第29話 声の話 

文字数 774文字

 こんにちは 紫雀です。
 先日のことです。
 ママ友のkさんと電話していた時に声の話になりました。

「Sさん、声わかいねー」
「そりゃそうよ。だって、声にお化粧してるもん」
「お化粧?」
「地声より、ちょっと高い声でしゃべっているんだよ」
「なんで?」
「私、二十歳くらいの時にこんな体験をしてね、」

 と話は続きます。
 それは、私がまだ、短大生だった頃の話です。
 友達のMさんに用事があり、夜の8時頃に彼女の家に電話をかけました。
 出てきたのは彼女のお父さん.

 ちょっとビビりながらも、Mさんにかわってくれようお願いしました。

「Mさん、Sだけど、あしたの○○が××に変更になるからね。」
「うん、わかった。ありがとう」

 用件を伝え、電話を切りました。
 次の日、短大でMさんに会いました。

「Sさん、昨日の電話、お父さん出たでしょ」
「うん、そうだけど......」
「あのあと、大変だったの」
「?、えっ、何が?」

 なんのことか、さっぱり、わからない私。


「電話の後でね。今の男は誰だって、怒るのよ!」
「えっー、だって、私、ふつうの声でしゃべってたけど」
「だから、その声が男の人の声に聞こえたんだって!」

 なんでやねん。女しかいない短大の同級生なんですけど。
『私同じクラスのSですが』って言ったよね。
 なんで男って思えるわけ?

 Mさんは、電話の後、1時間近く
『今の男は誰だ?なぜ、紹介しない!いつから付き合ってるんだ?』
 とお父さんに叱られ続けたらしいのです……。


「ふーん、大変だったんだね。でも、別に普通に女の人の声だよ」

 と笑いながら、電話の向こうのKさんが言う。
『だーかーら、女の声に聞こえるように努力してるんだって……』
 話題はつきたので、電話はそこで終わりました。
 でも、努力しないと女性の声に聞こえない私の地声って一体……。

 ああっ、悩みの絶えない紫雀なのでした
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