沈んだ時、現れる

文字数 197文字

ときどき
朝から
母が
現れる

わたしが
沈んでいると
頭の前辺りで
大きく笑う

母が死んだ年を
越えて生きる日々は
思い通りではなく
行き止まりの連続だ

落とし穴に
はまることも
あるから
生傷が絶えない

年下の母の前では
わたしは
子供に戻る

見た目ではなく
心が
戻る

母が
いたから
わたしが
いるのだ

ただ
ただ
笑うばかりで
何も
話さないけど
それで十分

思い出は
いくらでも
残してくれたから

懐かしく
語り合う日は
もう少し先

気づくと
身体が
浮いている
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