「幼女が乗るって言ってんだ!!」
文字数 1,575文字
ぼくはセキカさんと交代でシートに座り、レユさんをセキカさんに渡そうとした。
が。
「いや。私はナナさんのお膝に座ります」
と、頑なにぼくから離れようとしないので、仕方なく太ももの上に座らせた。
「ちゃんと捕まってないと危ないですよ?」
「大丈夫です。絶対に放しませんから」
ちょうどぼくと向き合う形で座るレユさん。
これ、体位でいうところの対面なんとかとかいう……いや、深く考えるのはよそう。今は目の前の敵に集中だ。
モニターの正面には敵のMFが三機、こちらを向いている様子が映し出されている。
警戒しているのだろうか。一向に近づいて来ない。
っていうか敵のロボットもこの機体も、MFっていうよりはATだよな。サイズと言い、フォルムと言い。来週も、キ○コと地獄に付き合ってもらう。
さて、問題はぼくにラ○ァほどの素養があるかどうかだ。
とりあえずレバーが左と右に。足元にはフットペダルもある。
モニターはどうやら液晶ディスプレイらしく、その片隅にはメーターが表示されていて、この機体の状況を表すらしい数値が上下している。
すごい、五倍以上のエネルギーゲインがある……かどうかは分からない。
まずぼくはレバーに手をかけてみた。
「扱い方は、なんとなく分かるな……!?」
体が機体にフィットした感覚。
ぼくの右手は無意識の内に、コンソールパネルの液晶を操作していた。
ぎゅうううううん!
機体が軽く振動し、モニター隅のメーターが一気に上限まで到達する。
「う、動いたぞっ!」
「さすがです、ナナさん!」
「まだエンジンが目を覚ましただけです!」
モニター中央に文字が表示される。
それはぼくの知っている文字だった。
「点睛……テンセイ? この機体の名前か?」
「読めるのか、ナナっ!?」
「は、はい。でも意味は分かりません!」
「ナナさん、敵が近づいてきますよ!」
レユさんの声に再びモニターを見れば、敵のMFが二機、こちらへ近づきつつあった。
やってみるさ……!
レバーを引きつつ、フットペダルを踏みこむ。
ぼくらの乗ったMF――テンセイは安定した動作で体を起こし、立ちあがった。
その時、不意にコクピットへ声が飛び込んできた。
『曹長! 敵のMFが動き出しました!』
『何!? てっきりもう動けんものと思っていたが……!』
『我々の任務はその機体の確保だ。余計な攻撃はするな!』
『いや……まだよく動けんようです。やります!』
「撃つ気だ!」
敵の一機が、ぼくらへ向けあの機関銃を連射する。
「きゃあっ!!」
セキカさんが悲鳴を上げ、レユさんがぼくにしがみつく。
瞬間、モニターは弾着の閃光で一杯になった。
衝撃で揺れるコックピット。
だけど、テンセイは踏みとどまった。
「くそっ、見てろよ、敵め!」
『な、なんて機体だ、ライフルを全く受け付けな――』
「しゃべるな!」
テンセイはぼくの意思のままに、敵の機体を殴っていた。
『――っ!』
敵の機体(サコウとか言ったっけ?)は、頭部を大破させながら後ろ向きに倒れた。
「頭部を破壊されたものは失格となる!」
そんなルールがこの世界にあるとは思えないが。
もう一機のサコウはまだ動きを止めたまま。チャンスだ。
「武器はないのか、武器は!」
だいたいこういう時は、近接武器が背中辺りにマウントされているものだ。
ぼくはテンセイの右手を機体の背中側に伸ばした――それはそこにあった。
「ビームサー○ルだっ!」
もしくはライトセ○バー。まあ、音が全然違うけど。
テンセイの右手に握られた灼熱の刃がもう片方のサコウを腹部から一刀両断する。
機体は直後に爆発し、遺跡全体を揺らした。
が。
「いや。私はナナさんのお膝に座ります」
と、頑なにぼくから離れようとしないので、仕方なく太ももの上に座らせた。
「ちゃんと捕まってないと危ないですよ?」
「大丈夫です。絶対に放しませんから」
ちょうどぼくと向き合う形で座るレユさん。
これ、体位でいうところの対面なんとかとかいう……いや、深く考えるのはよそう。今は目の前の敵に集中だ。
モニターの正面には敵のMFが三機、こちらを向いている様子が映し出されている。
警戒しているのだろうか。一向に近づいて来ない。
っていうか敵のロボットもこの機体も、MFっていうよりはATだよな。サイズと言い、フォルムと言い。来週も、キ○コと地獄に付き合ってもらう。
さて、問題はぼくにラ○ァほどの素養があるかどうかだ。
とりあえずレバーが左と右に。足元にはフットペダルもある。
モニターはどうやら液晶ディスプレイらしく、その片隅にはメーターが表示されていて、この機体の状況を表すらしい数値が上下している。
すごい、五倍以上のエネルギーゲインがある……かどうかは分からない。
まずぼくはレバーに手をかけてみた。
「扱い方は、なんとなく分かるな……!?」
体が機体にフィットした感覚。
ぼくの右手は無意識の内に、コンソールパネルの液晶を操作していた。
ぎゅうううううん!
機体が軽く振動し、モニター隅のメーターが一気に上限まで到達する。
「う、動いたぞっ!」
「さすがです、ナナさん!」
「まだエンジンが目を覚ましただけです!」
モニター中央に文字が表示される。
それはぼくの知っている文字だった。
「点睛……テンセイ? この機体の名前か?」
「読めるのか、ナナっ!?」
「は、はい。でも意味は分かりません!」
「ナナさん、敵が近づいてきますよ!」
レユさんの声に再びモニターを見れば、敵のMFが二機、こちらへ近づきつつあった。
やってみるさ……!
レバーを引きつつ、フットペダルを踏みこむ。
ぼくらの乗ったMF――テンセイは安定した動作で体を起こし、立ちあがった。
その時、不意にコクピットへ声が飛び込んできた。
『曹長! 敵のMFが動き出しました!』
『何!? てっきりもう動けんものと思っていたが……!』
『我々の任務はその機体の確保だ。余計な攻撃はするな!』
『いや……まだよく動けんようです。やります!』
「撃つ気だ!」
敵の一機が、ぼくらへ向けあの機関銃を連射する。
「きゃあっ!!」
セキカさんが悲鳴を上げ、レユさんがぼくにしがみつく。
瞬間、モニターは弾着の閃光で一杯になった。
衝撃で揺れるコックピット。
だけど、テンセイは踏みとどまった。
「くそっ、見てろよ、敵め!」
『な、なんて機体だ、ライフルを全く受け付けな――』
「しゃべるな!」
テンセイはぼくの意思のままに、敵の機体を殴っていた。
『――っ!』
敵の機体(サコウとか言ったっけ?)は、頭部を大破させながら後ろ向きに倒れた。
「頭部を破壊されたものは失格となる!」
そんなルールがこの世界にあるとは思えないが。
もう一機のサコウはまだ動きを止めたまま。チャンスだ。
「武器はないのか、武器は!」
だいたいこういう時は、近接武器が背中辺りにマウントされているものだ。
ぼくはテンセイの右手を機体の背中側に伸ばした――それはそこにあった。
「ビームサー○ルだっ!」
もしくはライトセ○バー。まあ、音が全然違うけど。
テンセイの右手に握られた灼熱の刃がもう片方のサコウを腹部から一刀両断する。
機体は直後に爆発し、遺跡全体を揺らした。