第2話 続、たまたまの話 

文字数 1,006文字

こんにちは、紫雀です。

それは私が、まだ、20代の頃、ゴルフ場に勤めていた時のお話です。

ゴルフ場の支配人はシベリア抑留経験者。軍隊あがりのこわーい人。
支配人には、敬語、どんなときにも敬語です。
だって、こわいんだもん

当時、私はマイカー通勤、支配人の家によってから、同伴で会社に出勤していました。
そんな、ある日の事でした。

「おい、S、わしが軍隊にいた頃の話だがな」

車を運転してる私の隣の助手席で、支配人が突然話しだした。

以下、支配人ビジョンで

「おい、起きろ!加藤二等兵、おい!」

兵舎で寝ていたわしは、夜中に突然たたき起された。
相手は、高田上等兵だ。
目を開けていなくても声だけでわかる。
眠い目をこすりながら聞いた。

「こんな夜中になんでありますか。……高田上等兵」

「佐藤軍曹がお呼びだ!わしも呼び出された口だ。
 つべこべいわずついて来い」

急いで服を着替え、二人で兵舎を抜け出した。
月のない夜、カンテラの明かりをたよりにひたすら、軍曹の家に急いだ。

家に着くと、玄関の土間に素っ裸の男性の死体が一つあった。
玄関先で仁王立ちになり、裸電球に照らされた軍曹が怖い顔をしてあごをしゃくった。

始末してこいとの合図だった。
遺体をひっくり返して驚いた。
男は、二つとも金玉を握りつぶされていた。

タマタマを握り……つぶされて……絶命!!!∑(゜Д゜)

「そっ、それで、遺体はどうしたんです」
「もちろん、高田上等兵と土をほって埋めたさ」

「後で聞いた話なんだが、外国人の兵隊が軍曹の留守中に自宅に押し入り、奥方を手篭めにしようとしたらしいのだ」

「……」

「逃げられないと悟った奥方は、自分からベットに誘い、相手が気を許した所で、金玉を握りつぶしたという訳さ」

タマタマを……タマタマを!!!
つまり、幼稚園児の私と同じ事を~~~~。

 もし、事が成就していれば、私、父親殺しじゃん!!!(((( ;°Д°))))

「どうだ、これぞ、大和撫子!日本女性の鏡、すばらしいだろう」

……はいっ……素晴らしいです。貞操を守ったんだから。
でも、私は……。

「日本女性はこうでなくてはいかん!
 お前も手篭めにされそうになったらこのように身を守るんだぞ、わっ、はっ、はっ、はっ」

支配人は豪快に笑った。
思わず、手元が狂い、ハンドルがぐらぐらとゆれた。

「おおっ、どうした。S」

いえるわけがない……すでに経験ずみだとは……。
(手篭めのことではありません)

 以上、紫雀の体験談でした。
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