第5話
文字数 636文字
「ここでいいよ~」
藤沢さんごが住宅街のとある一軒家の前で立ち止まって言った。
しかしその家の表札には『梨元』と書かれてあった。
ヨシツネがそれを訝しげな表情で見ているのに気付いた藤沢さんごが言った。
「あっ、私ね、小学校の時に両親を事故で亡くしちゃって…… 今は親戚の家に住んでるんだ~」
「そ、そうか…… それは大変だったな!」
ヨシツネは考えていたことを見透かされたようで少し焦っている。
藤沢さんごは別れ際にもう一度ヨシツネに礼を言うと、手を振りながら家の中に入って行った。
あとにはヨシツネと死神ジュンが残されたが、ジュンは何か違和感のようなものを感じていた。
それが何なのかジュン自身にも判らなかったのだが、梨元家には何かが決定的に足りていないような気がした。
しかし考えてみればこの一角は妖魔のテリトリーなのだ。
それに藤沢さんごの住まいは、学校から200メートルほどしか離れていない。
死神ジュンが何かしらの違和感のようなものを感じるのは当然のことなのかもしれない。
ジュンはそれ以上考えるのを止め、ヨシツネとともに藤沢さんごの住まいをあとにした。
今日は妖魔を見付けることは出来なかったが、それでも収穫はあった。
たまたま学校にやってきた藤沢さんごを操り、自ら命を断たせて魂を食らおうとした。
それは学校に妖魔が潜んでいる、という動かぬ証拠だった。
明日以降は学校周辺を見張ることで、妖魔の尻尾を掴めるはずだ。
ところが事態は死神ジュンが思い描いていたほど簡単には進まなかったのである………
藤沢さんごが住宅街のとある一軒家の前で立ち止まって言った。
しかしその家の表札には『梨元』と書かれてあった。
ヨシツネがそれを訝しげな表情で見ているのに気付いた藤沢さんごが言った。
「あっ、私ね、小学校の時に両親を事故で亡くしちゃって…… 今は親戚の家に住んでるんだ~」
「そ、そうか…… それは大変だったな!」
ヨシツネは考えていたことを見透かされたようで少し焦っている。
藤沢さんごは別れ際にもう一度ヨシツネに礼を言うと、手を振りながら家の中に入って行った。
あとにはヨシツネと死神ジュンが残されたが、ジュンは何か違和感のようなものを感じていた。
それが何なのかジュン自身にも判らなかったのだが、梨元家には何かが決定的に足りていないような気がした。
しかし考えてみればこの一角は妖魔のテリトリーなのだ。
それに藤沢さんごの住まいは、学校から200メートルほどしか離れていない。
死神ジュンが何かしらの違和感のようなものを感じるのは当然のことなのかもしれない。
ジュンはそれ以上考えるのを止め、ヨシツネとともに藤沢さんごの住まいをあとにした。
今日は妖魔を見付けることは出来なかったが、それでも収穫はあった。
たまたま学校にやってきた藤沢さんごを操り、自ら命を断たせて魂を食らおうとした。
それは学校に妖魔が潜んでいる、という動かぬ証拠だった。
明日以降は学校周辺を見張ることで、妖魔の尻尾を掴めるはずだ。
ところが事態は死神ジュンが思い描いていたほど簡単には進まなかったのである………