第21話 わたしがサバの骨を嫌いな理由 

文字数 610文字

紫雀の実家は医者でした。

なんの医者かというと耳鼻咽喉科です。
このラインは体の中でつながっているので、一緒にみるのがセオリーなんですね。

お年寄りから、子供までいろんな患者さんがやってきます。
なかには、こんな人も……


診察時間が終わり、一家団らんでご存じ、時代劇「水戸黄門」を見ていた時のことです。
話もクライマックスの佳境に。
助さんが「この、お方をどなたと心得る」と例の名せりふをはいている所へ、
夜だというのに病院のドアを叩いて、助けを求めるおじさんの声がします。

「せんせーい、助けてくださーい。
 サバの骨がのどにささって痛いですがー」

『ああっ、いいとこだったのに』と父が思ったかどうかは謎ですが、
しぶしぶ、病院の戸を開けて、おじさんを迎え、無事、骨をのどからぬいて診察を終了しました。

『サバーのほねー』ってあの大きな中骨?
どうやったら、あんなもの刺さるの?
子供心に骨に対して恐怖心がわきました。
もともと魚が嫌いなのに……。

おかげで今でも魚の骨は嫌いです。
紫雀が魚を買うときは、三枚おろしが基本です。

後日、カルシウムの話を友達としていると
「そういえば、うちのおじいちゃん、魚の骨はバリバリと食べてたのよ。
 だから骨は丈夫だったのよ」といった。

もしかして、あの時の患者は、この人のおじいちゃん? 食べてたって???
だから、あんな事件がおこるんでしょうが……(-_-;)

もう、だいぶ前の話、今となっては確かめようのない紫雀でした.
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