第7話 近くて遠き春の名
文字数 1,498文字
それから4カ月後。大きな地震が夏休み直前の学園を襲う。その時、当真はクラスの
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今日は一学期の終業式。これより、生徒達は待ちに待った夏休みへ突入するのだ。あと一時間もすれば、学園側が用意したバスが到着し、皆を駅まで送り届けてくれる。
HRを終えた教室では、生徒達が夏休み前の最後の時間を、友人との会話に費やしていた。
【…そして、運命の瞬間が訪れる…】
いきなり飛ばされた見知らぬ場所…そこは魔物が蔓延る世界だった。予想外の出来事に、その場にいた全員が驚きで動けなくなる。
そして、地震の衝撃から立ち直れないまま、学園は魔物達の襲撃を受けた。
その時、一部の職員生徒達がジョブという力に目覚め、襲い来る魔物達に立ち向かう。
私立水上学園中等部、1年7組に在籍する水森当真。彼はこれと言って特徴のない、ごく普通の少年だった。
その存在はありふれていて、どこにでもいるただのスケベな中学生、といったところだ。
しかし異世界に転移した途端、当真の存在が裏返る。彼は幸運に恵まれ、学園内の誰よりも早く魔物を倒してしまったのだ。
無意識下の元に選ばれた
二人の女性教員が、廊下を並んで歩いていた。彼女達から聞こえてくる会話の内容は、これから行う業務関係の物だ。
春奈は、信じられないという表情で隣を歩く同僚に尋ねた。体育倉庫は、ただ片付ければ良い、と言うわけではない。清掃、整理整頓、備品の点検まで担当した者が責任を持って行うのだ。
そう言ってボヤく榛名春奈。だが、自分目掛けてやって来る男子生徒の存在に、彼女はまだ気付いていない。