(三)‐6

文字数 375文字

 大川が箱の中に指とドライバーを使って慎重に基板を取り出した。基板は幸いなことにネジ留めされていなかった。ただし重かった。恐らく爆薬がくくりつけられているのだろう。
 この基板回路の電源となる電池は、その基板の裏側で、しかも爆薬との間に挟まれていた。大川はそっと爆薬ごと基板をあごの位置まで持ち上げた。カウンターの残りは3分32秒になっていた。
 浅野はすぐさま基板の裏側を見た。爆薬は岩波書店の広辞苑よりも一回り小さい程度のサイズだったが、実際に目にするとかなり大きく見えた。また、爆薬を包む包装紙にはC4とあった。軍用の爆薬で、一般人が簡単に入手できる物ではなかった。それはともかく、C4爆薬なら起爆に雷管らいかんを使う。そうしなければ爆発しないからだ。多少ナイフで刺したり火を付けたりする程度では爆発しない。その意味では浅野は少し安堵した。

(続く)
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