「来週も幼女に付き合ってもらう。」
文字数 1,967文字
今後はロリコンとして越えてはいけない一線を守りつつ頑張っていこう、なんてぼくが決意を新たにし たその瞬間だった。
「何者だっ!?」
「!?」
あまりにも突然の出来事に、ぼくの腕の中のレユさんも大人しくなった。
廃墟になった家屋の影から飛び出してきたのは、拳銃を構えた女の人だった。
迷彩色の軍服みたいな服を着ていて、髪はオレンジ色のショートカット。背はぼくと同じくらいの、キツい目つきをした女の人だ。
胸はそんなに大きくないし、まだ子どもっぽい見た目だけど、ロリってほど幼い感じでもない。女子高生くらいだろうか。生の女子高生なんてしばらく見てないから、真偽のほどは疑わしいけれど。
「何者だと聞いている、名乗れ!」
「ぼ、ぼくは……ええと」
あれ? そう言えばぼく、名前なんだったっけ? ド忘れした。
「答えられないのか? さては貴様、魔王軍の人間だなっ!」
「い、いや、ええと、名無しなんだ」
「ナナシダ? 変わった名前だな?」
カン違いされてしまった。
でも、ヤバい、本当に名前が思い出せない。
「レユさん、ぼくの名前は?」
レユさんは僕の腕の中で、驚いたように目を見開いた。自分に話が振られるとは思ってなかったらしい。
「え、ええー? ナナシダさんでいいじゃないですか」
「よ、良くないよ。ぼくにだって名前くらいあるでしょ?」
「そう言われましても……」
「そこ! 二人で何を話している! 怪しい動きをするならば撃つぞっ!」
女の人が銃を構え直す。
と、その時、ぼくはなんだか自分の体が揺れているのを感じた。
「レユさん、震えてるんですか?」
「え? 私はてっきりナナシダさんが……」
「だからさっきからなに話してるんだって! 動くなって言ってるだろっ!」
女の人の指が拳銃の引き金に掛かった、その瞬間。
彼女の背後にあった廃墟が突然倒壊した。
「はああ!?」
もうもうと立ち込める土煙。
そしてその陰から現れたのは、人間より二回りほど大きな、人型をした鋼鉄の巨人だった。
俗に言う二足歩行型ロボットってやつだ。
全体的に丸っこいボディ。そして頭部には単眼のカメラ。
両手で抱えてるのは、あれ、機関銃とかいうやつだよな?
『こそこそとよく逃げ回るものだ、反乱軍!』
巨人の外部スピーカーから人の声が拡散される。
それから巨人はその両手で機関銃を構えると、ぼくらに向かって撃ち放った。
がががががっっ!
「うわああああああっっ!?」
ぼくとレユさんの悲鳴がハモる。
轟音と共に廃墟が崩れ落ち、瓦礫が飛び散る。
ヤバい奴だ。っていうかこんなのどかな世界になんであんなものがあるんだ!?
ぼくはレユさんの体をしっかり抱きかかえると、巨人から離れるべく走った。
ぼくに掴まるレユさんの両手も、それに答えるように強張る。
いつ以来かも分からない全力疾走。それも幼女の重荷つき。
そんなハードな動きにぼくの体が耐えうるはずもなく。
「た、大変ですナナシダさん! あのおっきいの、こっちを向いてますよ!」
「……レユさん」
「なんですかっ!?」
「ぼく、活動限界です」
「内部電源は!?」
「そんなもんあるわけないでしょ! ぼくは汎用人型決戦兵器ですか!」
最後の力を振り絞り、巨人から隠れられるような大きめの瓦礫の影に飛び込む。レユさんがケガしないようにゆっくり地面にしゃがみこむ。
はあ、はあ。
通常の三倍は動いた心臓は、もうオーバーロード寸前だ。○N粒子を再充填しなきゃ。
「ナナシダさん、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ、問題ない。ぼくはロリを守るためなら不可能を可能にする男です」
当然嘘だ!
「それにしても、あれって一体何なんでしょう?」
「レユさんも知らないんですか?」
「はい。ルオナ界のことはほとんど何も……」
ええ?
それでよくあのロリはレユさんをここに置いていけたな?
「とにかくここを離れなきゃ。このままだと天下を獲るどころの話じゃない!」
呼吸を整えたぼくが、逃げ道はないかと辺りを見渡した時。
機関銃の連続した銃声を振り切るようにして、陰に飛び込んできた人影があった。
「ええい、魔王軍め……!」
さっきの迷彩服のお姉さんだ。顔が煤のようなもので黒くなっている。
どうしよう。何か声をかけた方がいいんだろうか。
でもうかつに何か言ってまた撃たれそうになるのも嫌だしなあ。
ぼくはレユさんを抱えて、そっとその場を離れようとした、の、だけれど。
「おい、待て、貴様!」
「は、はい!」
思わずぼくはお姉さんの方を振り返っていた。まったく、意思が弱いというかなんというか……。
「何者だっ!?」
「!?」
あまりにも突然の出来事に、ぼくの腕の中のレユさんも大人しくなった。
廃墟になった家屋の影から飛び出してきたのは、拳銃を構えた女の人だった。
迷彩色の軍服みたいな服を着ていて、髪はオレンジ色のショートカット。背はぼくと同じくらいの、キツい目つきをした女の人だ。
胸はそんなに大きくないし、まだ子どもっぽい見た目だけど、ロリってほど幼い感じでもない。女子高生くらいだろうか。生の女子高生なんてしばらく見てないから、真偽のほどは疑わしいけれど。
「何者だと聞いている、名乗れ!」
「ぼ、ぼくは……ええと」
あれ? そう言えばぼく、名前なんだったっけ? ド忘れした。
「答えられないのか? さては貴様、魔王軍の人間だなっ!」
「い、いや、ええと、名無しなんだ」
「ナナシダ? 変わった名前だな?」
カン違いされてしまった。
でも、ヤバい、本当に名前が思い出せない。
「レユさん、ぼくの名前は?」
レユさんは僕の腕の中で、驚いたように目を見開いた。自分に話が振られるとは思ってなかったらしい。
「え、ええー? ナナシダさんでいいじゃないですか」
「よ、良くないよ。ぼくにだって名前くらいあるでしょ?」
「そう言われましても……」
「そこ! 二人で何を話している! 怪しい動きをするならば撃つぞっ!」
女の人が銃を構え直す。
と、その時、ぼくはなんだか自分の体が揺れているのを感じた。
「レユさん、震えてるんですか?」
「え? 私はてっきりナナシダさんが……」
「だからさっきからなに話してるんだって! 動くなって言ってるだろっ!」
女の人の指が拳銃の引き金に掛かった、その瞬間。
彼女の背後にあった廃墟が突然倒壊した。
「はああ!?」
もうもうと立ち込める土煙。
そしてその陰から現れたのは、人間より二回りほど大きな、人型をした鋼鉄の巨人だった。
俗に言う二足歩行型ロボットってやつだ。
全体的に丸っこいボディ。そして頭部には単眼のカメラ。
両手で抱えてるのは、あれ、機関銃とかいうやつだよな?
『こそこそとよく逃げ回るものだ、反乱軍!』
巨人の外部スピーカーから人の声が拡散される。
それから巨人はその両手で機関銃を構えると、ぼくらに向かって撃ち放った。
がががががっっ!
「うわああああああっっ!?」
ぼくとレユさんの悲鳴がハモる。
轟音と共に廃墟が崩れ落ち、瓦礫が飛び散る。
ヤバい奴だ。っていうかこんなのどかな世界になんであんなものがあるんだ!?
ぼくはレユさんの体をしっかり抱きかかえると、巨人から離れるべく走った。
ぼくに掴まるレユさんの両手も、それに答えるように強張る。
いつ以来かも分からない全力疾走。それも幼女の重荷つき。
そんなハードな動きにぼくの体が耐えうるはずもなく。
「た、大変ですナナシダさん! あのおっきいの、こっちを向いてますよ!」
「……レユさん」
「なんですかっ!?」
「ぼく、活動限界です」
「内部電源は!?」
「そんなもんあるわけないでしょ! ぼくは汎用人型決戦兵器ですか!」
最後の力を振り絞り、巨人から隠れられるような大きめの瓦礫の影に飛び込む。レユさんがケガしないようにゆっくり地面にしゃがみこむ。
はあ、はあ。
通常の三倍は動いた心臓は、もうオーバーロード寸前だ。○N粒子を再充填しなきゃ。
「ナナシダさん、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ、問題ない。ぼくはロリを守るためなら不可能を可能にする男です」
当然嘘だ!
「それにしても、あれって一体何なんでしょう?」
「レユさんも知らないんですか?」
「はい。ルオナ界のことはほとんど何も……」
ええ?
それでよくあのロリはレユさんをここに置いていけたな?
「とにかくここを離れなきゃ。このままだと天下を獲るどころの話じゃない!」
呼吸を整えたぼくが、逃げ道はないかと辺りを見渡した時。
機関銃の連続した銃声を振り切るようにして、陰に飛び込んできた人影があった。
「ええい、魔王軍め……!」
さっきの迷彩服のお姉さんだ。顔が煤のようなもので黒くなっている。
どうしよう。何か声をかけた方がいいんだろうか。
でもうかつに何か言ってまた撃たれそうになるのも嫌だしなあ。
ぼくはレユさんを抱えて、そっとその場を離れようとした、の、だけれど。
「おい、待て、貴様!」
「は、はい!」
思わずぼくはお姉さんの方を振り返っていた。まったく、意思が弱いというかなんというか……。