「幼女に吠える」

文字数 1,749文字

「ええっ? それじゃ反乱軍ってあなたたちだけなんですか?」

 ぼくらはあの遺跡から、きれいな水の流れる川のほとりへ移動していた。
 体を洗う必要があったからだ。理由は聞かないで欲しい。

「おう、その通りよ」

 そう言ってぼくに着替えとタオルを渡してくれたのは、ウワナという名の男だった。
 色黒な好青年といった感じの彼こそ、セキカさんの所属する反乱軍のリーダーである。
 ぼくは川から上がると体を拭いて、ウワナさんが渡してくれた服に着替えた。
 麻みたいな手触りのシャツとズボンだ。どうやら服装の文化はぼくの知っているものとあまり変わらないらしい。
 それにしても川で水浴びなんて初めての経験だ。ちなみにレユさんもセキカさんたちに体を洗って貰っているはずだ。草木の影になってよく見えないけれど。

「セキカさんがあんな立派な格好してたから、きっとかなりの規模の軍隊なんだと思ってました」
「あいつは確か、魔王軍に滅ぼされた街の出身なんだ。北の都の近くだったと思うが、とにかく俺たちとは違う」
「それじゃ、ウワナさんはどこから来たんですか?」
「東都ハルさ。家出して来たんだ。ハナエとサナエは途中で拾った」
「拾った?」
「あいつらにも色々事情があるってことよ。着替え、終わったのか?」
「あ、ああ、すみません」

 中途半端にズボンだけを履いていたぼくは、慌ててシャツを羽織った。
 ちょっとサイズが大きいな?

「俺の予備の服だ。お前にやる」
「いいんですか?」
「俺たちの仲間になってくれるんだろ? セキカに聞いた。それと引き換えなら安いもんさ」
「はあ、そりゃどうも……」

 話が早くて助かる。

「俺たちはこのまま南都ナツに下って、ファジンタ族と連合を組む。それから南都の魔王軍を倒して、反乱軍の旗揚げにする」
「出来るんですか?」
「なんでもやってみなくちゃ分かんねえ。それに魔王軍を倒さなきゃ、ルオナ界の統一なんて無理だろ?」
「ウワナさんも世界征服を狙ってるんですか?」
「当ったり前よ! ルオナ界で一番偉くなったヤツはシュパン界に行って無限の富と名誉を手にすることができるって伝説、知らないのか?」
「伝説って?」
「ああ?」

 …………。

「ええと、とにかくウワナさんはその富と名誉を得るために戦ってるわけですね?」
「そうさ。いずれ俺は世界を獲る男だ」
「なるほど。実はぼくもルオナ界を統一しなきゃいけない事情があるんですよ。利害の一致ですね」
「戦力不足の俺らにとっちゃ、お前のあの機体もありがたいな。えー、ナナとか言ったか?」
「は、はい?」
「今ハナエに整備させてるが、まあとにかく困ったことがありゃ何でも言ってくれ。行こう」

 ぼくの着替えが終わるのを待っていたように、ウワナさんが回れ右をする。
 その先には二機のMFがあった。ぼくのテンセイとウワナさんたちが乗っていたあのハンドメイド感あふれる機体だ。名前はラガタンとかいうらしい。
 こうしてみるとラガタンはテンセイよりも二回りほど大きい。
 小型化は難しかったんだろうか。確かにF9〇も小型だもんな。大型のジェ○ンとかは小型の機体にぼこぼこやられてたし。しかも脳波コントロールできる。いや、ラガタンが脳波で動かせるかは分からないけど。あーもう滅茶苦茶だよ。
 テンセイに近づくと、小さな人影が何か作業をしているのが見えた。
 メカニックのハナエさんだ。

「おう、ハナエ、順調か?」

 ウワナさんの声にハナエさんが振り向く。

「ウワナ様、それにナナ君! この機体面白いッスね!」

 ハナエさんはぱたぱたとぼくらの方へ駆け寄って来る。
 小柄で利発そうな顔立ちをしたハナエさんだが、残念ながらロリではない。多分セキカさんとあまり変わらないくらいの年齢だろう。
 着ている作業服から体の凹凸があまり分からないのは、きっとハナエさんはひんにゅ……ごほんごほん。人の見た目をあれこれ言ってはいけない。ちなみにロリコンのぼくとしてはロリ乳≫越えられない壁>貧乳>巨乳って感じだ。っていうかそもそも胸の大きさをそれほど重要視しているわけではない。結局はそこに乳首があるかどうかが大切なのだ。
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