第16話 榛名春奈、倉庫内作業中⑨
文字数 1,415文字
…しつこくブラを引っ張ってくる魔法の手×2に対して、春奈は下着と乳房を強く抱き寄せた状態から、魔法の手の動きに合わせて小刻みに肩を左右へ揺すり始める。
「んもぅっ! こんなところでっ! ムネを晒すなんて、冗談じゃないわっ!! 絶対にっ、ムリ…!!!」
そうする事で、彼女はこれ以上の乳房の露出を防ごうとしていた。
ドキドキしながら状況を見守る当真の目の前で、必死の抵抗を続ける榛名春奈…だが遅かれ早かれ、このままでは乳房を守り切れないと彼女も自覚していた。
そして彼女の性格上、不利な現状を放置して、望まぬ結果を受け入れる事などあり得ない。
春奈は声を上げて一気に攻勢に出る。彼女は、魔法の手が引っ張るのとは逆方向に身をよじり、勢い良く両肩を振った。
しかしこの方法では、春奈の乳房を守る力が魔法の手×2の引っ張る力に負けてしまえば、あっさりとブラを引き抜かれてしまう。危険を伴う行為だが、彼女には手段を選んでいる余裕がなかった。
もはや、高価な下着が傷むことなど気にしてはいられない。
魔法の手×2を相手に懸命にブラを引っ張り合う榛名春奈。
彼女は、思い切りカブリを振り両肩を動かしていく。そして当真が見守る中、彼女のおっぱいが今までに無いくらい、最大級にブラジャーからハミ出していた。
ぶるんっ! ぶるんっ! と春奈が両肩を振るたびに、Gカップの乳房が激しく動き上下左右にローリングする。その為、両腕のガードを飛び出した横乳から時折、トップが見えそうになっていた。
…今、当真は春奈の後ろで喝采を上げている…しかしこれは本来、榛名春奈と水森当真のステージ…春奈と一緒に当真も、同じステージに立っているのだ。
だが、今の彼は最前列の特等席から、カブリ付きでショーを見ている観客そのものだった。
ステージでは魔法の手×2と春奈による剥ぎ取りライブの真っ最中…しかし今回のセクロス、これは当真自身が望み仕掛けた事だというのに、当真はいつの間にか傍観者となっていた。
あくまでも魔法の手はサポートだ。ブラジャーに手を掛け剥ぎ取るのは、当真本人でなければいけない。
ここに至るまでの一連の行為により、想像を遥かに超えた情景がもたらした興奮は、当真の心を激しく揺さぶった…おそらくそれが原因だろう。すでに、彼は自身がプレイヤーであることを忘れてしまっている。
もうすでに、当真の頭の中に現実感はなく、当事者の自覚もなくっていた。
まだ、年端もゆかない少年が得た強烈な体験…それが彼の感覚を希薄にしているのだ。当真には、目の前の光景が何処か現実離れした画面内の出来事のように思えてしまっていた。
『…水森当真の精神面における変調を確認しました…』
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