第47話 同じ匂い

文字数 675文字

◇◇ 同じ匂い ◇◇


吹奏楽コンクールで、普門館高校が地方大会へ進出するのは、じつに15年ぶりである。

ともかく、めでたい。じつに、めでたい。


それにしても、とある県の吹連の会長さんも言っていたが、普門館のサウンドが、とても向上したのは、衆目の一致するところだ。

たしかに、春先から、演奏の基礎力が例年とは格段に違った。

ハーモニックなサウンドによる表現の上手さ以前に、まず演奏の基礎力があることが感じられるのだ。
それだけではない。
さらに、和声や奏法を研究したうえでの共鳴が感じられ、感情移入できるレベルなのだ。これは、ホンモノだ。

かつて、コロナが猛威を振るっていた時代、すべてのコンクールやコンテストが中止となるなか、次の世代のためにマーチング技術を黙々と磨いた世代がいた。そして、その次の世代から、普門館は連続して全国金を受賞するようになったのだ。

今回、吹奏楽コンクールの地域大会での演奏のようすをみると、'基礎力の向上' と '表情豊かなハーモニー' 、そして気負いのない ’気高さ' のある点で、マーチングで全国へ雄飛する礎を築き上げたコロナ期の先輩たちと、同じ'匂い'が感じられるのだ。


数年後、普門館がマーチングで全国金、座奏でも全国金を成し遂げたとき、その時点で振り返ってみれば、今期はメルクマールとなった期と位置付けられるかもしれない。ほんとうに大きな扉をこじ開けてくれたと思う。
今後とも、個々の部員が生き生きと輝く伝統的な魅力も維持しつつ発展していってほしいと願うばかりだ。









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