禁断領域2

文字数 1,241文字

それは、悲しく残酷な私の姉の話ですー

本当に聞きますか?-
きっと、聞かない方が良かったと思うでしょうー

へえ、メイドロボさんにお姉さんが?

聞かせてよ、それ!

私たちの仲間の安全に関わること・・・

是非、お願いするわ。

では、礼拝堂の地下へ・・・

メイドロボが行く先には、地下室があった。

ビデオやフィルムが並べられており、僕らは地下へと向かった。

こ、怖いなあ。茜、大丈夫?

も、もちろん。怖くなんかないわ! さあ、お姉ちゃんの手を握って。

あら? 結構硬い・・・

ああっ!

そこ、ダメっ。


あ、薫・・・また、色欲に支配されているの?

もうっ、いけない子ね! これから、学園の秘密を聞こうっていうのに。

さあ、お姉ちゃんがお祓いをしてあげる。

神よ、薫の色情の欲望を清めたまえ。アーメン。

あ、茜のせいでしょー!
・・・もう構いませんか?
あ、ええ。大丈夫よ、薫のお祓いは済んだから。

ではー話しましょうー

といっても、LGBT計画とはつまり、この学園を作られた研究者の願い。

世間の常識が無い状態で、LGBTの比率を割り出す・・・という願いで作られたもので、子供たちもそう言い聞かされているでしょう。そもそもLGBTは昔は差別の対象だった・・・そうした概念が無い状態でのレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの子の比率を割り出すため、この学園は作られたのです。

先生から、しょっちゅう聞かされているよね。

しかし、あなたたちの遥か以前、二百年前にこの学園の一期生が入学してから、全ては変貌したのですー

いいですか、今の学級には全部で二十人の生徒がいますね。

しかし、二百年前は総勢二百人の大所帯だったんですよ。

青春学園だけじゃない。白冬学園、赤秋学園、黒夏学園、と他にも学園があったのですー

そんなに大勢いたはずが、どうして・・・?

もちろん・・・

第四時世界大戦ですー

第三次世界大戦は、アメリカとロシアによる全面核戦争でした。
死者十万人の第三次世界大戦の後も、経済格差と宗教紛争による衝突は止むことはありませんでした。そうした最中、この青春学園は作られたはずだったのです。あなたたちのように容姿も心も美しい子たちを集め、LGBTの子たちの比率を探ると同時に、いずれは世界の指導者にもなってもらおうという考えだったのです。
ぼ、僕たちそんなために集められたの?

しかし、一度狂った歯車は元には戻らないー

第四時世界大戦は、もはや戦争とすら言えないものでした。

何故なら、細菌兵器による一方的な虐殺だったのですから。

致死率99.98%の細菌兵器がバラまかれ、人類は死に絶えたのですー

あなた方を除いてー

私たちは偶然、抗体を持って生まれて、おかげで生きているのよね。


いいえ、厳密には違いますー

あなた方に抗体を打ち込んだのは、私の姉ー

先生ロボとあなたがたが呼んでいるロボットですー

な! ど、どういうことなの!?

・・・では、ここからは大昔のスライド写真を見ながら説明しましょうー

そして、何故、男が二人しかいないのか、についても分かるはずですー

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

薫。

少しおどおどした性格だが、実は芯の強さを内に秘めている。最近、ユーリィからのイタズラに困りながらも、内心で期待してしまっている自分も感じている。同時に、隣で見守っている茜のことも気になっており・・・?

茜、十六歳の美少女。

薫に手を出そうとするユーリィを戒めるのが自分の務めだと思っている。

薫に対しては「お姉ちゃん」と自称するが兄妹ではない。

ユーリィ。十五歳でロシア人とのハーフ。

ひたすら薫に抱きつき、なんとか自分のものにしようとしている。

勉強も体育も学年一位。

しかし同時に、この世界に大人がいないことに違和感も覚えている。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色