4つ目:起業してみた(その1)

文字数 2,059文字

--<評価>---------------
難易度:高(運と時間が必要)
メリット:自己満足
デメリット:疲れる
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今月の6月18日、知人の会社が上場した。
私が最初の会社を設立したのが今から17年前。私の会社とその会社の設立日が数日違いだった。
なので、上場のニュースを見てちょっと嬉しかった。

だから、今回は起業について書いてみようと思う。

起業を考えている人が見たら、少しは参考になるかもしれない。
興味の無い人は本話を飛ばしてほしい。

ところで、私の話(オジサンの武勇伝)を書くと読む人がイライラしそうだ。
だから、一般的な話や他社の話を前提に、偏見をもたずに書くことにする。

私は仕事柄、数百社、数千社に関わっている。
会社設立のとき(起業)に関わることもあるし、会社を清算するときに関わることもある。「ゆりかごから墓場まで」のような職業だ。

さて、これが起業する人に意識してほしいことだ。

【起業するときは〇〇〇を決めておかないといけない】

〇〇〇に入るのは「辞め時」だ。

会社を設立するときに清算することを考えておけ、とは縁起が悪いかもしれない。

ただ、これには理由がある。
ここでは以下の2点について書こうと思う。

1.会社が成功するかどうかは運である
2.会社が成功するには時間が掛かる

まず、1点目から説明しよう。


1.会社が成功するかどうかは運である

ここでの話はあくまで私の意見だ。主観の部分が強いので、「そうじゃない!」と思う人もいるかもしれない。ご了承いただきたい。

会社を設立してから1年後にその会社が存続している(休眠状態ではなく営業を継続している状態)は約30%だ。
3年後になると約10%になる。
つまり、10社に1社しか残らない。

会社が存続しない理由は幾つかある。たとえば、

・思ったよりも業績が伸びない
・役職員が辞めていく
・取り分で揉めて仲間割れする
・従業員がお金を持ち逃げする

純粋に事業が失敗して倒産するケースはそんなに多くない。
起業には不確定要素が多い。何がネックになるか分からない。
実際に、私は起業して1年で仲間割れして分裂した。

さて、起業する人は夢や希望に溢れている。
「これは絶対に売れるはず!」とか「僕なら成功するはず!」と考えている。
しかし、重要な点を見逃している。

まず、神様でもなければ未来を予想することはできない。勘のいい人でも成功率は70%くらいだろう。
「これは絶対に売れるはず!」とか「僕なら成功するはず!」はやってみないと分からない。

例として、パン屋を始めた人の話をしよう。

その人は某有名パン屋さんで修行し、技術を習得したパン職人だった。
某有名パン屋さんの中でもかなりの腕前で、「私の焼くパンはどこよりも美味しい!」と自信を持っていた。
そして、このクオリティのパンを提供するパン屋は「成功するはず!」と信じていた。
でも、失敗した。

失敗した理由はなんだろうか?

他のパン屋さんも美味しいからだ。
自信のないパン職人は独立(起業)しない。

まず、これを考えてみてほしい。

――自信の無い人は起業するだろうか?

起業する人はそれなりの腕前、スキルを有している。
社内で「この人は仕事ができる!」、「この人は優秀だ!」と言われていた人が起業する。熟練のパン職人が起業(お店を出店する)するイメージだ。
※もちろん、そうでない場合もある。

つまり、既に存在する会社は、仕事ができる人、優秀な人が作った会社だ。
起業すると、優秀な人が溢れている市場に参入することになる。
その中で生き残れるのは以下のどちらかだ。

・とんでもなく仕事ができる人
・運のいい人

「とんでもなく仕事ができる人」の起業家は稀だ。数が少ない。

大多数の起業家の優秀さのレベルは変わらない。みんな同じくらい優秀だ。
仕事ができて当然、その中で生き残るのは「運のいい人」ということになる。

つまり、会社の成功に必要なのは「運」だ。

「良いサービスなんだけどなー」という起業家は多い。
でも、考えてほしい。
その会社のサービスもいいけど、他社のサービスも良いのだ。
両者のサービスの差が分かる消費者はいない。

『3月のライオン』で山崎順慶五段の有名なセリフがある。こんなセリフだ。

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「信じれば夢は叶う」それは多分 本当だ
但し 一文が抜けている「信じて努力を続ければ夢を叶う」——これが 正解だ。
さらに言えば 信じて「他のライバルよりも1時間長く毎日努力を続ければ ある程度迄の夢は、かなりの確率で」叶う——だ
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これは会社経営に似ている。

・優秀な人が起業する
・優秀な人は他社に勝つために努力する
・優秀な人は成功することを信じて努力する

そして、成功するのは「かなりの確率」ではなく「それなりの確率」だ。

だから、運が重要になる。
会社が成功するかどうかは運しだいということだ。

<つづく>
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