アリジゴク

文字数 165文字

アリジゴクが
ウスバカゲロウに
成ると知って
淋しくなった

僕は
何者にも
成れないから

つまり
僕は
ずっと
僕のままだ

蟻を
何匹も
落としてやったのに
アリジゴクは
教えてくれなかった

何者にも
成れないなら
せめて
名前を
変えて
生きてみようか

僕は
秋冬という筆名で
詩を書くことにした

秋冬の
読み方は
ウスバカゲロウ

幼い頃
僕の唯一の
遊び仲間は
裏庭に住む
アリジゴクだった
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