第13話 榛名春奈、倉庫内作業中⑥

文字数 1,563文字

裂帛の気合いから放たれた強烈な左手刀(カイシンのいちげき)…それを喰らった魔法の手(マジックハンド)×1が榛名春奈の左側面へ打ち落とされ、そのまま動かなくなる。

「よしっ!」

と声を上げる春奈に対し、残った魔法の手(マジックハンド)×3がユラユラと蠢き始めた。

「さっきと同じ作戦…ワンパターンね」

そう言って、春奈はブラを守っていた右手を、すぅーと下ろし攻撃に特化した構えを取る。

「その程度の速さじゃ、もう通じない」
下着姿にされ追いつめられた榛名春奈。彼女は先程までと違い、格段に集中力を上げていた。

□□□□

右手を解放し、二刀となった春奈は眼前に迫る魔法の手(マジックハンド)を払い退け続ける。

「シィッ!」

一見、激しく手刀(こうげき)を繰り出し続ける彼女が優勢に見えた。

「しつこいわね!」

しかし、もう一人の自分とも言うべきAIハルナの前には、榛名春奈の努力(ねがい)も叶わない。


『対象の速度超過を確認。魔法の手(マジックハンド)抑制(スピード)解放(アップ)します』

「…あれ…??」

AIハルナの指示により突如として、高速で動き始めた3本の手が春奈のブラとショーツに伸びる。


『戦術パターンA~Dまでをランダムに選択します』

「このっ!」

…スピードで並ばれては手数が物を言う…再び激しい攻防が繰り広げられる中、春奈は魔法の手達(マジックハンド×3)が放つ多彩な攻撃を読み誤る。そして、一瞬だが彼女の対応(ぼうぎょ)が遅れてしまった。

「あっ…!」

その瞬間、半円を描きつつ左右に展開していた魔法の手×2(マジックハンド)が、弧を描いて春奈の両乳房(おっぱい)を急襲する。

「なんのこれしき!」
彼女は反射的に背中を反らして(スウェー)回避しようとするも間に合わず、チッと音を立てて魔法の手×2(マジックハンド)が春奈の両胸に触れる。
「ぅっん!!」
その刹那、触られた2ヶ所を発信元(ソース)として、そこから彼女のカラダ中に電流が走った。その原因(シビレ)は一瞬前の攻撃において魔法の手×2(マジックハンド)の指先が、ブラジャー越しに彼女の先端(トップ)をかすめていたからだった。

「くぅっ…!?」

全身を走るビリビリとした感覚に、春奈は思わず声を上げる。先程までとは違う、速度と戦術性(バリエーション)に富んだ攻撃。そして、とうとうセクロス技巧(じつりょく)を見せ始めた魔法の手(マジックハンド)を相手に、一転して彼女は苦戦を強いられ始めた。
□□□□

寄せては返す波のように、魔法の手(マジックハンド)の連続攻撃は留まるところを知らない。

「この程度の攻撃に…!」

しかも、それぞれが緩急をつけながら榛名春奈を翻弄してゆく。

「くっ、負けるものか!」

彼女は左右の手刀を振り回し、魔法の手(マジックハンド)×3との攻防を続けていた。そこへ、AIハルナから新たな作戦が告げられる。


リヴァイヴァル(死んだふり)発動(かいじょ)します』


打ち落とされたまま、じっと攻撃に参加せずにいた魔法の手×1(マジックハンド)…それが、ピクン! と身を震わせた。

「んっ…!?」

異変に気付いた春奈が対処しようと動きかけた時、魔法の手(マジックハンド)×2が彼女のブラの前面を軽く、チョンとタッチしてそのまま胸を押し上げる。

「うわっ!」

驚いた春奈が慌てて手刀を振り上げ追い払うと、その隙にとばかりに、もう1本の魔法の手(マジックハンド)が彼女のショーツを狙う。

「んもうっ! このっ!」

次第に、前面の攻撃に気を取られていく春奈。その時、残りの4本目がムクリと起き上がり、地を這うようにして榛名春奈の背後へ回り込もうとしていた。
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登場人物紹介

【水森 当真《みずもり とうま》】


本編の主人公 (12)。特に目立った長所もなく、ただ単に溢れんばかりの若さを持っているだけのスケベ小僧。クラスでも埋没気味《モブ》な生徒の一人。

【榛名 春奈《はるな はるな》】


メインヒロイン(22)。今年の春に、私立水上学園中等部に赴任した新任の女性教員。そして、周囲から爆乳と称される程の大きな乳房の持ち主。


活発で人付き合いも良く、身体を動かす事が大好きである。その一方、漫画・小説・アニメ・ゲーム等の在宅趣味も嗜む。娯楽消費者として、インもアウトもバランス良くこなす性格をしている。


また、幼少より道場に通い詰めて、武芸を学んでいた。その影響で、非常時には物事をシビアに捉えるクセがあり、常人より一歩も二歩も見切りが早い。


突如現れた、モンスター達を相手に立ち回り、彼女は強力な職業《ジョブ》とスキルを取得する。その力を使い、生き残った生徒達を守ろうと奮戦する。

【絵堂沙織《えどうさおり》】


4月生まれの23才。私立水上学園中等部に勤める新任の女性教員。榛名春奈とは同期。185センチという見上げる程の高身長を誇る女性。


異世界転移前は、長身巨乳のお姉さんとして男子生徒から人気を博していた。それゆえに、彼女は当真の対戦相手として候補に上がっている…が、それはまだ先の話。


鎧袖一触を好み、テクニカルな春奈とは真逆の戦闘スタイルを得意としている。その恵まれた体格でもって、鬼に金棒という大型武器を操り、敵を一撃で粉砕する生粋のパワーファイター。

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