「領域転位特例法の定めるところにより、第一討伐者 水森当真へ特典・EX職業を授与致します」
「なお、この特典が与えられた場合、水森当真と他者との間で、立場の相違が生じる可能性があります…この点を考慮して、EX職業の内容説明を行うものとします」
まるで子供が母親にあやされるように、当真は黙ってその声に耳を傾けていた。
「引き続き、EX職業取得の為の詳細な説明を行います」
きっと今自分は、大事な事を言われているのだろう。そう思い、当真は耳を澄ました。
そこに映る人物は、自分が良く知っている女性だ。見れば、ずいぶんと際どい格好をしている。いや、これは際どいと言うよりも、裸ではないだろうか?
そして、次いで映し出された映像を見て、当真は確信を深めた。
彼女は裸の上に、漫画のフキダシを付けている状態だ。おまけに画像が広がり、先程よりも露出が増えている。このままいくと、更に裸の面積が増えるだろう。
「…以上でアンケートを終了します…これまでの質疑応答に基づき、EX職業が選択されました。詳細はステータスから確認して下さい…ステータス画面を開きました」
当真の期待をよそに、無情にも質問が打ち切られる。もっと沢山の質問をしてくれれば、彼女の裸を全部見れただろうに…当真は、それがとても残念に思えた。
水森当真
私立水上学園中等部1年生
生年月日
平成21年1月23日生れ
年齢12才
身長146センチメートル
体重36キログラム
装備
学園指定の制服上下 (夏服)
学園指定の革靴 (夏用)
備考
1年7組所属
第一討伐者
本日の戦果
・オーク×2
・オークヒーロー×1
LEVEL-15
⚫EX職業 AV男優 (未デビュー)
基本スキル
・認識阻害
・遮音シート
・主砲密度上昇
・ミスショット
・インサート
・強力前後運動
・湧揚噴出
・衣類整調
・緊急避難
意識朦朧のまま、アンケートに答え終わった水森当真。彼は自身のステータスを見て、呻くように呟いていた。
「異世界転移における知識の注入を開始…終了しました」
目の前がユラユラと揺れている。何やら好き勝手をされているようだが、その事に対して当真は、抗議の声を上げられる状態ではなかった。
「EX職業 AV男優のスキルを使用するには、対象が必要です。対象となる異性を設定して下さい」
当真はそう問われて、先程からずっと頭に思い浮かべていた女性の名前を口にする。
システムの呼び掛けに応えて、当真は榛名春奈の名を呟く。彼女こそ、今彼が最も執着し恋い焦がれ、手に入れたいと願っている存在だ。
当真がその胸に秘めた決意を述べた瞬間、彼の視界が一気に白転した。