第16話

文字数 609文字

『そやつは上様の名を騙る偽物じゃ! ええい構わぬ、そやつを切り捨ててしまえ!』



TVでは暴れん坊上様がクライマックスシーンに差し掛かっていた。



いつものようにそれを食い入るように観ている死神ジュン。



「なぁ? いい加減にしろよ姐さん! 今回の件の報告書、まだ全然書いてねぇじゃねぇかよ!」



と…まるで夏休みの宿題を子供にやらせようとしている親のような口調のヨシツネ…



「うっさいですわね~! 静かにしないと焼き鳥にして差し上げますわよ!」



「あーっ! それで思い出した!この前姐さん、本当に俺のこと焼いたよな!? 極大の火炎呪文で!!」



「何をいまさら… よろしいんじゃありませんの? 結果的に今はこうして無事なんですから…」



「そーゆう問題じゃねぇよ! もし、あん時さんごが助けてくれなかったら…」



「満ちろ地獄の大釜… 集え漆黒の狩人たち… 我は暗黒の王にして闇を()べる者なり…」



「って、なんだその物騒な呪文詠唱は!? やめろーーーっ!!」





死神の暮らす六畳一間のアパートは、今日も変わらず賑やかだ。



TVでは暴れん坊上様のエンディングテーマ曲が流れている…



TVを観ながら思わずテーマ曲を口ずさんでしまう死神ジュン…
もちろん歌詞はバッチリ暗記している。



“俺がや〜らなきゃ誰がやる〜
(ヨイショ!)
できない理由を探すなら〜
できることから始めよう〜
(ヨイショ!)
嗚呼〜茜さす夕焼け空に
あの日誓ったこの正義
(ドッコイ!)
男一匹修羅の道〜”



(終)
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