白い壁

文字数 342文字

白い壁に囲まれ 一日過ごすと 自分が異質に感じて 白いペンキを全身に浴びせ なんとか同化しよう と 試みるが 全身白くなっても異質に変わりなく 息を止めてみても せいぜい五十秒で 生きている限り 白い壁にはなれない と 思い知らされ 赤や緑や茶のペンキを 白い壁にぶちまけてみたが いとも簡単に弾かれ 僕の足元に混ざり合い 溜まるので 全身白のまま 飛び込み 色まみれになったら 落ち着いたのは 色にまみれない白い壁に 勝った気がしたからで 思い切り笑みを浮かべたら 警告音が鳴り響いて どうやら 実験は終わったらしく 僕は解放されたのだが そのまま 病院に運び込まれて 再び 白い壁に囲まれ 次の実験が始まった時は 同化しようとも 抗おうとも 思わなくなっていた          
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