「幼女は時々〇〇を出すから気をつけろ」
文字数 1,270文字
次の瞬間、ぼくはいやな感じがして機体を後退させた。それとほとんど同じタイミングで、サコウとテンセイの間を狙うようにして弾丸の雨が降って来た。
「……反乱軍だっ!」
「え?」
セキカさんの声にぼくが後ろを振り向こうとした隙に、赤いサコウが身を翻した。
『その機体、我々が頂くまで壊すなよ! また会おう、名も知らぬパイロットよ!』
無線から聞こえる音声は、先ほどまでの男の声ではなく、幼い女の子の声だった。
遺跡の奥へ消えて行く赤いサコウを追うように、頭部を失ったサコウが撤退していく。
あいつ、生きてたんだ……。完全に忘れてた。
まあ、今はいいだろう。
問題は砲撃して来たやつだ。
『そこの機体、どこのどいつだ? 名乗りやがれ!』
それは、天井の上からぼくらを見下ろしていた。
さっきのサコウとかいう機体よりもごてごてした形状で、右肩には不格好な大砲がのっかっている。一応人型ではあるのだけど、寄せ集めのパーツで作ったような、そんなハンドメイドな感じで溢れていた。
「あれも敵?」
「いや、違う。反乱軍……私の仲間だっ!」
『あ? セキカ、そっちにいるのか?』
セキカさんはぼくの前に身を乗り出すと、モニター下のレバーを引いた。
がしゃん、と軽い音がして、コックピットのハッチが開く。
それからセキカさんはテンセイの機体から顔を出すと、相手に手を振った。
「私だ! ウワナ、サナエ、ハナエ!」
『セキカ、そっちにいるんだね?』
『無事でよかったっス!』
回線に知らない女の人の声が割り込んでくる。
……一体どうなってるんだ?
「……う」
「あ、レユさん。大丈夫でしたか?」
「ええ、はい、まあまあそれなりOKです」
レユさんが顔を上げる。
心なしか顔色が真っ青だ。
「本当に? 具合悪そうですけど?」
「いや、マジで大丈夫なんで。心配いらないんで」
とか言いながらレユさんはぼくの膝から降りて、コックピットから出ようとする。
「あ、危ないですよレユさん。コックピットって案外高いから」
ぼくはふらふらするレユさんの体を後ろから抱き上げた。
それが間違いだった。
「うっ」
「えっ?」
「ごめんなさいナナさん私もう限界です」
「な、何がですか?」
その瞬間、ぼくは全てを悟った。
「もうゴールしてもいいよね……」
「だ、ダメです! 頑張って耐えてそれからできれば向こうむいて、そもそもヒロインがそんなことしちゃ読者が」
子どもがあんなに激しく揺れるものに長時間乗っていたらどうなるかなんて、ちょっと考えてみれば分かることだった。
当然、酔う。
ただ一つぼくが言わせてもらいたいのはヒロインがゲロを吐くアニメは名作という唯一の簡潔にして明白な、
「なんて声、出してるんですかナナさん……止まるんじゃおろろろろろろろろ」
……あーあ、これでルオナ界の制覇、もといランキング一位の夢は遠ざかったな。
ロリのゲロを浴びながら、ぼくはキメ顔でそう思った。
「……反乱軍だっ!」
「え?」
セキカさんの声にぼくが後ろを振り向こうとした隙に、赤いサコウが身を翻した。
『その機体、我々が頂くまで壊すなよ! また会おう、名も知らぬパイロットよ!』
無線から聞こえる音声は、先ほどまでの男の声ではなく、幼い女の子の声だった。
遺跡の奥へ消えて行く赤いサコウを追うように、頭部を失ったサコウが撤退していく。
あいつ、生きてたんだ……。完全に忘れてた。
まあ、今はいいだろう。
問題は砲撃して来たやつだ。
『そこの機体、どこのどいつだ? 名乗りやがれ!』
それは、天井の上からぼくらを見下ろしていた。
さっきのサコウとかいう機体よりもごてごてした形状で、右肩には不格好な大砲がのっかっている。一応人型ではあるのだけど、寄せ集めのパーツで作ったような、そんなハンドメイドな感じで溢れていた。
「あれも敵?」
「いや、違う。反乱軍……私の仲間だっ!」
『あ? セキカ、そっちにいるのか?』
セキカさんはぼくの前に身を乗り出すと、モニター下のレバーを引いた。
がしゃん、と軽い音がして、コックピットのハッチが開く。
それからセキカさんはテンセイの機体から顔を出すと、相手に手を振った。
「私だ! ウワナ、サナエ、ハナエ!」
『セキカ、そっちにいるんだね?』
『無事でよかったっス!』
回線に知らない女の人の声が割り込んでくる。
……一体どうなってるんだ?
「……う」
「あ、レユさん。大丈夫でしたか?」
「ええ、はい、まあまあそれなりOKです」
レユさんが顔を上げる。
心なしか顔色が真っ青だ。
「本当に? 具合悪そうですけど?」
「いや、マジで大丈夫なんで。心配いらないんで」
とか言いながらレユさんはぼくの膝から降りて、コックピットから出ようとする。
「あ、危ないですよレユさん。コックピットって案外高いから」
ぼくはふらふらするレユさんの体を後ろから抱き上げた。
それが間違いだった。
「うっ」
「えっ?」
「ごめんなさいナナさん私もう限界です」
「な、何がですか?」
その瞬間、ぼくは全てを悟った。
「もうゴールしてもいいよね……」
「だ、ダメです! 頑張って耐えてそれからできれば向こうむいて、そもそもヒロインがそんなことしちゃ読者が」
子どもがあんなに激しく揺れるものに長時間乗っていたらどうなるかなんて、ちょっと考えてみれば分かることだった。
当然、酔う。
ただ一つぼくが言わせてもらいたいのはヒロインがゲロを吐くアニメは名作という唯一の簡潔にして明白な、
「なんて声、出してるんですかナナさん……止まるんじゃおろろろろろろろろ」
……あーあ、これでルオナ界の制覇、もといランキング一位の夢は遠ざかったな。
ロリのゲロを浴びながら、ぼくはキメ顔でそう思った。