アラフォーにして夢に挑む!

文字数 731文字

「柴田さんお疲れ様でした。」

私は袋に入ったお菓子を受け取った。

「今日この後居酒屋でもどうですか?」

後輩に誘われて、私達は居酒屋に入った。

とりあえずビールと唐揚げとポテトを頼み、半個室の居酒屋で男二人で乾杯した。

「柴田さんは次の仕事どうするんですか?」

後輩がポテトをかじりながら私に聞いた。

「実はさ、自分はよく本を読んでいたのだけど、特にミステリー小説。」

「よく休憩中に読んでいるのを見ました。」

「そう、ミステリー小説にはよく探偵が出てくるのだけど、その探偵というものにずっと憧れていてね。」

私は1杯目のビールを飲み干した。

「その探偵ってやつなの。
次の仕事は。」

「…えー!
そんな話聞いてことないですよ。
探偵になる人初めて見ました。」

私も探偵に転職するとは夢にも思わなかった。

今の靴の販売の仕事もやりがいはあったのだが、もう少し刺激のある仕事もしてみたかった。

妻の冬美にも相談した。

「ずっと夢だったんでしょ。
いいんじゃない。
でも気をつけてね。」

そう言ってくれた。

私と後輩は居酒屋を出て、駅の改札で別れた。

私はもらったお菓子の袋を握り、今私が支払った居酒屋のレシートを見た。

どうやら私の送別会ではなかったようだ。

私は冬美の待つアパートへと帰宅した。

家に帰ると、冬美は私の好きなトンカツを揚げてくれていた。

「靴の販売のお仕事、お疲れ様。」

食後にはケーキまで用意してくれた。


あくる日の夕方、私達は成田空港へと向かっていた。

まだ行けていなかった新婚旅行へ行く為だ。

憧れのハワイ。

私達は鶴丸が垂直尾翼に描かれた、ボーイング787へと乗り込んだ。

まさに夢のようなハワイでの10日間を私達夫婦は過ごした。

この日常のワンクッションになるバカンスは、多忙になる前の良い息抜きとなった。
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