03:吹雪のなかの視線
文字数 3,177文字
迅之介さん,酢太郎さん,まさきちゃんの三人はゲストルームAへ入りました。
ゲストルームAはゲストルームBよりも少し広めになっており、大きな暖炉があります。
ゲストルームBと内装自体はそう変わらず、大きなクローゼット、タンスがあり、ベッドは4つあります。そしていくつかの窓があります。
こちらも長期滞在できるような部屋になっており、豪華でよく掃除が行き届いています。
見た目が豪華であることは分かりますが、この暖炉がどれほどの物かというと、自分の知識では素晴らしいものであるか判断することはできませんでした。
この暖炉がとてもいい暖炉なのかどうかということは、迅之介さんには分かりませんでした。
酢太郎さんとまさきちゃんは暖炉を見たことがありませんでした。
生まれて初めて本物の暖炉を見たのでよく見てみると、まさに映画などでよく見る暖炉でした。
中に薪を置いて火をくべ、煙突から煙を出すというちゃんとした暖炉であるということが、一見して分かりました。
酢太郎さんはレバーが無いか探してみましたが、特に怪しいギミックは見付けられませんでした。
極一般的な暖炉です。
クローゼットは何の変哲も無いものです。
中を開けてみるとハンガーかけがあり、ゲストのジャケットやコートが掛けられるようになっています。
まさきちゃんは、ゲレンデ帰りで厚着をしていたので、コートなどを脱いでクローゼットの中にしまいます。
まさきちゃんは酢太郎さんと迅之介さんから上着を受け取り、クローゼットにしまいました。
タンスの中も特に何の変哲もありません。
しかし大金持ちの家にあるような高級なデザインをしており、ゲストルームに置くにはとても立派な代物です。
中にはシーツなどが入っていました。
コンコン、コンコン。
がちゃ。
まさきちゃんはよく分からない談義をしている人たちを無視して窓を見ます。
迅之介さんもふと窓の外を見てみました。
まさきちゃんは暖炉レバーの話がよく分からないなと思いながら吹雪いている景色を見ます。其処に特におかしなものは見当たりません。
迅之介さんが窓の外を見ていると、一瞬何かが動くものを見付けました。それは鹿のようです。
しかし鹿だと思ってよく見てみると、何かの視線を感じました。
その視線はこちらを睨み付けるようであり、迅之介さんは悪寒を感じました。
迅之介さんが周りをもう一度見渡してみましたが、その視線は一瞬で消えてなくなりました。
海苔蔵さんはモソモソと十字架を迅之介さんに渡しました。
海苔蔵さんがトイレから戻りました。
館山邸のトイレは入ったら自動でフタが開閉し、音楽が流れるものです。
和気藹々とトイレ雑談をしていると、館山氏が現れました。
そう言ってまさきちゃんはにんにくを館山氏に手渡しました。
海苔蔵さんはそんなまさきちゃんを白い目で見ています。