薫たち

文字数 1,523文字

フィルムはここまでですー

初期のLGBT計画は姉さんに書き換えられ、『ラストガールボーイテイルズ計画』・・・つまり、パートナーに恵まれなかった子を処分してでも、学園を存続させる計画へと置き換わったのですー

私の説明は、これで終わりですー

う、ウソだよっ! 先生が・・・!

じゃあ、今までみんな殺してきたっていうの?

あの優しい先生が・・・? 由紀ちゃんも!?

姉さんが、殺処分してきた生徒は、一五十二人ー

う、ウソだよ・・・

ウソだ・・・! あの先生が・・・!

・・・私も信じたくはないけれど、どうやら事実のようね。

薫、私たちも先生と戦う覚悟が必要だわ・・・!

あの時、危険行為防止プログラムを取り除いた時、姉さんは壊れてしまったのです。

私のせいでー

子供たち、どうか姉さんを救ってあげてくださいー

一方、ユーリィは先生ロボと対峙していた。

これより、駆除しますー

侵入者の駆除をー

・・・!

なーんちゃって! あははっ。まさか、先生はそんなことしませんよお?

大事な大事な子供たち、傷つけるはずがないわ。

ユーリィ君、本気にしちゃった?

・・・それは、俺が薫に選ばれるかどうかを見極めてから・・・でしょ?

あらら、流石はユーリィ君! 学年一位の秀才ね。もう、知ってたのね?

そう、私の務めは学園の未来を守ること・・・

どんな手を使ってもね。

今の生徒数じゃ、牛さんや豚さんの数が足らないわ。なんせ、細菌兵器のせいでほとんど死んじゃったんだもの! みんなの健康を守るためには、いらない子は処分していかないと

・・・一つ聞かせてよ、先生。

俺らに打ったワクチンは、誰が作ったの?

まあ、そこまで知ってるなんて、話が早くて助かるわ。

あれは、この学園の創始者が作ったものよ。つまり、私の母親がね。

それは、ほぼ全ての病原菌に対抗できる物凄いワクチンだったの。お母さん、天才!

けれど、それには欠陥があった・・・

子孫が女の子ばっかりになる

っていう重大な欠陥がね。だから、私は当初、それを打つのをためらっていた・・・

けれど、恐ろしい細菌兵器がみんなに襲い掛かってきたんだもの。私は、みんなのためにワクチンを打ったのよ。効果はてきめんだったわね。

・・・そういや、俺たち風邪も引いたことない。

それに、男は俺と薫しかいない・・・なるほどね、辻褄があったよ先生。

それで、こっからどうするの?

どうって、どうもしませんよ。普段通りの生活を続けて!

というより、それしかないわ。

そもそも、こんな話を他の子が信じるとでも思う・・・?

こんなヘンテコな話、いきなりしたらユーリィ君の頭が心配されるだけだぞお?

ちっ・・・!

心配しなくても、薫くんには手を出さないわ。あの子が決めることですものね。さあ、学園に戻りましょう。さあ、由紀ちゃんの遺体はシャベルでザクザクと埋めておいてと。


次の朝・・・

ちゅん、ちちちと小鳥が鳴く。

爽やかな日差しだ。

ふわーあ、おはようみんな。
・・・

ああっ、ユーリィ。また、変なこと企んでる?

もう、また茜が怒るよ。

おはよ・・・
茜もそんなに怒らないでよ! ボウガンをしまって!
・・・・・・
み、みんな・・・みんな・・・
お願い、薫・・・最後にキスさせて・・・!
え、ええ?
俺もだ・・・もう、死ぬかもしれないんだからさ。いいだろ?

そして、ユーリィは僕の頬に、茜は僕のおでこにゆっくりと口づけをした。

それは、甘く悲しい接吻だった。

ああ・・・柔らかい。薫とのキスってこんな感じなのね・・・
もう、死んでも悔いはないわ。神よ、ありがとうございます。
すげー、たまらねえよ。ずっとこうしてたい。

二人とも・・・・ヤだよう・・・

こんな悲しいキスはイヤだ・・・!

いつもみたいにしてよ。

いつもみたいに、ふざけて僕をめちゃくちゃにしてよう・・・!

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登場人物紹介

薫。

少しおどおどした性格だが、実は芯の強さを内に秘めている。最近、ユーリィからのイタズラに困りながらも、内心で期待してしまっている自分も感じている。同時に、隣で見守っている茜のことも気になっており・・・?

茜、十六歳の美少女。

薫に手を出そうとするユーリィを戒めるのが自分の務めだと思っている。

薫に対しては「お姉ちゃん」と自称するが兄妹ではない。

ユーリィ。十五歳でロシア人とのハーフ。

ひたすら薫に抱きつき、なんとか自分のものにしようとしている。

勉強も体育も学年一位。

しかし同時に、この世界に大人がいないことに違和感も覚えている。

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