・・