「赤い幼女」
文字数 1,389文字
「さあ、次はあの赤い奴だ!」
と、ぼくが奥に控えているはずの赤いサコウにテンセイの機体を向けた瞬間。
『抵抗するのなら、手加減はしないっ!』
男の声がコックピットに飛び込んでくると同時に、背後から強い衝撃を受けた。
「ううっ!?」
「セキカさん!」
セキカさんの体が狭いコックピット内を跳ねた。
「大丈夫だっ! お前は敵に集中していろっ!」
「は、はい!」
体勢を立て直したセキカさんがシートにしがみついて来る。
出来るだけ早く決着を着けなきゃ、こっちが持たない。
機体を反転させ背後を振り返った時、既に敵の姿はそこになかった。
『遅い!』
ががががっ!
コックピットに至近弾を受け、再び機体を激震が襲う。
「っ……!」
「ナナ、敵は後ろだっ!」
「後ろ!?」
つまり、敵はぼくの死角に回り込んで攻撃して来てるってことか?
再びぼくは赤いサコウがいるはずの後ろへ機体を振り向かせた。
が、敵はそれを読んでいたように、すぐにぼくの死角へ回り込んでしまう。
しかも無理に機体の動きを速めれば、シートに座っていないセキカさんに大きな負担をかけてしまうことにもなる。
『いかに強力な武器を持っていようとも、当たらなければどうということはないっ!』
ええい、嫌な敵だ。なんとかしなきゃ。
「ナナ、思い出したぞっ!」
「何をです!?」
「あの赤い機体、アズル・クロノだっ!」
「アズル・クロノ?」
「そう。魔王軍のエースパイロットで、【深紅の巨星】の異名を持つ男だっ!」
「ジョニーラ○デンとランバ○ルを足して二で割ったようなパイロットってことですね?」
「じょに……? なんだってっ?」
「いや、なんでもないんです。こっちの話」
パクリだろうが何だろうが今ぼくらがピンチに陥っていることに変わりはないし、そのアズルってパイロットがかなりの手練れってこともどうやら事実らしい。
そんな化け物にぼくが勝てるのか?
いや……それでも、勝つ!
それでもと言い続けろ、ぼく!
刹那、ぼくは機体を屈ませていた。
頭上を敵の弾丸が掠めていく。
「……!?」
『何っ!?』
急激に感覚がクリアになっていく。
敵の動揺が皮膚で感じ取れる。
アズルという男のものだろうか。
ぼくはその気配のある方向に機体を向けた。
そこに、あの赤い機体がいた。
はっと我に返ったように再びぼくの死角へ回り込もうとする赤いサコウ。
だけど、今のぼくにはその挙動は緩慢に感じられた。
「敵の動きが……見える!」
アズルのサコウが慌てたように弾幕を張るが、そんなもの当たる方がどうかしている。
「なんとおおおっ!」
テンセイのビーム剣が赤いサコウの両腕を切り落とす。
ビーム剣の切っ先はそれだけに収まらず、相手のコックピットをも焼いた。
溶ける装甲。露出するコックピット内。
そこにいたのは。
「またロリだ……!」
赤いサコウ、そのコックピットのシートに収まっていたのは、白い仮面で目元を覆った小さな人影だった。
小さい唇。幼い両手。赤いロングヘア。
ロリマイスターのぼくなら、モニター越しに見ても分かる。
あれは幼女だ。
その幼女は赤い豪奢な作りの軍服に身を包んでいた。恐らくあれが魔王軍の制服なのだろう。
と、ぼくが奥に控えているはずの赤いサコウにテンセイの機体を向けた瞬間。
『抵抗するのなら、手加減はしないっ!』
男の声がコックピットに飛び込んでくると同時に、背後から強い衝撃を受けた。
「ううっ!?」
「セキカさん!」
セキカさんの体が狭いコックピット内を跳ねた。
「大丈夫だっ! お前は敵に集中していろっ!」
「は、はい!」
体勢を立て直したセキカさんがシートにしがみついて来る。
出来るだけ早く決着を着けなきゃ、こっちが持たない。
機体を反転させ背後を振り返った時、既に敵の姿はそこになかった。
『遅い!』
ががががっ!
コックピットに至近弾を受け、再び機体を激震が襲う。
「っ……!」
「ナナ、敵は後ろだっ!」
「後ろ!?」
つまり、敵はぼくの死角に回り込んで攻撃して来てるってことか?
再びぼくは赤いサコウがいるはずの後ろへ機体を振り向かせた。
が、敵はそれを読んでいたように、すぐにぼくの死角へ回り込んでしまう。
しかも無理に機体の動きを速めれば、シートに座っていないセキカさんに大きな負担をかけてしまうことにもなる。
『いかに強力な武器を持っていようとも、当たらなければどうということはないっ!』
ええい、嫌な敵だ。なんとかしなきゃ。
「ナナ、思い出したぞっ!」
「何をです!?」
「あの赤い機体、アズル・クロノだっ!」
「アズル・クロノ?」
「そう。魔王軍のエースパイロットで、【深紅の巨星】の異名を持つ男だっ!」
「ジョニーラ○デンとランバ○ルを足して二で割ったようなパイロットってことですね?」
「じょに……? なんだってっ?」
「いや、なんでもないんです。こっちの話」
パクリだろうが何だろうが今ぼくらがピンチに陥っていることに変わりはないし、そのアズルってパイロットがかなりの手練れってこともどうやら事実らしい。
そんな化け物にぼくが勝てるのか?
いや……それでも、勝つ!
それでもと言い続けろ、ぼく!
刹那、ぼくは機体を屈ませていた。
頭上を敵の弾丸が掠めていく。
「……!?」
『何っ!?』
急激に感覚がクリアになっていく。
敵の動揺が皮膚で感じ取れる。
アズルという男のものだろうか。
ぼくはその気配のある方向に機体を向けた。
そこに、あの赤い機体がいた。
はっと我に返ったように再びぼくの死角へ回り込もうとする赤いサコウ。
だけど、今のぼくにはその挙動は緩慢に感じられた。
「敵の動きが……見える!」
アズルのサコウが慌てたように弾幕を張るが、そんなもの当たる方がどうかしている。
「なんとおおおっ!」
テンセイのビーム剣が赤いサコウの両腕を切り落とす。
ビーム剣の切っ先はそれだけに収まらず、相手のコックピットをも焼いた。
溶ける装甲。露出するコックピット内。
そこにいたのは。
「またロリだ……!」
赤いサコウ、そのコックピットのシートに収まっていたのは、白い仮面で目元を覆った小さな人影だった。
小さい唇。幼い両手。赤いロングヘア。
ロリマイスターのぼくなら、モニター越しに見ても分かる。
あれは幼女だ。
その幼女は赤い豪奢な作りの軍服に身を包んでいた。恐らくあれが魔王軍の制服なのだろう。