不落要塞都市エリコ
文字数 2,437文字
(色の違いが分かりづらいので臣下を橙→青に変えました)
エリコの街には今日も四万人とヨシュアが吹き鳴らす角笛が鳴り渡っていた。七日前にあらわれてからというもの、イスラエル軍が街の周りを一周して帰ることを毎朝繰り返していたからである。
そんな状況で日常生活など送れるはずもなく。エリコ王もその臣下も市民も見事なまでにやつれていた。
(ヨシュア記6章4-5節)
※聖書を読む限り、祭り好きで気分がノリすぎると笑えない事件を起こすのがダビデという人物である。
イスラエル人がエジプトを脱出してから約四十年になるが、神の言うとおりにしていて失敗したことなど一度としてなかったからである。
ペリシテの宇宙戦艦を叩き落とした投石に、石造りの城壁が耐えられようはずもない。大穴を開けてふたたび崩落した城壁は、しかし。
つまり神に反抗するとロクな目にあわない。
人間は辛くなれば不満を言いたくなる生き物です。イスラエル人も例にもれず、そのせいで災いを受けたことも一度や二度ではないのですが、最たるものが前々回説明した「ヨシュアとカレブ以外みんな死んでしまった」です。
エジプトを脱出したイスラエル人はなんやかんやでカナンまで到達しました。族長たちが代表してカナンを偵察に行き、そこが『約束の地』にふさわしい豊かな地であるのを確かめた……まではよかったのですが。そこに住む人々を見た族長たちは
「なにあいつらデカいんだけど」「城壁高い。死ぬ」「攻略とか無理ゲー」
と弱気な発言をしてしまいます。ヨシュアとカレブだけは「それでも神がいけるっつったんだからいける!」と反論したのですが、民衆は逃げ腰になってエジプトへ帰ろうと言い始めます。
それに怒ったのが神様。
「そんなに嫌なら入らんでいい。文句言った奴が全員死ぬまで流浪の民やっとけ」
と、イスラエル人を荒野へと追い返してしまい、言葉通りヨシュアとカレブ以外はカナンに入る前に死に絶えてしまったのでした。