「異世界、襲来」
文字数 2,449文字
「残念ながら君は死んでしまいました」
気付けば、ぼくは何もない白い空間に浮かんでいた。
何もないどころじゃなく、上も下も、右も左も、ない。
ある――と言うより、いるのは目の前のお姉さんだけ。
「……ちょっと待ってください。死んだって、どういうことですか? っていうかあなた誰ですか? それと、ええと……」
ここはどこですか、ぼくはどうして死んじゃったんですか、あなたのパンツの色は何色ですか。けっこう露出高い服着てますね、趣味なんですか?
質問は次から次に浮かぶけれど、それを全部訊いてちゃアスペだと思われるから、途中でやめておくことにしよう。
ぼくが何も言わなくなるのを待ったようにして、目の前のお姉さんが、ピンク色をしたきれいな形の唇を開く。
「私の名前はレユ。神の娘です」
「娘?」
お姉さんの声はやや高めの、聞いていて気持ちの良い声だった。
見た目から想像するに、ぼくより一つ二つ年上くらいだろう。
「本当は私の父があなたの相手をするはずだったのです。しかし、男性受けを狙うならば若い女の方がいいということで、私が代わりにあなたの応対をしているのです」
「は、はあ。そりゃどうも」
確かにきれいなお姉さんだ。
よくできた陶器みたいな白い肌に、澄んだ青色の瞳。輝くようなブロンドの髪が腰まである。
スタイルも良くて、昔の絵画なんかによく出てくるあのゆったりしたドレスがかなり似合っている。
で、そのドレスの隙間からお姉さん……レユとか言ったっけ? レユさんの太ももとかわき腹とかがちらちら見えてて、特にわき腹の方はベストサイズの胸が見えちゃったりしないかなんて余計な心配をしたくなる。
つーか見えちゃえばいいのに。土下座でもしたら見せてくれるんだろうか。いや、でもそんなことしたらぼくの社会的尊厳が……。
あ、でもレユさんの言う通りなら僕は死んじゃってんだよな。
だとしたら社会的尊厳なんてあってないようなものか。
「……なにやらいやらしいことを考えておられるみたいですが、見せませんよ?」
じとっとした目でぼくを見るレユさん。
「ええ!? どうしても駄目ですか? ちょっとくらい良いじゃないですか」
「ダメなものはダメです!」
ツンとした表情でレユさんが怒る。
でも、本当に整った顔だよな。怒った顔も芸術品みたいだ。
「本当に残念だなあ。レユさん、すごく綺麗な人なのに」
「……今、なんと?」
おっといけない。
考えていることが勝手に口から洩れてしまったみたいだ。
「いや、何でもないんです。ただ、レユさんみたいな綺麗な人、ぼく、会ったこともなかったから、見せてくれないのがとっても残念だなあって思っただけで」
「ええと、私が、何ですって?」
レユさんの声音が変わる。
「え? だから、とても綺麗だって」
「……いやあ、そんなことないですよぉ」
ふとレユさんの方を見上げると、彼女はまんざらでもなさそうな顔で両手を振っていた。
口元には緩んだ笑顔が浮かんでいる。
もしかしたら押しに弱いタイプなのかも。これはチャンスだ。
「いやいや、間違いなくレユさんは綺麗な人ですよ。世界中の誰がなんと言おうと、ぼくが保障します。レユさんがナンバーワンです!」
「そ、そうですかぁ? そしたら、もしかしたらそうなのかも……」
レユさんの表情がますます緩んでいく。
「当たり前ですよ! レユさんみたいに綺麗な人はどこを探したって見つかりませんって」
「えへへ、そんなに褒めちゃってどうするんですか、もう」
レユさんの頬が赤くなって、でもそれでいて嫌がってはいない。
むしろ、さっきまでの澄ました様子からは想像できないくらいデレデレだ。
あと一押しで、いけそうだ。
「レユさんは美人! レユさんは可愛い! レユさんが一番! だから、だからおっぱい見せて下さい!」
「そ、そこまで言うなら仕方ないですね。ちょっとだけですよ!」
やった。
ギャルゲやエロゲ、アニメやラノベ、ありとあらゆるラブコメを嘗め回すようにプレイして来た甲斐があった。
ありがとうCLA○NAD、ありがとうリト○ス、ありがとうい○ご100%、そしてありがとう、パワ○ロクンポケット。全ての子供達にありがとう!
そうこうしている間にレユさんはドレスの胸元に手を掛け始めていた。
性、いや世紀の瞬間を見逃すわけにはいかない。心の録画ボタンをオンにしておくんだ、ぼく!
「それじゃ、ホントにちょっとだけですからね。あなただけに……特別ですよ」
顔を赤らめながら、上目遣いのレユさんが両手でドレスの胸元を開こうとする。
ごくっ。
僕が生唾(汚い)を呑み込んだ瞬間。
“それ”はやって来た。
「やめろおおおおおおおおっっっ!!!!」
どおおおおん!
上空から飛来した“それ”はものすごい音と共にぼくとレユさんの間に着陸した……と同時に、大穴を開けながらハンパない勢いで地面にめり込んでいった。
あれ、地面? さっきまで地面なんてなかったような……。
気付けば、ぼくらは広大な草原に立っていた。
どこまでも続く緑の大地だ。まるでゲームの一エリアみたいだな。
あっ、しまった。レユさんの方を見てなかった。
「……わわ、わ、私ったら何を!」
目の前でレユさんが慌てたように両手で胸元を隠し、ぼくに背を向ける。
それから顔だけをこっちに向けて、恨みがましい目でぼくを睨んでくる。
「あのー、怒りました?」
「もうあなたの言うことは信用しませんっ!」
頬を膨らませながらレユさんが言う。
「……怒った顔も素敵ですね」
「そ、そうですか? えへへ……って、もうその手には乗りませんからねっ!」
と言いつつも、ゆるゆるの口元は隠せていない。
案外、というかかなりチョロい人らしい。
気付けば、ぼくは何もない白い空間に浮かんでいた。
何もないどころじゃなく、上も下も、右も左も、ない。
ある――と言うより、いるのは目の前のお姉さんだけ。
「……ちょっと待ってください。死んだって、どういうことですか? っていうかあなた誰ですか? それと、ええと……」
ここはどこですか、ぼくはどうして死んじゃったんですか、あなたのパンツの色は何色ですか。けっこう露出高い服着てますね、趣味なんですか?
質問は次から次に浮かぶけれど、それを全部訊いてちゃアスペだと思われるから、途中でやめておくことにしよう。
ぼくが何も言わなくなるのを待ったようにして、目の前のお姉さんが、ピンク色をしたきれいな形の唇を開く。
「私の名前はレユ。神の娘です」
「娘?」
お姉さんの声はやや高めの、聞いていて気持ちの良い声だった。
見た目から想像するに、ぼくより一つ二つ年上くらいだろう。
「本当は私の父があなたの相手をするはずだったのです。しかし、男性受けを狙うならば若い女の方がいいということで、私が代わりにあなたの応対をしているのです」
「は、はあ。そりゃどうも」
確かにきれいなお姉さんだ。
よくできた陶器みたいな白い肌に、澄んだ青色の瞳。輝くようなブロンドの髪が腰まである。
スタイルも良くて、昔の絵画なんかによく出てくるあのゆったりしたドレスがかなり似合っている。
で、そのドレスの隙間からお姉さん……レユとか言ったっけ? レユさんの太ももとかわき腹とかがちらちら見えてて、特にわき腹の方はベストサイズの胸が見えちゃったりしないかなんて余計な心配をしたくなる。
つーか見えちゃえばいいのに。土下座でもしたら見せてくれるんだろうか。いや、でもそんなことしたらぼくの社会的尊厳が……。
あ、でもレユさんの言う通りなら僕は死んじゃってんだよな。
だとしたら社会的尊厳なんてあってないようなものか。
「……なにやらいやらしいことを考えておられるみたいですが、見せませんよ?」
じとっとした目でぼくを見るレユさん。
「ええ!? どうしても駄目ですか? ちょっとくらい良いじゃないですか」
「ダメなものはダメです!」
ツンとした表情でレユさんが怒る。
でも、本当に整った顔だよな。怒った顔も芸術品みたいだ。
「本当に残念だなあ。レユさん、すごく綺麗な人なのに」
「……今、なんと?」
おっといけない。
考えていることが勝手に口から洩れてしまったみたいだ。
「いや、何でもないんです。ただ、レユさんみたいな綺麗な人、ぼく、会ったこともなかったから、見せてくれないのがとっても残念だなあって思っただけで」
「ええと、私が、何ですって?」
レユさんの声音が変わる。
「え? だから、とても綺麗だって」
「……いやあ、そんなことないですよぉ」
ふとレユさんの方を見上げると、彼女はまんざらでもなさそうな顔で両手を振っていた。
口元には緩んだ笑顔が浮かんでいる。
もしかしたら押しに弱いタイプなのかも。これはチャンスだ。
「いやいや、間違いなくレユさんは綺麗な人ですよ。世界中の誰がなんと言おうと、ぼくが保障します。レユさんがナンバーワンです!」
「そ、そうですかぁ? そしたら、もしかしたらそうなのかも……」
レユさんの表情がますます緩んでいく。
「当たり前ですよ! レユさんみたいに綺麗な人はどこを探したって見つかりませんって」
「えへへ、そんなに褒めちゃってどうするんですか、もう」
レユさんの頬が赤くなって、でもそれでいて嫌がってはいない。
むしろ、さっきまでの澄ました様子からは想像できないくらいデレデレだ。
あと一押しで、いけそうだ。
「レユさんは美人! レユさんは可愛い! レユさんが一番! だから、だからおっぱい見せて下さい!」
「そ、そこまで言うなら仕方ないですね。ちょっとだけですよ!」
やった。
ギャルゲやエロゲ、アニメやラノベ、ありとあらゆるラブコメを嘗め回すようにプレイして来た甲斐があった。
ありがとうCLA○NAD、ありがとうリト○ス、ありがとうい○ご100%、そしてありがとう、パワ○ロクンポケット。全ての子供達にありがとう!
そうこうしている間にレユさんはドレスの胸元に手を掛け始めていた。
性、いや世紀の瞬間を見逃すわけにはいかない。心の録画ボタンをオンにしておくんだ、ぼく!
「それじゃ、ホントにちょっとだけですからね。あなただけに……特別ですよ」
顔を赤らめながら、上目遣いのレユさんが両手でドレスの胸元を開こうとする。
ごくっ。
僕が生唾(汚い)を呑み込んだ瞬間。
“それ”はやって来た。
「やめろおおおおおおおおっっっ!!!!」
どおおおおん!
上空から飛来した“それ”はものすごい音と共にぼくとレユさんの間に着陸した……と同時に、大穴を開けながらハンパない勢いで地面にめり込んでいった。
あれ、地面? さっきまで地面なんてなかったような……。
気付けば、ぼくらは広大な草原に立っていた。
どこまでも続く緑の大地だ。まるでゲームの一エリアみたいだな。
あっ、しまった。レユさんの方を見てなかった。
「……わわ、わ、私ったら何を!」
目の前でレユさんが慌てたように両手で胸元を隠し、ぼくに背を向ける。
それから顔だけをこっちに向けて、恨みがましい目でぼくを睨んでくる。
「あのー、怒りました?」
「もうあなたの言うことは信用しませんっ!」
頬を膨らませながらレユさんが言う。
「……怒った顔も素敵ですね」
「そ、そうですか? えへへ……って、もうその手には乗りませんからねっ!」
と言いつつも、ゆるゆるの口元は隠せていない。
案外、というかかなりチョロい人らしい。