「ロリコン奮戦」
文字数 1,621文字
「ナナさん、敵です!」
「敵だって!?」
レユさんがモニターの一角を指さす。
草原が広がる地平線の向こう側、そこにあのサコウとかいうMFの影があった。しかも二機。
「ウワナさん、敵です!」
『分かってる! 居住ユニットを切り離す! ナナはセキカたちを守ってやってくれ!』
「了解!」
ラガタンの機体からセキカさんたちの乗る居住ユニットが切り離され、ラガタンは戦車モードのまま敵影に突っ込んでいく。
ぼくはテンセイを居住区の前に立たせ、周囲を警戒した。
「……ところでナナさん、ルオナ界の鉄則って知ってますか?」
「鉄則? さあ、なんでしょう」
「父がよく言っていました。戦闘シーンは短い方がいい、ストレスになるから、と」
「ほう。といいますと?」
「つまりですね、ロボット同士が戦うシーンなんて誰も望んでいないのですよ。それよりは女の子のパンツとかハダカを見せていた方が読者は喜ぶのです」
「じゃ、ぼくはどうしたらいいんですか?」
「あいつらを瞬殺してお色気シーンに突入されるのがいいでしょう。私も一肌脱ぎますよ、文字通りの意味で!」
「みなぎってきたwww」
前方ではラガタンと二機のサコウが激しい銃撃戦を繰り広げている。
だけど、変だ。
敵の使っている武器は恐らく普通の機関銃。そうなると、さっき起こった爆発が説明できない。
ということは、別の誰かがどこかにいる?
妙な気配を感じて振り返れば、遠距離から放たれた一発のミサイル弾がぼくらへ迫っていた。
その軌道は確実にラガタンを狙っていて、当のラガタンは敵に集中しているのだからこのままじゃ直撃は免れない。
「こなくそっ!」
ビーム剣を引き抜き、落下モーションに入るミサイルめがけてテンセイの機体を跳び上がらせる。
バーニアの加速力と急激な動作に揺れるテンセイ、ミサイルとの相対距離を表示するモニターの数値。
「やれるかっ!?」
オデッサ作戦曰く、水爆だってうまくやれば爆発しないんだ。ただのミサイルくらいなんてことはない!
重金属粒子で形成された(かどうかは知らないけど)ビームの刃が、ミサイルの弾頭だけを切り離していく。
「……っ!」
ミサイルは爆発することなく二つに分かれた。
なんとかなったらしい。
テンセイを着地させ、モニターを探る。
「レユさん、敵の位置は?」
「て、敵の位置ですか? たぶん、ええと、あっちかな?」
レユさんがモニター正面を指さし、ぼくはそちらの方へ意識を集中させた。
……一機、いる。あの丘の影に隠れてる奴が、一機。
『ナナ、どうしたんだ? 無事か?』
「ウワナさん、もう一機います! 居住ブロックを頼みます!」
『分かった。任せる!』
ラガタンが居住ブロックを守るように機体を旋回させるのを見て、ぼくはテンセイを隠れているらしい敵の下へ走らせる。
敵もこちらに気づいたらしく、草原の小高い丘から身を乗り出してきた。
「ほらね、居ると思ったんだ!」
敵の持つミサイルランチャーは単発式らしく、敵は次の弾を装填するのに手間取っていた。チャンスだ。
近づいて、ビーム剣で一気に切り裂いて――。
ごつっ!
「な、何!?」
敵がランチャーを持ち上げ、テンセイの頭にぶつけたらしい。
弾の装填は既に終わっている。
なるほど、要するに敵は装弾に手間取るふりをして、ぼくを確実に倒せる間合いに誘い込んだってわけか。
なんだその高等テク! こいつは……エースだ!
っていうかこれってめちゃくちゃピンチでは? ヘルメットがあってもなくても即死では?
や、ヤバいヤバいどうしよう。せめてレユさんだけでも逃がしてあげなきゃ!
ちゅどーん!
ほら爆発した! 死んだ!
……いや生きてる!
見れば、爆発したのは敵の方だった。頭部が破損して黒煙と火花が散っている。
「敵だって!?」
レユさんがモニターの一角を指さす。
草原が広がる地平線の向こう側、そこにあのサコウとかいうMFの影があった。しかも二機。
「ウワナさん、敵です!」
『分かってる! 居住ユニットを切り離す! ナナはセキカたちを守ってやってくれ!』
「了解!」
ラガタンの機体からセキカさんたちの乗る居住ユニットが切り離され、ラガタンは戦車モードのまま敵影に突っ込んでいく。
ぼくはテンセイを居住区の前に立たせ、周囲を警戒した。
「……ところでナナさん、ルオナ界の鉄則って知ってますか?」
「鉄則? さあ、なんでしょう」
「父がよく言っていました。戦闘シーンは短い方がいい、ストレスになるから、と」
「ほう。といいますと?」
「つまりですね、ロボット同士が戦うシーンなんて誰も望んでいないのですよ。それよりは女の子のパンツとかハダカを見せていた方が読者は喜ぶのです」
「じゃ、ぼくはどうしたらいいんですか?」
「あいつらを瞬殺してお色気シーンに突入されるのがいいでしょう。私も一肌脱ぎますよ、文字通りの意味で!」
「みなぎってきたwww」
前方ではラガタンと二機のサコウが激しい銃撃戦を繰り広げている。
だけど、変だ。
敵の使っている武器は恐らく普通の機関銃。そうなると、さっき起こった爆発が説明できない。
ということは、別の誰かがどこかにいる?
妙な気配を感じて振り返れば、遠距離から放たれた一発のミサイル弾がぼくらへ迫っていた。
その軌道は確実にラガタンを狙っていて、当のラガタンは敵に集中しているのだからこのままじゃ直撃は免れない。
「こなくそっ!」
ビーム剣を引き抜き、落下モーションに入るミサイルめがけてテンセイの機体を跳び上がらせる。
バーニアの加速力と急激な動作に揺れるテンセイ、ミサイルとの相対距離を表示するモニターの数値。
「やれるかっ!?」
オデッサ作戦曰く、水爆だってうまくやれば爆発しないんだ。ただのミサイルくらいなんてことはない!
重金属粒子で形成された(かどうかは知らないけど)ビームの刃が、ミサイルの弾頭だけを切り離していく。
「……っ!」
ミサイルは爆発することなく二つに分かれた。
なんとかなったらしい。
テンセイを着地させ、モニターを探る。
「レユさん、敵の位置は?」
「て、敵の位置ですか? たぶん、ええと、あっちかな?」
レユさんがモニター正面を指さし、ぼくはそちらの方へ意識を集中させた。
……一機、いる。あの丘の影に隠れてる奴が、一機。
『ナナ、どうしたんだ? 無事か?』
「ウワナさん、もう一機います! 居住ブロックを頼みます!」
『分かった。任せる!』
ラガタンが居住ブロックを守るように機体を旋回させるのを見て、ぼくはテンセイを隠れているらしい敵の下へ走らせる。
敵もこちらに気づいたらしく、草原の小高い丘から身を乗り出してきた。
「ほらね、居ると思ったんだ!」
敵の持つミサイルランチャーは単発式らしく、敵は次の弾を装填するのに手間取っていた。チャンスだ。
近づいて、ビーム剣で一気に切り裂いて――。
ごつっ!
「な、何!?」
敵がランチャーを持ち上げ、テンセイの頭にぶつけたらしい。
弾の装填は既に終わっている。
なるほど、要するに敵は装弾に手間取るふりをして、ぼくを確実に倒せる間合いに誘い込んだってわけか。
なんだその高等テク! こいつは……エースだ!
っていうかこれってめちゃくちゃピンチでは? ヘルメットがあってもなくても即死では?
や、ヤバいヤバいどうしよう。せめてレユさんだけでも逃がしてあげなきゃ!
ちゅどーん!
ほら爆発した! 死んだ!
……いや生きてる!
見れば、爆発したのは敵の方だった。頭部が破損して黒煙と火花が散っている。