「ロボットに幼女と(接触篇)」
文字数 2,094文字
「大体4~5メートルくらいですかね? 誰が造ったんだろう」
魔王軍と呼ばれる連中が乗っていた機体とは形が全然違う。あちらは丸いフォルムだったけど、こっちはかなり角ばったデザインだ。
本当にだれが造ったんだろう。アステカ文明かインカ文明か、はたまたムー文明とかアトランティス文明とか。
自分がアトランティス人だと思い込んだ人間が最終話で塩になりそう。
もしくは第六文明人の遺跡とか? いやだな、うっかり宇宙が滅びそう。
「これ、まさか、MFかっ!?」
機敏な動きでセキカさんがぼくへ駆け寄って来る。
「MF? そういえばさっき言ってましたね。モビルファイターですか?」
「マンフレーム(man frame)の略だぞっ! 魔王軍が使ってる人型兵器のことだっ! 私たちを襲ってきたのは、確か、サコウとか呼ばれてるタイプだなっ!」
「へえ……凄いですね」
魔王軍って意外とハイテクじゃないか。
そのハイテクにぼくらは殺されようとしているわけだけど。
「今の装備じゃあいつらには勝てないっ! もしこれが動くんだったらっ……!」
「ぼくが流派東方不敗の継承者ならなんとかなったんですけどね」
「とーほーふはい?」
ぽかんとした顔をするセキカさん。
いくらぼくにテレパシーがあっても、共通の認識が出来なければうまく相手に伝わらないらしい。
「いや、忘れて下さい。冗談なんです」
伝わらないパロネタほど辛いものはない。現世に帰りたい。
その時、地面が揺れた。
敵のロボットが近づいて来ているらしい。
「仕方ないっ! これに乗って戦おうっ!」
「え!? 動くんですか、これ?」
「システムが生きてるなら大丈夫だっ! 私に任せりゃいいっ!」
言うが早いかセキカさんは、軽い身のこなしで古びた銅像みたいなマシンの腹部に駆け上って、その側面にあるレバーを引いた。
すると、マシン(MFだっけ?)の装甲が一部上へ持ち上がり、中からコクピットらしき機構が現れた。
「三人も乗れるんですか?」
「外にいる方が危ないぞっ!」
セキカさんがぼくに手を伸ばす。
ぼくはその手を握って、MFのコクピットまで引き上げて貰った。
コクピットの中にはシートが一つと、左右にレバーがあった。壁際にはメカメカしい機械がぎゅうぎゅうに押し込められていて、まさしくロボットって感じだった。
セキカさんはぼくらがコクピットに収まったのを確認してから、自分もコクピットの中に入って、それからシートに腰かけた。
それだけでコクピットはおしくらまんじゅう状態だ。目の前にセキカさんの顔がある。
セキカさん、案外肌もきれいだ。睫毛も長い。
「動かせるんですか、セキカさん?」
「セキカって呼べって言っただろっ! 大丈夫さ、標準規格なら私だってシミュレーションしたことがあるからっ!」
「何回くらいですか?」
「うーん、二回かなっ」
アムロと同じというわけか……! いや、このネタは絶対伝わらん。
セキカさんは素早い動作でシート手元のコンソールパネルを操作し、コクピットのハッチを閉じる。
同時にシート正面の計器類に灯がともり、ぼくらの周囲に設置されたモニターが外の様子を映し出した。
「す、すごい! こんなの初めて見た!」
「…………」
「あれ、どうしたんですセキカさん、顔色悪いですよ?」
「…………んだ」
「え?」
「このMF、操縦系統が全然違うんだっ!」
「といいますと?」
「私じゃ動かせないってことっ!」
半べそをかきながらセキカさんが叫ぶ。
「な、シミュレーションを二度やったんでしょ!?」
「だ、だけどこんな風になってるなんて知らなかったんだもんっ!」
「じゃあ誰が動かすんですか!」
じっ。
コクピット内の視線がぼくに集中する。
「ええっ!? ぼくですか!?」
があああんっ!
轟音と共に壁を蹴破り入って来たのは、魔王軍のMFだった。
しかも一機じゃない。三機だ。
その内一番後ろに控える一機は赤色で塗装されていて、いかにも強そうだ。
「どうしようどうしよう、ぼくだってやったことありませんって!」
「……でも、ナナさん、私はナナさんを信じてます」
「はあ? 信じてくれたら空を飛ぶことも湖の水を飲み干すことだってできるなんてのはおとぎ話ですよ!」
ぼくに抱えられたままのレユさんに怒鳴ったぼくだったが、その目を見て思わず息を呑んでしまった。
レユさんは静かに言う。
「ナナさんは私 を守るためだったら、不可能を可能にするんでしょ?」
「う……、あ、あれは口から出まかせで」
レユさんの蒼い瞳は、ぼくに対する信頼で満ちていた。
モニターの光を受けてきらきら輝いている、ロリの純粋な瞳。
くそっ、ぼくがロリコンでなければ。
でも、ロリコンだから。
ロリの期待は、
信頼は、
そしてレユさんは、
「裏切れないよな……!」
「ナナ、やってくれるかっ!?」
「やるもやらないもないんでしょ? やりますよ!」
魔王軍と呼ばれる連中が乗っていた機体とは形が全然違う。あちらは丸いフォルムだったけど、こっちはかなり角ばったデザインだ。
本当にだれが造ったんだろう。アステカ文明かインカ文明か、はたまたムー文明とかアトランティス文明とか。
自分がアトランティス人だと思い込んだ人間が最終話で塩になりそう。
もしくは第六文明人の遺跡とか? いやだな、うっかり宇宙が滅びそう。
「これ、まさか、MFかっ!?」
機敏な動きでセキカさんがぼくへ駆け寄って来る。
「MF? そういえばさっき言ってましたね。モビルファイターですか?」
「マンフレーム(man frame)の略だぞっ! 魔王軍が使ってる人型兵器のことだっ! 私たちを襲ってきたのは、確か、サコウとか呼ばれてるタイプだなっ!」
「へえ……凄いですね」
魔王軍って意外とハイテクじゃないか。
そのハイテクにぼくらは殺されようとしているわけだけど。
「今の装備じゃあいつらには勝てないっ! もしこれが動くんだったらっ……!」
「ぼくが流派東方不敗の継承者ならなんとかなったんですけどね」
「とーほーふはい?」
ぽかんとした顔をするセキカさん。
いくらぼくにテレパシーがあっても、共通の認識が出来なければうまく相手に伝わらないらしい。
「いや、忘れて下さい。冗談なんです」
伝わらないパロネタほど辛いものはない。現世に帰りたい。
その時、地面が揺れた。
敵のロボットが近づいて来ているらしい。
「仕方ないっ! これに乗って戦おうっ!」
「え!? 動くんですか、これ?」
「システムが生きてるなら大丈夫だっ! 私に任せりゃいいっ!」
言うが早いかセキカさんは、軽い身のこなしで古びた銅像みたいなマシンの腹部に駆け上って、その側面にあるレバーを引いた。
すると、マシン(MFだっけ?)の装甲が一部上へ持ち上がり、中からコクピットらしき機構が現れた。
「三人も乗れるんですか?」
「外にいる方が危ないぞっ!」
セキカさんがぼくに手を伸ばす。
ぼくはその手を握って、MFのコクピットまで引き上げて貰った。
コクピットの中にはシートが一つと、左右にレバーがあった。壁際にはメカメカしい機械がぎゅうぎゅうに押し込められていて、まさしくロボットって感じだった。
セキカさんはぼくらがコクピットに収まったのを確認してから、自分もコクピットの中に入って、それからシートに腰かけた。
それだけでコクピットはおしくらまんじゅう状態だ。目の前にセキカさんの顔がある。
セキカさん、案外肌もきれいだ。睫毛も長い。
「動かせるんですか、セキカさん?」
「セキカって呼べって言っただろっ! 大丈夫さ、標準規格なら私だってシミュレーションしたことがあるからっ!」
「何回くらいですか?」
「うーん、二回かなっ」
アムロと同じというわけか……! いや、このネタは絶対伝わらん。
セキカさんは素早い動作でシート手元のコンソールパネルを操作し、コクピットのハッチを閉じる。
同時にシート正面の計器類に灯がともり、ぼくらの周囲に設置されたモニターが外の様子を映し出した。
「す、すごい! こんなの初めて見た!」
「…………」
「あれ、どうしたんですセキカさん、顔色悪いですよ?」
「…………んだ」
「え?」
「このMF、操縦系統が全然違うんだっ!」
「といいますと?」
「私じゃ動かせないってことっ!」
半べそをかきながらセキカさんが叫ぶ。
「な、シミュレーションを二度やったんでしょ!?」
「だ、だけどこんな風になってるなんて知らなかったんだもんっ!」
「じゃあ誰が動かすんですか!」
じっ。
コクピット内の視線がぼくに集中する。
「ええっ!? ぼくですか!?」
があああんっ!
轟音と共に壁を蹴破り入って来たのは、魔王軍のMFだった。
しかも一機じゃない。三機だ。
その内一番後ろに控える一機は赤色で塗装されていて、いかにも強そうだ。
「どうしようどうしよう、ぼくだってやったことありませんって!」
「……でも、ナナさん、私はナナさんを信じてます」
「はあ? 信じてくれたら空を飛ぶことも湖の水を飲み干すことだってできるなんてのはおとぎ話ですよ!」
ぼくに抱えられたままのレユさんに怒鳴ったぼくだったが、その目を見て思わず息を呑んでしまった。
レユさんは静かに言う。
「ナナさんは
「う……、あ、あれは口から出まかせで」
レユさんの蒼い瞳は、ぼくに対する信頼で満ちていた。
モニターの光を受けてきらきら輝いている、ロリの純粋な瞳。
くそっ、ぼくがロリコンでなければ。
でも、ロリコンだから。
ロリの期待は、
信頼は、
そしてレユさんは、
「裏切れないよな……!」
「ナナ、やってくれるかっ!?」
「やるもやらないもないんでしょ? やりますよ!」