第11話 あなたの知らない世界 後編

文字数 454文字

何日たっても市松人形の怒りは、鎮まることはありません。
人形のおいてある部屋は、いつまでも怒気の消えることはなかったのです。
私は、我が家がまる焼けにされるのではないかと気が気ではありませんでした。
人形の怒りが誰にむけられていたのか、判断がつきかねたのです。

さらに数日がたちました。
私が、仕事をおえて会社から帰ってくると、あの部屋の怒気がなぜか、おさまっています。

 ?……なぜ、突然……。

さらに数日して、謎がとけました。
母の話から、怒りがおさまった理由が判明したのです。

 人形の元の持ち主である踊りのお師匠さんが、階段から落ちて大ケガし入院しているとの事でした。医師から「歩けるようにはなるが踊りを続けるのは無理でしょう」と告げられたそうです。

人形はまだ、あの部屋にあります。

「お母さん、あの市松人形、ぜったいゴミとして捨てちゃだめよ。たたるわよ」
「あら、そーお?」

呑気な母は、「何を言ってるの?この子は」という顔をして、私の顔を見ました。
この話はすべて事実です。世の中にはこんな理解しがたい現象もあるのです。
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