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文字数 323文字



約束の場所から届いた手紙は
まだ開けずに引き出しの中で
いつか読まれる日を待ち侘びて
差出人の名前が色褪せる
旅立つ準備はできているけど
心がまだ追いつかなくて
今日もまたあのドアを開けられない
友達はもうずいぶん前に
この街から解放されて
自分らしく着飾り始めて
どこか少し大人びて見える
時間の速さは人それぞれで
早すぎるとか遅すぎるとか
比べるモノじゃないけど
でも何処かで出遅れているような
焦り早る気もちにおいたてられてる
僕が見据えたあの先の世界が
揺らいで見えるのは
足元を掬い取っていく
波を受け止める勇気を持てないだけ
とりあえずドアの鍵は
もう使えないように壊したから
あとはもうあの扉を開け放つだけ
朝目覚めたら旅立とう
そう誓いながらまだ僕は
夢の中で手紙をあげる術を探す
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