第17話 榛名春奈、倉庫内作業中⑩

文字数 1,224文字

『…………』


コマンドを開示した時から感じていた違和感…胸に抱いていた懸念が現実のものとなってしまった事に、カノジョは人知れずタメ息をついた。


『…新たに発生した問題の解決へ向けて並列思考を展開、榛名春奈のブラジャーを剥ぎ取ったのちに、水森当真(プレイヤー)知覚変容(エラー)に対処します』


AIハルナが瞳を曇らせる中、榛名春奈と魔法の手×2(マジックハンド)とのブラの引っ張り合い(ツナヒキ)は続いていた。


呼称(ネームド)魔法の手(マジックハンド)3号・4号による下方向からの同時攻撃を開始』


AIハルナの指示を受けて、魔法の手×2(マジックハンド)が春奈の下半身へ向けて執拗な攻撃を仕掛けてくる。

「ええっ!?」

ブラジャー防衛戦の最中、しきりにショーツへ手を伸ばしてくる魔法の手(マジックハンド)3号・4号。その前と後ろで交互に繰り返される攻撃に、榛名春奈はすっかり翻弄されてしまう。

「ちょっと!」

なんてヒドイことをするの!? という表情をする春奈…だが、ピンチとチャンスは表裏一体。彼女のピンチは、当真側にとってのチャンスなのだ。

「どうしよう…!?」

動揺が走り、彼女の動き(ガード)が一瞬だけ止まってしまう。その隙を見逃さず、グイッ! グイッ! グイーンッ! とブラ紐を掴んでいた魔法の手×2(マジックハンド)が、大きく左右の乳房(はるな)に揺さぶりを掛ける。

「~っ! ~っ! ~っ!」

ズル…ズル…ズル…とブラの布地が肌を擦る音がする。こうして絶体絶命のピンチを迎えた榛名春奈だったが、彼女はどうにかブラを剥ぎ取られるのを(こら)えていた。


呼称(ネームド)魔法の手(マジックハンド)1号・2号。それぞれにSP×5を割り振ります』


しかし魔法の手と呼ばれるだけあって、本来そこには魔法的な力が働いていた。


『1号・2号の覚醒開始…覚醒、完了しました。特性が発現します』


特性を発現させた魔法の手×2(マジックハンド)により、摩擦を起こしていた力自体が消失する。そして、必死に押さえ付けていたブラジャーが春奈の乳房の表面を軽やかに滑り出す。

「…!? どうなっているの!?」

これがトドメとなり、スルスルとガードを無視して、彼女の手の中からブラが離れてゆく。

「う…! あ…っ!?」

もはや、どうしようもない局面を迎えた春奈の口から、悲しみを(たた)えた切ない声が漏れる。

「あっあっあっ…!!」

次の瞬間、彼女の左後ろに位置していた魔法の手2号(マジックハンド)が榛名春奈の斜め上、左乳房から淡黄色のブラジャーを一気に引き抜いた。

「いやあぁーんっ!!!」

どこか愛嬌を感じさせる、女性語の感動詞…榛名春奈から、そういう声が上がると同時に、AIハルナがブラジャーの奪取に成功した事を当真へ告げる。


「剥ぎ取りの第2段階を完了しました」

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登場人物紹介

【水森 当真《みずもり とうま》】


本編の主人公 (12)。特に目立った長所もなく、ただ単に溢れんばかりの若さを持っているだけのスケベ小僧。クラスでも埋没気味《モブ》な生徒の一人。

【榛名 春奈《はるな はるな》】


メインヒロイン(22)。今年の春に、私立水上学園中等部に赴任した新任の女性教員。そして、周囲から爆乳と称される程の大きな乳房の持ち主。


活発で人付き合いも良く、身体を動かす事が大好きである。その一方、漫画・小説・アニメ・ゲーム等の在宅趣味も嗜む。娯楽消費者として、インもアウトもバランス良くこなす性格をしている。


また、幼少より道場に通い詰めて、武芸を学んでいた。その影響で、非常時には物事をシビアに捉えるクセがあり、常人より一歩も二歩も見切りが早い。


突如現れた、モンスター達を相手に立ち回り、彼女は強力な職業《ジョブ》とスキルを取得する。その力を使い、生き残った生徒達を守ろうと奮戦する。

【絵堂沙織《えどうさおり》】


4月生まれの23才。私立水上学園中等部に勤める新任の女性教員。榛名春奈とは同期。185センチという見上げる程の高身長を誇る女性。


異世界転移前は、長身巨乳のお姉さんとして男子生徒から人気を博していた。それゆえに、彼女は当真の対戦相手として候補に上がっている…が、それはまだ先の話。


鎧袖一触を好み、テクニカルな春奈とは真逆の戦闘スタイルを得意としている。その恵まれた体格でもって、鬼に金棒という大型武器を操り、敵を一撃で粉砕する生粋のパワーファイター。

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