05:カエルの登場
文字数 2,546文字
酢太郎さんはゲストルームAで迅之介さんを待つことにしました。
迅之介さんが浴室へ行くと、そこはとても広い造りになっていました。
浴槽を満たしているのはにごり湯でした。
浴室は湯気が充満しているので、何かあるかは湯舟に入ってみないと分かりません。
ゆっくりと落ち着いた迅之介さんの目の前に、大きなヒキガエルがぴょこんっと湯から飛び出してきました。
げこっ。
迅之介さんが湯のなかを調べてみてもヒキガエルは一匹しかいないようです。
ヒキガエルは浴槽の縁に手を乗せて湯舟に浸かり気持ちよさそうにしています。
迅之介さんはカエルに近付きます。
カエルとコミュニケーションとりたい迅之介さんは、カエルにちょっと触ってみました。
カエルはあなたの手に特に抵抗もせず反応も無く、湯舟に浸かっています。
迅之介さんはお風呂から上がり、酢太郎さんが入浴の順番を待っているゲストルームAに戻ります。
夕食後、海苔蔵さんがかりんちゃんの様子を見に行くと、先程に比べて呼吸は落ち着いてきましたが熱は下がっていないようで、やはり朝まで様子を見なければいけないようです。
館山さんの話が聞きたくなった海苔蔵さんは、館山さんのところへ向かいます。
厨房でまさきちゃんと館山氏が片付けをしているところに、海苔蔵さんがやって来ました。
「勿論いいですよ」と言って、館山氏は冷蔵庫からペットボトルのミネラルウォーターを出し、コップと一緒にまさきちゃんに渡してくれました。
トカゲだったりヘビだったり、進化の過程でどうやって手がなくなったり足が生えたりしたのか、そういったものを調べて今後の人間の進化の発展につなげていこうという目的でいろいろと実験を行っていました
トカゲの尻尾だったりカメレオンの色彩の現象についてだったりとか、そういったことを調べて、薬など発表したりもしていたのですが、この歳になったので仕事を辞めまして科学者としては引退しました
海苔蔵さんと館山氏の話にあまり興味がないまさきちゃんは、厨房から離れてかりんちゃんがいるゲストルームBへ向かいます。
先程ミネラルウォーターを出した冷蔵庫は主に飲料が入っているようで、隣には大きな業務用の冷蔵庫、冷凍庫が並んでいます。
海苔蔵さんは館山氏の話を聞きながら冷蔵庫のドアをガシャッ、ガシャッと開けていきます。
海苔蔵さんが冷凍庫を開けようとしたところ、館山氏がそう言いました。
がちゃ。
海苔蔵さんは冷凍庫を開けました。
冷凍庫の中にはいくつもの肉の塊が吊られていました。
流石の海苔蔵さんでも肉の塊から何かが分かるというのは難しかったようです。
ばたん、と海苔蔵さんは冷凍庫のドアを閉めました。