(三)‐9

文字数 361文字

 今度は大川が基盤を爆薬の上に置くようにし、逆に浅野が爆薬と基盤を支えるように持った。大川は片手で腰のツールボックスからスプレーを取り出し、基盤と爆薬の隙間に懐中電灯の明かりを差し込みながら電池の位置を確認した。ちょうど真ん中あたりに懐中電灯の光に反射して銀色に輝く何かが見えた。薄型のボタン電池だ。このとき浅野がカウンターを見ると残り39秒だった。
 大川はスプレーの脇に付いているノズルを口でくわえてスプレー缶の先に取り付けた。そしてそのノズルの先端を爆薬と基盤の間に差し込んだ。そして一気にスプレーした。まず1秒噴霧し、さらに一秒。そして5秒間噴霧した。火薬と基盤の隙間から大川の顔の方に冷たい冷気が跳ね返ってきた。大川の頬に当たった冷気は冷たいというよりむしろ痛かった。さらに大川はもう一度、15秒噴霧した。

(続く)
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