第16話 効率重視は良いことなのか?

文字数 1,754文字

弁理士の仕事をしていると様々な会議があります。
会議では意思決定すべきことのために各メンバーが必要な情報を提供し、リスクや懸念点を洗い出し、どういう決定が最適かを議論して意思決定をしていきます。


私は、わりと効率重視なのです。
効率を重視しているので、議題と関係ない話をされるとイラっとします。
議題と関係ない話をしだす人はわりにいます。
私のいる事務所(会社)内にもいますし、クライアントの担当者にもいます。
会議の話題が脱線しかけると、すぐに軌道修正をしたくなります。


そして、そういうことができる人が優秀だと思っています。
そして、会議で関係のない話をして脱線させたり、無駄話を長々としたりする人は無能だと思っています。


クライアントの担当者に話が長く脱線しがちな人がいるのです。
関係無い話で会議が長くなると、私はイラっとします。
会議に出席しているクライアントの他の関係者もイラっとしていることがあります。
なので、私が自分で担当している案件に関する会議のときは、会議中に自ら率先して議論の軌道修正をしています。


私は職場での立場上、自分の担当案件でなくても、教育期間中の若手が担当している案件のクライアントとの会議に出席することがあります。自分の担当案件でない場合、私は会議に出席しても、よほどのことがない限り発言しません。会議の仕切りも議論の内容も担当の若手に任せています。


教育期間中の若手の担当案件の会議に関して、クライアントの担当者が、話が長く脱線しがちの例の人だったのです。私もお目付け役として会議に出席しますが、基本的に何も発言はせずに、若手にお任せします。
ただし、クライアントの出席者の一人が例の人でしたので、その若手には、この担当者は関係ない話をして会議を長引かせる傾向があるので要注意であるとは事前に伝えておきました。


いざ会議が始まると、案の定、例の人が話を脱線させ始めました。やっぱりか、と思いながらも、若手の担当案件なので私はいっさい口を挟まずにいました。


担当の若手弁理士は、会議中に関係ない話題を打ち切るような軌道修正はしませんでした。ただし、会議で決めるべき事項については、例の人の無駄話が終わった後にきちんと確認して合意をとっていました。やはり会議は長くなり2時間を超えました。うまく軌道修正すれば1時間もあれば終わる内容でした。


ですが、不思議なことに、私は会議中にイラつきませんでした。いつもならうんざりしそうなものなのですが、私はずれた話を展開されても特にイラつくこともなく、ただただ教育期間中の若手の会議での対応の仕方を観察していました。


その若手弁理士は、強い軌道修正はしませんでしたが、タイミングを見て、重要なことを確認していきました。また、クライアントの他の担当者も無駄話にイラついていないようでした。


出席者の誰もイラついていないなら、会議で効率を重視して軌道修正をしなくてもいいのかもしれない、と思いました。私だったら、強めの軌道修正をしていたでしょう。その分、会議の時間は短くなったと思います。ただ、些細な(?)時間の節約のために、軌道修正することにどれほどの意味があるのか、と疑問に思いました。


また、会議中に誰もイラついていなかった理由を考えてみました。会議は、特許出願のための発明内容を聞き取り、特許出願の内容を詰めていくためのものでした。その会議の最重要人物である発明者がふんわりしたキャラクターで、例の人のずれた話にもそれなりに乗ってくる人だったのです。それで他の出席者もイラつかずに済んだのかもしれません。


私はこれまで効率重視で対応してきましたが、時と場合によるような気がしました。少なくとも今回の会議では、教育期間中の若手弁理士の対応は正しいと思いました。私も効率一辺倒ではなく、もう少し場の空気とか参加者の感情などを感じとりながら対応していけるようになろうと思いました。


ちなみに、後日、別件でその若手弁理士が、クライアントの例の人を含む会議に出席したとき(私は出席せず)、例の人がずれた無駄話をしだして、クライアントの他の出席者と会議中にケンカになったそうです。。。若手弁理士は何もできず呆然としたそうです。


まあ、会議はなかなか難しいですね。

2023.11.1
神山ユキ
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