第14話 榛名春奈、倉庫内作業中⑦

文字数 1,390文字

「宗家内伝、つばめ落とし!」

両腕を十字に組み、打ち出された連撃が魔法の手(マジックハンド)×3に迫る。

左足を踏み出しながら放った最初の連撃、これは見た目こそ派手だが、命中率は期待できない。しかし、本命は家中で“裏打ち”と呼んでいる三撃目…

「ひゅる…!」

打ち終わると同時に手首を返し、ネジリを加えた左手刀が春奈の膝下から、跳ね返るようにして標的を襲う。

「もらった!」

しかし、キレイに避けられる。

「なっ! そんな…」

全身に流れる生命力を活性化させて放つこの技は、当たれば敵を寸断し致命傷を負わせる威力を持っていた。

「…ウソでしょ」

これで、やたらとスケベな事をしてくる厄介な手を仕留められるはずだったのだ。

「全弾空振りとか、そりゃないでしょ…」

失意の榛名春奈の脳裏に“暖簾に腕押し”ということわざが浮かぶ。更には、空振りによるスタミナ消費から、彼女の声には若干の疲労の色がにじんでいた。

「もう一度!!」

それでも春奈は、カラダ中から感じる疲労感を気合いで振り払い、果敢に攻め続けようとする。その時、対象の様子をつぶさに見ていたAIハルナが、ついに戦術を決定した。

『榛名春奈の意識が前方に集中しています。視界の固定化、及び視野狭窄を確認…』


対象を細かく分析し終えたAIハルナ。そしてその精神状態(データ)に基づき、次なる一手を選択する。


『4本目の魔法の手(マジックハンド)による突撃(チャージング)を決行…残された2枚の内の一つ、上方向の要(ブラのホック)を外します』


AIハルナからの指示を受け、シュッと下から上へ素早く振り抜かれた魔法の手(マジックハンド)…その指先が春奈のブラのホックを捉えた。

「あっ!?」

三列六段式のホックが、その防御力を発揮することなく、一発で外されてしまう。春奈は小さく悲鳴を上げると、慌てて両手をブラの防御に戻す。

「うわわわっ!」

春奈の職業(ジョブ)の特性上、彼女は戦闘時に特に激しく動き回る…その為、異世界に来てからは、外れにくい頑丈なブラを着けていたのだが…。

「ちょっちょっちょっと!」

しかし、今回のようなアダルトな戦場(フィールド)では役に立たなかった。

「やだやだやだっ!?」

解除の仕方さえ知っていれば、ブラのホックは簡単に外せるのだ。また、そうでなければ着脱の度に手間がかかり、使用者(はるな)自身が困ることになる。

「まっ、待って…!」

焦った声を上げ続ける春奈。その後ろでは、この状況を見守り続けていた当真が大きく目を見開いていた。

「…うわー…」

ブラジャーの締め付けから、解放された榛名春奈の真っ白な背中…それが当真の目の前で、踊るように身をクネらせていたのだ。

「おぉ~スゴい…!」

大きく開かれたブラジャーの結束部分…先程まで猛威を振るっていた手刀(こうげき)が止んだことで、背後へと駆け付けた魔法の手(マジックハンド)×2から、春奈はその両端を掴まれてしまう。

「このっ…はなして!」

今の彼女はさしたる抵抗も出来ずに、グイグイと両脇からブラを引っ張られている。

「なにをするのっ!?」

そして魔法の手(マジックハンド)×2により、そのGカップのおっぱいをブラジャー越しに、ブルブルと大きく揺さぶられている状態だった。
「すげー揺れてる…!」
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登場人物紹介

【水森 当真《みずもり とうま》】


本編の主人公 (12)。特に目立った長所もなく、ただ単に溢れんばかりの若さを持っているだけのスケベ小僧。クラスでも埋没気味《モブ》な生徒の一人。

【榛名 春奈《はるな はるな》】


メインヒロイン(22)。今年の春に、私立水上学園中等部に赴任した新任の女性教員。そして、周囲から爆乳と称される程の大きな乳房の持ち主。


活発で人付き合いも良く、身体を動かす事が大好きである。その一方、漫画・小説・アニメ・ゲーム等の在宅趣味も嗜む。娯楽消費者として、インもアウトもバランス良くこなす性格をしている。


また、幼少より道場に通い詰めて、武芸を学んでいた。その影響で、非常時には物事をシビアに捉えるクセがあり、常人より一歩も二歩も見切りが早い。


突如現れた、モンスター達を相手に立ち回り、彼女は強力な職業《ジョブ》とスキルを取得する。その力を使い、生き残った生徒達を守ろうと奮戦する。

【絵堂沙織《えどうさおり》】


4月生まれの23才。私立水上学園中等部に勤める新任の女性教員。榛名春奈とは同期。185センチという見上げる程の高身長を誇る女性。


異世界転移前は、長身巨乳のお姉さんとして男子生徒から人気を博していた。それゆえに、彼女は当真の対戦相手として候補に上がっている…が、それはまだ先の話。


鎧袖一触を好み、テクニカルな春奈とは真逆の戦闘スタイルを得意としている。その恵まれた体格でもって、鬼に金棒という大型武器を操り、敵を一撃で粉砕する生粋のパワーファイター。

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