あの日、雨

文字数 171文字

降り出したのに
傘もささず
濡れるに任せて
誰を待つのか

許しを請う
ように
頭を下げ
真っ直ぐ祈る
ように
指を交差する

見るに見かねて
私が傘を差し出したら
優しくしないでください
と冷たく吐いた

息子として
認められない
虚しさが
目の前を
真っ暗に
塗りつぶす

父は
先に逝ってしまった
母に
ひたすら
謝り続けているのだ

雨になると
思い出して
しまうのだろう

あの日も
雨が降っていたのだ
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