第11話

文字数 949文字

藤沢さんごの心の内側を映すヴィジョンは、チャンネルが切り替わるように次々と記憶の断片を映し出す…



実の両親を亡くした藤沢さんごは、親戚にあたる梨元家の養女となった。



しかし藤沢さんごは、そこで長きに渡る虐待を受けることとなる…



一番辛かったのは、食べ物がろくに与えられないことだった…

一日に食パン一枚程度…
日によってはそれさえ与えられないこともあった…

一度空腹に耐えかねて、冷蔵庫内のソーセージを無断で食べてしまったことがあった…

その結果、藤沢さんごは梨元婦人から酷い折檻(せっかん)を受けた…

全裸にされた上で、布団叩き棒で鞭打つように何度も何度も叩かれた…

背中や尻にミミズ腫れができたが、それでも叩かれ続けたため背中からは血が滲んだ…

さらに罰として食事を3日間与えられなかった…
耐え難い空腹にこっそりと家を抜け出し、近所の飼い犬のドッグフードを食べて飢えをしのいだ…



家の主人、梨元氏からは定期的に性的虐待を受け続けた…

喉の奥まで男性器を押し入れられ、歯を立てると腹を蹴られた…

何度も吐きそうになるのをこらえて、梨元氏の歪んだ精を咥内で受けとめ続けた…



学校では両親がいないという、たったそれだけの理由で虐められた…

上履きに画びょうが入っているのは日常茶飯事だった…

机の中に給食の残りが撒かれていることもあった…

教科書やノートがおかずの汁でベトベトになったが、それを水道で洗って使い続けるしかなかった…



給食費を出してもらえなかったので教師からも嫌われていた…

担任はクラスで藤沢さんごが虐められているのを知っていたが決して助けなかった…





世界は藤沢さんごにとって『敵』だった…





おおよそ、そんな状態が中学卒業まで続いた…



高校生になってすぐ藤沢さんごはアルバイトを始めたが、自分でお金を稼げるようになって、幾分状況は改善された…

少なくとも、もう飢えで苦しむことはなくなった…





だが梨元氏は藤沢さんごが成長するのを待っていた…



ある晩、藤沢さんごは梨元氏に寝込みを襲われた…

上半身を縛られ、身動き出来ない状態で犯された…



破瓜(はか)の痛みが下半身を突き抜ける…



その時、藤沢さんごは思った…



『なぜ自分だけがこんな目に合わなくてはならないのか!?』と…



悲しかった…



辛かった…



悔しかった…



そして望んでしまったのだ…



何もかも壊してしまいたいと………



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