第1話 運命の日①
文字数 4,561文字
目の前のクラス担任の透けブラを凝視しつつ、少年は心の中で呟く。
現在教室では、帰りのホームルームが行われていた。今日は7月の終わり、夏休み直前の木曜日の午後…つまり終業式の日だ。
式は午前中に終わり、ランチルームで昼食を済ませた後、生徒達は教室に戻り、夏休みのしおりを広げている。
これより、私立水上学園中等部の生徒達は夏休みに入る。あと1時間もすれば、全寮制であるこの学園に帰省バスが到着して、生徒達を駅まで運んでゆくのだ。
クラスメイト達は、待ち切れないとばかりにソワソワしている。そんな中、まだ表情に幼さを残す一人の男子生徒が、担任の榛名春奈へ向けて熱い視線を飛ばし続けていた。
少年の名前は
そして、当真の放つ熱視線の先にいるのは、担任である榛名春奈。Gカップという押しも押されぬ爆乳の持ち主だ。
水森当真は中学一年生ながら、自分の担任の先生を相手に童貞卒業を目論む、無謀な男子生徒だった。
ただ彼は今、思春期真っ只中なだけだ。この
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どんっ!!
中等部東側校舎裏。体育倉庫のあるここは、授業以外で職員生徒達が近寄らない場所。
そこで水森当真 (12才) は同級生達にインネンを付けられていた。3人のクラスメイトに囲まれてしまい、当真は抵抗出来なかった。
ホームルーム終了後、榛名春奈が教室を出ると同時に、当真はこの3人から強引にここへ連れて来られたのだ
どんっ! どんっ!!
どんっ!
当真を突き飛ばしてくるのは、3人のクラスメイト達。当真達の担任である榛名春奈。その彼女の親衛隊気取りの連中だった。
どんっ!
身長146センチ、クラスで一番のチビである当真の身体は軽く、面白いように後ろへ後ずさっていく。
そして当真の後ろには、何故か大きな穴が掘ってあった。
ドカッ!
こうして、ロクに抵抗も出来ぬまま当真は穴に落とされる。イジメっ子の3人は、そんな当真の姿を上から見下ろして笑っていた。
3人から当真へ向けて、代わる代わる罵声が浴びせられる。
言葉の一つ一つが当真の心を抉り、誇りを傷付けた。
それは容赦の無い物だった。だが、それもそのはず…彼等にとって当真は、榛名春奈という女性を狙う憎っくき恋敵なのだ。
ひとしきり罵声を浴びせ終わると、気が済んだイジメっ子達は、その場を後にして教室へ戻ってゆく。
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余程張り切って掘ったのだろう。落とし穴の内部は深く、そして広かった。
当真はその中でダッシュを繰り返す。そうする事で、何とか落とし穴から駆け上がろうとするが…
ズデーン!
しかし無理だった。50センチも登らない内に、少年は体勢を崩しそのまま
見上げた壁は、ご丁寧にも直角になっている。とてもではないが、一人でこの落とし穴を脱出するのは、不可能のように思えた。
もう、誰か助けに来てくれるのを待つしかない。
落とし穴の中で当真が途方に暮れていると、セミがやかましく鳴き出した。
当真が愚痴をこぼしたその時、何の前触れもなくセミの声が止んだ。
『ゴゴゴ…ゴゴゴ…』
穴の中から空を見上げていた当真。そんな彼に天災が襲い掛かる。
『ゴゴゴー! ゴゴゴー!』
突然地震が起こり、激しく地面が揺れた。そして、当真はピンポン球のように落とし穴内部を転げ回る。