第16話 榛名春奈、倉庫内作業中⑨

文字数 1,415文字

「んっ…んぅ~!」

…しつこくブラを引っ張ってくる魔法の手×2(マジックハンド)に対して、春奈は下着と乳房を強く抱き寄せた状態から、魔法の手の動きに合わせて小刻み(コンパクト)に肩を左右へ揺すり始める。

「んもぅっ! こんなところでっ! ムネを()すなんて、冗談じゃないわっ!! 絶対にっ、ムリ…!!!」

そうする事で、彼女はこれ以上の乳房(ブラ)露出(ズレ)を防ごうとしていた。

ドキドキしながら状況を見守る当真の目の前で、必死の抵抗を続ける榛名春奈…だが遅かれ早かれ、このままでは乳房(ブラ)を守り切れないと彼女も自覚していた。

「イチかバチか」

そして彼女の性格上、不利な現状を放置して、望まぬ結果を受け入れる事などあり得ない。

「ええいっ南無八幡大菩薩…!」

春奈は声を上げて一気に攻勢に出る。彼女は、魔法の手が引っ張るのとは逆方向に身をよじり、勢い良く両肩を振った。

「これならどうだっ!!」

しかしこの方法では、春奈の乳房を守る(ガードする)力が魔法の手×2(マジックハンド)の引っ張る力に負けてしまえば、あっさりとブラを引き抜かれてしまう。危険を伴う行為だが、彼女には手段を選んでいる余裕がなかった。

「こっの~!!」

もはや、高価な下着(ブラジャー)が傷むことなど気にしてはいられない。

「いい加減っ…!」

魔法の手×2(マジックハンド)を相手に懸命にブラを引っ張り合う榛名春奈。

「離しなさいっ!!」

彼女は、思い切りカブリを振り両肩を動かしていく。そして当真が見守る中、彼女のおっぱいが今までに無いくらい、最大級にブラジャーからハミ出していた。

「おおぉ~! スゲ~!!」

ぶるんっ! ぶるんっ! と春奈が両肩を振るたびに、Gカップの乳房が激しく動き上下左右にローリングする。その為、両腕(さゆう)のガードを飛び出した横乳から時折、トップが見えそうになっていた。

「おっ…うぉ…ソコッ!」

…今、当真は春奈の後ろで喝采を上げている…しかしこれは本来、榛名春奈と水森当真のステージ…春奈と一緒に当真も、同じステージに立っているのだ。

「もうちょい…!」

だが、今の彼は最前列の特等席から、カブリ付きでショーを見ている観客そのものだった。

「くぅっ~おしいっ!!」

ステージでは魔法の手×2(マジックハンド)と春奈による剥ぎ取りライブの真っ最中…しかし今回のセクロス、これは当真自身が望み仕掛けた事だというのに、当真(カレ)はいつの間にか傍観者となっていた。

「よしっ! もう一回!!」

あくまでも魔法の手(マジックハンド)はサポートだ。ブラジャーに手を掛け剥ぎ取るのは、当真本人でなければいけない。

「いけいけいけー!!!」

ここに至るまでの一連の行為により、想像を遥かに超えた情景がもたらした興奮は、当真の心を激しく揺さぶった…おそらくそれが原因だろう。すでに、彼は自身がプレイヤーであることを忘れてしまっている。

「いいぞ~! ソコだ!! 一気に取れー!!!」

もうすでに、当真の頭の中に現実感はなく、当事者の自覚もなくっていた。

「うおおおっーー!!?」

まだ、年端もゆかない少年が得た強烈な体験…それが彼の感覚を希薄にしているのだ。当真には、目の前の光景が何処か現実離れした画面内の出来事(アダルトビデオ)のように思えてしまっていた。


『…水森当真(プレイヤー)の精神面における変調を確認しました…』

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登場人物紹介

【水森 当真《みずもり とうま》】


本編の主人公 (12)。特に目立った長所もなく、ただ単に溢れんばかりの若さを持っているだけのスケベ小僧。クラスでも埋没気味《モブ》な生徒の一人。

【榛名 春奈《はるな はるな》】


メインヒロイン(22)。今年の春に、私立水上学園中等部に赴任した新任の女性教員。そして、周囲から爆乳と称される程の大きな乳房の持ち主。


活発で人付き合いも良く、身体を動かす事が大好きである。その一方、漫画・小説・アニメ・ゲーム等の在宅趣味も嗜む。娯楽消費者として、インもアウトもバランス良くこなす性格をしている。


また、幼少より道場に通い詰めて、武芸を学んでいた。その影響で、非常時には物事をシビアに捉えるクセがあり、常人より一歩も二歩も見切りが早い。


突如現れた、モンスター達を相手に立ち回り、彼女は強力な職業《ジョブ》とスキルを取得する。その力を使い、生き残った生徒達を守ろうと奮戦する。

【絵堂沙織《えどうさおり》】


4月生まれの23才。私立水上学園中等部に勤める新任の女性教員。榛名春奈とは同期。185センチという見上げる程の高身長を誇る女性。


異世界転移前は、長身巨乳のお姉さんとして男子生徒から人気を博していた。それゆえに、彼女は当真の対戦相手として候補に上がっている…が、それはまだ先の話。


鎧袖一触を好み、テクニカルな春奈とは真逆の戦闘スタイルを得意としている。その恵まれた体格でもって、鬼に金棒という大型武器を操り、敵を一撃で粉砕する生粋のパワーファイター。

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