(三)‐12

文字数 340文字

 大川は浅野に「早くしろ!」と急がせた。手に持った箱を浅野に渡して自分もすぐに欄干を跨ぎたかった。何よりも凍結処理した電池が復旧したら爆発してしまうのだ。
 浅野は「はい」と言いながら、よろけつつ立ち上がり、欄干のところまできた。そして大川から爆弾の箱を受け取った。
 大川がすぐにスプレーを箱に刺さったままのノズルに取り付けてスプレーした。これで中の電池は再び凍結したままのはずだ。
 浅野は大川に「行け!」と指示され、箱を抱えて小走りに爆発物処理車へ真っ直ぐ向かった。処理車からは二人の隊員が既に降りて荷台に据え付けられている密閉格納容器の扉を開けて待っていた。
 浅野は処理車まできて、すぐに容器の扉の中へ箱を突っ込んだ。二人の隊員がすぐに密閉容器の蓋を閉めて、栓を閉めた。

(続く)
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