01:雪道にて
文字数 2,874文字
皆さんは雪の降る山道をスキー旅行からの帰りに、一台のワゴン車で走っていました。
運転手はかりんちゃん。助手席にはまさきちゃん、真ん中の列には酢太郎さんが座り、一番後ろの列に楠木さんと海苔蔵さんが並んで座っています。
各自、今回のスキー旅行楽しかった話とか、また帰ったら何処かに行こうとかいう話をしています。
スキーの腕前はまさきちゃんが一番上手くて、楠木さんが2番目、その次にかりんちゃん、海苔蔵さん。
酢太郎さんが一番下手です。
皆さん楽しく車の中で話ながら運転していると、どんどん吹雪が強くなってきました。
若干視界も悪くなってきて、なかなか車のスピードも出せずにゆっくりと山道を下りているところです。
かりんちゃんが吹雪いている道の先を指差します。
先生が声をかけたのでもう一度指差したところで、突然車がガクンッと何かを踏み付けたように一瞬車体が揺れます。
ハンドルが効かなくなったところで、車はそのまま車道の途中にある大きな木にぶつかります。
どぉーーん!
車が木にぶつかった衝撃で、シートベルトをちゃんとしていたまさきちゃんはダッシュボードに少し頭をぶつけるだけで済みました。
酢太郎さんはかりんちゃんが変なもの踏んだという声を聞いて「もしかして車がパンクしたのではないか」と危険を察知して、丁度身構えていたお陰で木にぶつかった衝撃を緩和することができました。
海苔蔵さんは「どうしたどうした」とかりんちゃんにきくために身を乗り出していたので、衝撃に耐えることができずに右の窓ガラスに体がぶつかってしまいました。
その衝撃でガラスも割れ、腕に刺さります。
最後に、楠木さんは座っていたので前の座席に頭をぶつけただけで済みました。
木にぶつかったことによって車は停止しました。
適切な処理をしたことにより、海苔蔵さんは特に問題が無い状態まで処置ができました。
海苔蔵さんは一旦車を降りて助手席に駆け寄りました。
先生が慌てて助手席に近寄ったところ、足下が雪なので足がもつれて滑り、まさきさんに拳が入ります。
まさきちゃんは痛みと寒さで上手く手当をすることができませんでした。
まさきちゃんと酢太郎さんの二人は運転していたかりんちゃんはどうなっているか見てみます。
かりんちゃんは運転席にうつぶせになって頭から血を流して気を失っています。
海苔蔵さんが様子を見てみると、かりんちゃんの頭から出ている血は特に命に別状は無さそうです。
ちょっと切れて血が流れているだけです。
応急処置はできましたが、頭からの出血よりも、かりちゃんの額に触ったときにとても高熱を発していることに気付きます。
前方の車輪が左右ともパンクしていることに酢太郎さんは気が付きます。
山道から外れて森に入ったところで車は木に衝突していました。
酢太郎さんと迅之介さんは車道のほうに戻ってみることにしました。