禁断領域1

文字数 1,510文字

んーとね、先生。茜とユーリィがずっと健康でいることだよ。

うん。

本当にその答えでいいの?

これは重要な質問なのよ、薫くん。

「あなたは、この学園生活の最後に、何を望みますか?」

という質問。ほとんどの子は「パートナーと結ばれたい」とか「荒廃した世界を救いたい」という風に答えるのよ。

なのに、薫くんは茜ちゃんとユーリィ君のことだけなの・・・?

うん!

だって、僕は風邪一つ引かないからね。後は茜とユーリィが健康なら、みんなで仲良く暮らせるよ。

そういえば、先生には仲間やお友達っていないの?

いつも一人で僕らの世話をしてて大変そう・・・

・・・薫くん。

ウフフ、先生には薫くんたちがいるでしょお?

さあ、今日のアンケートは終わりよ。授業に行きましょう。

はーい。

あ、茜。今日のアンケート聞かれた?

なんて答えた?

そうねえ。私のはヒ・ミ・ツ。

特に薫にだけは秘密。

乙女に何でもかんでも聞くなんて、お姉ちゃんは関心しないな。

俺のは分かってるでしょ?

薫のこのぷにぷにのほっぺを・・・

ボウガンが狙ってるわよ

まあまあ。

さあ、今日は何で遊ぼうか?

そうだね・・・守護壁の中はまだ調べ終わってないし、やはりそこに行くべきだと思う。


ええー、またあそこに・・・?

あそこは怖いし暗いし・・・

じゃあ、まだ先生を疑うっていうのね。

けど、確かにあなたが持ってきたこの『補完・LGBT計画』を読んだ後だとね・・・

やはり、まだ油断はできない・・・あんな恐ろしいものを見た後だとね。

も、もう二人ともいい加減にして!

どうして、先生を悪者扱いするのさ?

薫・・・

僕たち、ずっと先生に面倒見てもらったんだよ!?

先生がそんな酷いことするはずがないよ!

・・・・・・

それもそうだね。

じゃあ、今日は俺は別行動で由紀の後を追うよ。二人は守護壁の中のロボットに聞いてきて欲しい。

「LGBT計画」についてね。

俺が読んだ事実と、あのロボットが知っている事実には食い違いがあるかもしれない。

大丈夫かしら?

その計画書が本当なら、先生はパートナーがいない子を殺しているってことになるのよ?

そう、つまり俺は今なら平気ってことさ
なるほどね。
先生がそんなことするはずがないよ・・・! 僕らが今日で秘密を全部暴くよ。

僕らは再び、あの守護壁へと向かった。

暗い中を突き進んでいく。

あのメイドロボさんに聞けば分かるよ。

きっと、茜たちの勘違いだよ。

かもしれないわよね。というより、私だってあの『計画書』の中身が事実だなんて信じられないわ。

あれが本当なら・・・人類はもう・・・

あら? ここに教会があったのね。

綺麗な祭壇・・・!

今日のお祈りをしておきましょう。

アーメン・・・

祈りは自らのためー

捧げる魂は神のためー

子供たち、なんの御用ですかー?

あっ、メイドロボさん、こんにちは!
あのね、『LGBT計画』について教えて!

そ、そんなストレートな・・・!

余程の機密事項なんだから、もっとこう・・・

いいでしょうー

子供たちのお世話も私の役目ですー

聞かれたことには教える義務がありますのでー


では、こちらにどうぞー

一方、ユーリィは別校舎があるとされる方角へと歩いていた。

パートナーに恵まれなかった子だけが歩み入れるとされる道を歩く。

その先にあったものは。

・・・フン・・・

おびただしい量の、墓石であった。

一つ、ごく最近掘られた痕の残るものがある。

ユーリィは、近くのシャベルで掘り返してみた。

由紀の遺体・・・か。

先生もやってくれる・・・

今の今まで散々いい人ぶっておいてさ。

待ってろよ、由紀。

必ず仇を・・・

あーら、勝手に墓地を荒らすイケナイ子は誰かな~


あー、ユーリィ君、はっけーん!

先生・・・

駆逐モードに移行するわ。

これより、侵入者の駆逐を開始します・・・

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登場人物紹介

薫。

少しおどおどした性格だが、実は芯の強さを内に秘めている。最近、ユーリィからのイタズラに困りながらも、内心で期待してしまっている自分も感じている。同時に、隣で見守っている茜のことも気になっており・・・?

茜、十六歳の美少女。

薫に手を出そうとするユーリィを戒めるのが自分の務めだと思っている。

薫に対しては「お姉ちゃん」と自称するが兄妹ではない。

ユーリィ。十五歳でロシア人とのハーフ。

ひたすら薫に抱きつき、なんとか自分のものにしようとしている。

勉強も体育も学年一位。

しかし同時に、この世界に大人がいないことに違和感も覚えている。

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