尾行再び!

文字数 713文字

朝6時に目が覚めた。

シャワーを浴び、昨夜ファミリーマートで買ったパンを口に放り込んだ。

私は部屋を出て隣の田中の部屋をノックすると、バッチリとメイクを決めた彼女が出てきた。

「私は一度事務所に行きます。
柴田さんは周さんの所に行ってください。」

田中はそう言うと部屋のドアを閉めた。

安田のマンションの前に行くと、周が入り口から少し離れた建物の影に隠れて、エントランスを見張っていた。

安田の不貞の現場を押さえるのが我々の仕事ではあったが、アリバイがあるとはいえ殺された女性と直前まで食事をしていた人間ではある。

F.I.D.A台北事務所所長の王(ワン)は、我々が依頼人からの依頼料を貰う金曜日から日曜日だけの尾行だけでは不十分と考えたのであろう、事件が関わっている可能性も考え、昨日は周を安田の見張りに置いていた。

「おはようございます周さん。
今のところは安田の行動は普段の平日の動きと変わりないですか?」

「おはようございます。
昨日も7時40分頃このマンションを出て出社し、19時半頃帰宅しています。会社の人間以外には会っている者はいないようです。」

「了解しました。
ここで私に変わります。
お疲れ様でした。」

「よろしくお願いします、柴田さん。
それと…あそこの建物の影に…」

周が見ている先の建物の影に、男二人が安田のマンションの入り口を見張っていた。

「あの男達は警察です。

おそらく斎藤温子と安田が関わっていたことを嗅ぎつけたのでしょう。

そしておそらく彼等は我々の存在にも気付いているでしょう。

あちらから声はかけられてはいませんが…。」

私は周に頭を下げ、グレーのポルシェカイエンに乗って去っていく彼を見送った。

10月だが朝の日差しはまだ強かった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み