第22話 映画『ルックバック』を観てきました

文字数 1,409文字

映画『ルックバック』を観てきました。
とても面白かったです。

と、小学生のような感想を持ちました。
だって、本当に面白かったし、そういう感想なんだから仕方がないじゃないか。

思えば、私は子供の頃から作文が苦手だった。そして、もちろん作文が大嫌いだった。
夏休みの宿題の読書感想文はだいたい未提出で逃げ切っていた。そもそも本を読むことすら嫌いだったのだ。

今ではさすがに大人なので、もう少しは感想を書けるようになっているはず、、、だと信じたい。

私の記憶によれば、ルックバックの主人公の藤野、そして京本は、どちらも絵を描くこと、あるいは漫画を描くことを「好き」とは言っていないんですよね。それどころか、藤野は漫画について、「描くのはまったく好きじゃないんだよね。楽しくないし、メンドくさいだけだし、超地味だし」と言っていた。そして、京本は、「じゃあ藤野ちゃんはなんで描いてるの?」と聞く。映画の最後の方の印象的なシーンです。ちなみに、作中では藤野からの明示的な(少なくともセリフによる)返答はありません。

好きでもないのに藤野が漫画を描く理由、京本が漫画を描く理由、あるいは原作者の藤本タツキが漫画を描く理由、それらをここで考察するつもりはありません。

近頃、「好きなことをして生きていく」とか、「好きなことを仕事にする」とか、よく聞くし目にもしますね。特にクリエイティブとされている職業の周辺から。

うるせー、って思っています。

私は弁理士の仕事をしています。好きかと聞かれれば、別に好きではありません。嫌いでもありませんが。自分にできそうな仕事だし、それなりの収入も得られそうだったからやってみたのです。で、やってみたら出来たし、満足な収入も得られているので今も続いています。

弁理士の仕事にやりがいを感じることはあるし、満足感や充実感を得られることもあります。楽しいと思えることもあります。だけど、好きか、と聞かれれば、「別に・・・」という感じです。

ルックバックの主人公の藤野は売れっ子漫画家になったし、そんなクリエイティブ界のトップランナーの藤野でさえ、漫画を描くことを「好き」とは言っていないし、なんなら「好きじゃない」とさえ言っている(原作:藤本タツキが言わせている)。

まあ、生きる糧(収入)を得るための仕事だし、そんなもんじゃないですかね。と、大人の私は思います。


(余談)
ここまで書いて、終わりにしようと思ったのですが、仕事はそうかもしれないが、趣味は好きなことをするでしょう、と思いました。

子供の頃に作文が苦手で大嫌いだった私は、大人になって、なぜこうしてエッセイを書いたり、時には小説を書いたりしているのでしょうか。文章を書くのが「好き」になったのでしょうか。

いや、ぜんぜん好きになっていません。藤野じゃないけど、「書くのはまったく好きじゃないんだよね。楽しくないし、メンドくさいだけだし、超地味だし」と思っています。

むしろ、創作や表現が苦手だ、というのが私が書き始めた大きな要因だったりします。これについては、いつか改めて書いてみたいと思います。

こんな風に書くと、私は仕事でも趣味でも「好きなこと」をしていない、ツマラナイ人間みたいに思えてきますね。いちおう補足しておくと、書くことはあくまでも趣味の1つでして、他の趣味、たとえば、読書、運動、外食、他にも色々、は好きだし、日々とても楽しんでいます。

神山ユキ
2024.8.1

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