城壁を建てる者ネヘミヤ

文字数 974文字

「ネヘミヤ……城壁を瞬時に修復するなんざ非常識すぎないか」
 その後も城壁を破ることはできず、イスラエル軍はふたたびヨルダン川を渡って陣営に戻っていた。先の投石で戦士として認められたダビデを交えた作戦会議はすでに深夜に及んでいる。
「ダビデ殿も大概な気もしますが……」
「ヨシュア様、あの男をご存知ですか?」
「いや、あれは我らの中から出た者ではない。エジプトを出て四十年になるが、あのような者がいたことはないからだ」
「即答できるその記憶力はさすが歴史的偉人」
「それですよダビデ殿!」
「どれ?」
「その未来人みたいな発言ですよ! この前も四百年前がどうだとかおっしゃっていましたが、あのネヘミヤもダビデ殿と同じく未来人なのでは?」
「たぶんそうだと思う……が、知らん。ネヘミヤなんて名前聞いたことが無い。たまたま知らないだけか、俺よりさらに未来から来たのか」
「よし!!」
 何を悟ったか、ヨシュアが立ち上がった。
「もういっぺん偵察行ってみよう!!」
「ヨシュア様、それはあの厳戒態勢かつ謎の異能力者がいるエリコに?」
「うむ!!」
「誰が?」
「無論、私がだ!!」
「そうですよねまた我々が……はい?」
「え、ちょ、総大将が偵察!?」
「まあ、神の加護があるからな! 私なら死ぬことはあるまい!! なんならカレブも連れて行くぞ!!」
「待ってくださいよヨシュアさん」
「待てん!!!」
「俺に考えがあります」
「ダビデ殿もヨシュア様との会話にこなれてきましたな」
「して、考えとは?」
「なんとなーく分かってきたんだ。奴らが、ペリシテの連中がやろうとしてることがな」
<カレブについて>

 ここまでちょくちょく名前を出していた人。今後語るタイミングが無さそうなので。

 この物語のようなことが実際に起こったとしたら真っ先に行動を起こしたであろう老勇士、それがカレブです。四十歳の時にカナンの偵察に行き、ヨシュアとふたりきりで侵攻を主張するも通らず、四十五年経ってカナンに戻ってくるまで神に従い続けた信仰の人でした。当時の寿命を考えれば相当な長生きですが、この時点でもまだ壮健だったと書かれています。

 が、この人とにかく記述が少ない。ヘブロンという土地をもらったことなどが書かれていますが、どうにもキャラが分からない。あえて言うならヨシュアと丸かぶりする。

 なのでこの物語では登場させていません。

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登場人物紹介

ダビデ


 後にイスラエルの栄華を築く羊飼いの少年。凶暴な生体兵器へと改造された王女ミカルを捕獲し、元に戻せば嫁にやると言われて旅立つ。特技は投石。好きな食べ物は羊の煮込み。女好きで外道

ミカル


 イスラエル王女。ヒロイン兼馬代わり。

 元は美少女だったが生体兵器へ改造されてしまった。口から放つ音響縮退砲エリコバスターは射程内のあらゆるものを粉砕する。

 腹をがばっと開くことができ、人間だった頃の体はそのスペースに収まっている。もうひとりくらいなら潜り込んで添い寝が可能。


 左は人間だった頃の姿である。改造後はカマドウマとナマコを足して割らなかったようなヌメヌメ六本足の身体となった。

サウル


 イスラエル初代国王。聡明だが臆病で短気なところもある、ダビデの主君でミカルの父。

 ペリシテの侵略に悩まされていたところにダビデが現れて喜ぶも、ミカルがダビデに惚れたことで手のひらを返した。が、そのミカルを改造されてしまったことでまたも手のひらを返し、ミカルを人間に戻せば嫁にやろうとダビデを焚き付ける。

ヨナタン


 イスラエル第一王子。ミカルの兄でダビデの大親友。

 シスコンをこじらせている。

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