赤い林檎
文字数 3,020文字
キンコンカーンと予鈴が鳴る。
僕らは部屋を出て、教室へと向かった。
二人の女子生徒が頬を赤らめながら教壇の前に出る。
以前から噂のあった二人で、お互いをパートナーだと認め合った女子同士の確かな自信と信頼に溢れた目でお互いを見つめている。
一方、その二人と相部屋だったはずの女子生徒は沈痛な表情で二人を見つめている様子が胸に刺さった。
百合という女子生徒は、「私たち、晴れて結ばれることになりました!」と笑みを浮かべ、リーシャの方も微笑んで「みんな、これからもよろしくね!」と自信たっぷりに言う。
クラス中から祝福の拍手が起きる。
同時に、
ゴーーン。
ゴーーン。と晴れやかな鐘の音が学園中に鳴り響いていた。
祝福の鐘。
カップルが出来たことを全生徒に知らせるための鐘だ。
百合とリーシャは涙ぐみながら、「私たち三人、ずっと一緒よ」と由紀という女子生徒の元へ行き、三人で抱きしめあっている。
その感動的な光景に、もらい泣きする生徒も続出している。
そして、昼時が来る。
食事当番の生徒たちが、普段畑で育てている麦から作ったパンを並べてくれる。
そして、先生ロボがお待ちかねの鳥肉を持ってくる。
調理師免許を持つ先生ロボによる鶏肉のムニエルには、特製のソースがかけられており、湯気がもうもうと立っていて食欲をそそる。
さー、みんな。お肉食べ終わったかなー?
じゃあ、お片付けしましょうね。
今週のお片付け当番は、薫くんとユーリィ君だったね!
じゃあ、みんなは教室で、由紀ちゃんとの最後のお別れ会の準備をしましょう!
薫君とユーリィ君は、きちんと全部を倉庫にしまっといてね。
僕とユーリィは、食堂の皿を持って倉庫へと向かっていた。
基本的にこの学園で使ったものは、全部その日の内にここにしまうことになっている。