「ロリコンのひと」
文字数 1,695文字
「ナナ君、ウチの顔何かついてるッスか? さっきからずっとこっち見てるけど……」
「あ、ああ、いえ、機械の整備が出来るなんてすごいなあと思って。尊敬のまなざしですよ」
「ウチにできるのはこれくらいッスから。装甲の損傷個所のチェックと、それから操縦席のシートを複座にしておいたッスよ」
「複座?」
「そうっス。レユちゃんがシート増やしといてくれって言ってたッスから。あれ? もしかして余計なお世話だったッスか?」
しまったという表情で目をおおきく開くハナエさん。
「いえ、別にそんなことは。ありがとうございます。これでレユさんも酔わなくて済みます」
ゲロイン卒業か。よかったよかった。
なんて考えていると、すごい勢いで何者かがぼくに突っ込んできた。
「ナナさんっ!」
「ひでぶっ!」
何者かは勢いそのままにぼくのわき腹に飛びつく。その衝撃は凄まじい。
誰かと思って見てみれば、いや、ぼくに飛びついて来るやつなんてこの世界に一人くらいしか思いつかないけど、それでも確認のために見てみれば、案の定レユさんだった。
あー、内臓だけを破壊されたかと思った。無空波みたいに。……え? 陸奥圓明流をご存じない?
「元気ですねレユさん、何かいいことでもあったんですか?」
「もうっ! 見て分からないんですか!?」
「見て……?」
よく見ると、レユさんが着ているのはセーラー服風の襟のある、胸元に朱色リボンのついたロリータワンピースだった。レユさんの金髪も相まってなんだかとっても異国情緒って感じだ。
「ははあ、よく似合ってますね。似合いぶりが半端ないですよ。世界中のロリを束にしても今のレユさんには敵わないでしょう」
「またまたー、そんなこと言っちゃって!」
おばちゃんみたいな反応をするロリは、照れ隠しにぼくの背中をバシバシ叩く。
けっこう痛い。
「でもその服、どこで手に入れたんです?」
「ええと、それは」
レユさんが後ろを振り返る。
すると、向こうからセキカさんともう一人、長身でスタイルのいいお姉さんが歩いて来るのが見えた。サナエさんだ。
「ちょうどセキカが服を余らせてたからね。ちょうどよかったんだよ」
「セキカさんが? 着れるんですか?」
もしそうだとしてもかなりピッチピチだろう。そういうのに興奮する人もいるんだろうか。
「いや、それは違うんだっ! 違うんだけど……まあ、あんまり気にしないでくれっ!」
明るく笑うセキカさん。
でもその表情にはなんだか裏がありそうで、まるでそれ以上聞くなと言っているようだった。
まあ別にそこまで興味のあることじゃないし。いいか。
「お二人ともとてもやさしい方でしたよ、ナナさん。とても親切にしていただきました」
「親切に? ああ、ありがとうございます」
ぼくが頭を下げると、
「いや、いいんだよ。野暮なことは聞かないけどさ、あんたもけっこう苦労してんだろ?」
サナエさんは黒い髪をポニーテールにしてまとめている。セキカさんと同じような迷彩服を着ていて、素人目でもかなり鍛えられた体だというのが見て取れる。
「ええ、それなりに……」
世界を滅亡から救う使命を帯びているんです、なんて言ったって笑われるのがオチだろう。ここは適当に誤魔化しておく。
「それにしても、レユ、本当に可愛いなっ! ナナにはもったいないくらいだっ!」
ひょい、とセキカさんがレユさんを後ろから抱え上げ、レユさんの柔らかいほっぺたに頬ずりをした。くすぐったそうな表情のレユさん。
「くすぐったいですよぉ!」
「いいだろちょっとくらいっ! ほらほらっ!」
美少女がじゃれ合っている光景って、なんて目に優しいんだろう。
現代社会に揉まれて荒んだぼくの心を潤してくれる。
やっぱり社会の荒波に揉まれるよりは、女の子の胸を揉んでいたいと思うのがぼくだ。
それにしても、セキカさんって妙にレユさんに構いたがるよな。
小さい子に対して何か特別な思いがあるんだろうか。
まさかぼくと同じロリコンとか?
「あ、ああ、いえ、機械の整備が出来るなんてすごいなあと思って。尊敬のまなざしですよ」
「ウチにできるのはこれくらいッスから。装甲の損傷個所のチェックと、それから操縦席のシートを複座にしておいたッスよ」
「複座?」
「そうっス。レユちゃんがシート増やしといてくれって言ってたッスから。あれ? もしかして余計なお世話だったッスか?」
しまったという表情で目をおおきく開くハナエさん。
「いえ、別にそんなことは。ありがとうございます。これでレユさんも酔わなくて済みます」
ゲロイン卒業か。よかったよかった。
なんて考えていると、すごい勢いで何者かがぼくに突っ込んできた。
「ナナさんっ!」
「ひでぶっ!」
何者かは勢いそのままにぼくのわき腹に飛びつく。その衝撃は凄まじい。
誰かと思って見てみれば、いや、ぼくに飛びついて来るやつなんてこの世界に一人くらいしか思いつかないけど、それでも確認のために見てみれば、案の定レユさんだった。
あー、内臓だけを破壊されたかと思った。無空波みたいに。……え? 陸奥圓明流をご存じない?
「元気ですねレユさん、何かいいことでもあったんですか?」
「もうっ! 見て分からないんですか!?」
「見て……?」
よく見ると、レユさんが着ているのはセーラー服風の襟のある、胸元に朱色リボンのついたロリータワンピースだった。レユさんの金髪も相まってなんだかとっても異国情緒って感じだ。
「ははあ、よく似合ってますね。似合いぶりが半端ないですよ。世界中のロリを束にしても今のレユさんには敵わないでしょう」
「またまたー、そんなこと言っちゃって!」
おばちゃんみたいな反応をするロリは、照れ隠しにぼくの背中をバシバシ叩く。
けっこう痛い。
「でもその服、どこで手に入れたんです?」
「ええと、それは」
レユさんが後ろを振り返る。
すると、向こうからセキカさんともう一人、長身でスタイルのいいお姉さんが歩いて来るのが見えた。サナエさんだ。
「ちょうどセキカが服を余らせてたからね。ちょうどよかったんだよ」
「セキカさんが? 着れるんですか?」
もしそうだとしてもかなりピッチピチだろう。そういうのに興奮する人もいるんだろうか。
「いや、それは違うんだっ! 違うんだけど……まあ、あんまり気にしないでくれっ!」
明るく笑うセキカさん。
でもその表情にはなんだか裏がありそうで、まるでそれ以上聞くなと言っているようだった。
まあ別にそこまで興味のあることじゃないし。いいか。
「お二人ともとてもやさしい方でしたよ、ナナさん。とても親切にしていただきました」
「親切に? ああ、ありがとうございます」
ぼくが頭を下げると、
「いや、いいんだよ。野暮なことは聞かないけどさ、あんたもけっこう苦労してんだろ?」
サナエさんは黒い髪をポニーテールにしてまとめている。セキカさんと同じような迷彩服を着ていて、素人目でもかなり鍛えられた体だというのが見て取れる。
「ええ、それなりに……」
世界を滅亡から救う使命を帯びているんです、なんて言ったって笑われるのがオチだろう。ここは適当に誤魔化しておく。
「それにしても、レユ、本当に可愛いなっ! ナナにはもったいないくらいだっ!」
ひょい、とセキカさんがレユさんを後ろから抱え上げ、レユさんの柔らかいほっぺたに頬ずりをした。くすぐったそうな表情のレユさん。
「くすぐったいですよぉ!」
「いいだろちょっとくらいっ! ほらほらっ!」
美少女がじゃれ合っている光景って、なんて目に優しいんだろう。
現代社会に揉まれて荒んだぼくの心を潤してくれる。
やっぱり社会の荒波に揉まれるよりは、女の子の胸を揉んでいたいと思うのがぼくだ。
それにしても、セキカさんって妙にレユさんに構いたがるよな。
小さい子に対して何か特別な思いがあるんだろうか。
まさかぼくと同じロリコンとか?