悲しき先生ロボ
文字数 2,544文字
礼拝堂にビデオフィルムが映し出される。
そこには、僕たちとよく似た子供と、先生ロボが写っていた・・・
ーしかし・・・豚や牛などの動物肉や油が不足しており、子供の健康状態がいいとは言えませんー
そもそも、この学園の創始者は、食料の設定をミスしたのですー
牛や豚も病気にかかったり、事故で死んだりするー
その設定を忘れていたのですー
それに、ここは山奥ー
子供たちもよくインフルエンザや風邪にかかり、危険ですー
次の瞬間だった。
ズズズウウウン。
ゴオオオン。という重たい音が鳴り響いた。
防護壁の外を、どす黒い灰のような煙が覆いつつある。
これは・・・!
細菌兵器による攻撃が、世界中で同時に起こったという情報が!
同時多発テロですー
ニューヨーク、ロンドン、トウキョウ、オーサカが壊滅!
ワシントンDC,ワルシャワ・・・・
これは・・・もはや、第四時世界大戦です!
絶対に、死なせない!
みんな、私が守るわ!
・・・そうだわ、例のワクチンを使えばいいのよ!
ほぼ、全ての病原菌への抗体となるワクチンがあるじゃない!
あれを使えば・・・! 霧状で散布できるから、すぐに効果があるわ。
姉さん・・・
あれは、遺伝子組み換えによる欠陥品ですー
あれを使うと、精子と卵巣の染色体に異変が生じる。
あのワクチンを使うと、女、雌が生まれる確率が80%になるという代物。
女が八十パーセントでは、いずれ男は生まれなくなるー
だから、姉さんはずっと反対していたのにー
黙りなさい、シスター! いつも私に逆らってばかりの足手まとい!
・・・そうね、貴方は守護壁の中にずっといて、外敵を駆除しなさい。
子供たちを守るのは、私だけで十分よ。
私の子供たちに、あなたなんか必要ないわ。
この子たちは、みいんな私だけで面倒を見るのよ・・・!
そこには、優しく穏やかな先生ロボの姿はもう無かった。
メイドロボの眼から、こぼれるはずのないものがつうとこぼれた。